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オペラ無料中継 [オペラ(実演)]

最近のイギリスは日中30度近くまで気温が上がり、クーラーの無い交通機関や建物の中にいるのは自殺行為のような日々が続いていてちょっと気が滅入っていたのですが、昨日はその天気が良い方向に働いたイベントに参加してきました。それは、BPという石油会社が全面的に出資して行うオペラの屋外無料中継!ここ数年で恒例化してきた、イギリス各地の公園や広場に巨大スクリーンを設置して、ロイヤル・オペラ・ハウスから無料でオペラを生中継するBP Summer Big Screens(英語ホームぺージ)というイベントの一環です。今回はヴェルディ(Verdi)「リゴレット(Rigoletto)」(プロダクション情報をリンク)

                     
            画面はリゴレット、後ろの建物がオペラハウス

それなりにちゃんとしたスピーカーで流してくれるので、ピクニックを楽しみながら、オペラのDVDになっていない映像(生中継)を大スクリーンで見る、という感じでしょうか。ちゃんと英語字幕も出ますし、幕前や休憩時間には他のプロダクションの予告やオペラハウスの紹介なんかも流れたりして、かなり面白いイベントでした。私の行った会場は何とオペラハウスのすぐ隣にあるコヴェントガーデン・ピアッツァ(Covent garden piazza)と呼ばれるちょっとした広場。石畳なので座り心地は最悪ですが、ロンドン中心ということもあり、広場から溢れるくらいの人が集まっていました。

皆それぞれ夕食とアルコール、デザートなどを持参していて、オペラが始まる前から楽しんでいます。私も早めに夕食を済ませてビールとおつまみ持参でした(笑)歌手が歌ってるときに携帯でしゃべくっている人もいれば、ワイン飲みすぎで真っ赤になってる人、簡易椅子持込で用意の良い人等…年齢層も広くて、集まってくる人を見ているだけでも楽しかったです。会場内では次の曲を考慮して拍手できないシーンでも、野外では何の気兼ねも無く大盛り上がりできますし、感想を述べ合ったり、有名なアリアになると歓声を上げたり、中座してトイレに行ったり、アルコールを買い足しにいったり(笑)、それぞれ軽~い雰囲気でオペラを楽しんでいてとても楽しかったです。

もちろんキャストも一流どころが揃っています。特にアンナ・ネトレプコ(Anna Netrebko)のジルダは素晴らしい!歌詞で「何と美しい!」と言われても納得がいく容姿(重要!)に、説得力のある演技と声、声なんかスピーカーが割れるくらい出ていて、「流石」の一言です。リゴレット役のパオロ・ガヴァネッリ(Paolo Gavanelli)も当たり役の慣れた歌唱で演技もこってりと深いです。最後のシーンは涙なくしては見られませんね~。マントヴァ公のピョートル・ベッツァーラ(Piotr Beczala)は、こちらも勝手知ったる得意役のようで、高音目白押しのアリアを軽々とこなしていました。顔もまずまず良い男で、「女たらし」っぽさが出た嫌な奴を好演、「女心の歌」も余裕で歌いきってくれて広場の観客も大盛り上がりでした(笑)もっと頻繁にロンドンに来て欲しい人ですね。(「魔笛」のタミーノも持ち役なんだから、批評家達に「重厚すぎて同情できない」とか言われてる歌手の代わりに彼を使えば良いのに~とか言ったりして…あ、ちなみに、私はタミーノは自信満々でも構わないし、歌えない人よりマシだと思ってますよ)

オペラハウスの隣、ということで終演後主要キャストが広場にも出てきてくれて、無料で見てた人たちにも挨拶してくれました。やはりネトレプコが一番人気でしたね。いつもいっぱい文句言いたいこともあるけど、イギリスはこういうイベントがあるから嫌いになれないんだよな~。まあ、これも暑からず寒からず、日照時間も長いこの時期だからできることだと思いますけどね。でも、BPはこれからも頑張って毎年イベントを続けて欲しいです。今年は他にもゲオルギューの出る「ラ・ボエーム(La Boheme)」の中継が予定されています。


24日追記・コメント欄で話題になっている乱交パーティーシーンがフライヤーになっているので、そちらの写真を参考までに載せておきます。真ん中辺りに問題の全裸の男性が写っています。女性はこの写真では枠外ですね。
        


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keyaki

これは、プレミエがシェーファーとM.アルバレスのリゴレットの再演ですよね。
1幕にテレビではちょっとねぇという場面があって、わがNHKさんはカットとかモザイクなんて方法ではなく、実にうまく画面を挿し変えましたよ。ちょっと怖いかんじもします。私達が見ているものは???ですものね。
それにしてもうらやましい環境ですね。

>最近のイギリスは日中30度
それって温暖化のせいですか? 
日本とかイタリアのように四季がなくて、年中同じ洋服が着られるので、服飾費にかけるお金が少なくていいなぁ・・と思ってましたけど。
by keyaki (2005-06-23 09:57) 

Sardanapalus

>1幕にテレビではちょっとねぇという場面
ちゃんとやってましたよ~。中継ではばっちり映してました(笑)冒頭なので注意をひくための演出でしょうかね?公爵の非道さが良く出ているシーンだと思います。マクヴィカーはこういうデカダンなこと好きですね。

イギリスは普通なら年中同じ服で良い(おかげでイギリス人のファッションセンスはダサい)んですけど、最近は温暖化の影響でしょう、夏はけっこう暑くなって困ります。2003年はニュースにもなった猛暑でしたが去年は例年通りの涼しい夏で嬉しかったのに、今年はまた暑くなるのだそうです。嫌だなぁ~
by Sardanapalus (2005-06-23 19:22) 

euridice

>わがNHKさんは
同じシーンが二度入るんですよね〜〜 DVD、見てなかったら、気がつかないでしょうね、多分。

>公爵の非道さが良く出ている
そう思います。
by euridice (2005-06-23 20:13) 

Sardanapalus

>同じシーンが二度入る
へ~!工夫したんですねぇ。モザイク処理なんかするくらいならカットしてしまえ、ということですか。今回の中継ではうまく放送コードからはみ出ないように撮ってましたので、これならNHKも大丈夫じゃないかな?(笑)その映像を見て広場の客がどよめいていたのがちょっと可笑しかったです。
by Sardanapalus (2005-06-23 20:58) 

ロンドンの椿姫

私はDVDになってるプレミアのアルバレス&シェーファーは2度見たし、2回目のカルロス・アルバレスがリゴレットだったのも見ましたが、今回は冒頭の乱交パーティシーンが更に過激になっていて、私のかぶりつきの席からは実によく見えました。皆、それは一生懸命やってましたよ~。
ところで一人全裸になる女性がいるのですが、プレミアのときの女性は、いつもはbooking officeで切符売ったり客席案内をしている女性(ローテンション組んで両方やるのです)だったそうです。切符買いに行ったときの係りが「私の同僚なのよ」と嬉しそうに話してくれましたもん。
by ロンドンの椿姫 (2005-06-24 08:36) 

Sardanapalus

>乱交パーティシーンが更に過激になっていて
かなり色々な組み合わせがありましたね。私はDVDを見てないので「これをDVDでじっくり見るのは結構きつそうだな~」とか思っていたのですが、あれよりは落ち着いているのですね、良かった。

>皆、それは一生懸命
う~ん、喜んで良いのかどうか(笑)プレミアの時は職員を使ったというのも色んな意味で凄いですねぇ。…経費節約?今は俳優でも雇っているんでしょうか?結構勢い良く裸になっていたような(^_^;)
by Sardanapalus (2005-06-24 08:51) 

keyaki

女の全裸より、男の全裸の状態が問題なんですよ。(作り物かもしれない)
舞台だと見過ごしてしまう観客もいるでしょうね。
私だったら、きっとアルバレスだけをオペラグラスで追っていて舞台で何が起こっているか見てないとおもいます。(^_^;)
NHKのやり方は、みごとでしたから、DVDを見ていた人にしかわかりません。
私もそのためだけに見たにもかかわらず、あれれーーでしたもの。

マクヴィカー演出の2003年ザルツブルグの「ホフマン物語」は、あちらのテレビでも放送されたし、絶対BSで放送すると期待していましたが、上半身裸より薬物中毒が問題なのか、放送しませんね。
放送となるといろいろ規制もあるでしょうし、つまんないことに苦情を言う視聴者も多いですからね。
by keyaki (2005-06-24 14:33) 

euridice

>薬物中毒が問題
ザルツブルクのズタズタカットの「こうもり」
カットの基準は、一に麻薬使用、二が暴力、三がセックスって
話がありました。
全面カットされてたのは、まさに麻薬使用場面でした。
オルロフスキーの歌が全部なくなっちゃったほどでした。
by euridice (2005-06-24 18:10) 

Sardanapalus

keyakiさん>
>女の全裸より、男の全裸の状態が問題
そうですね。この中継では本当に見えそうで見えないように撮っていてある意味感心しちゃいました(笑)カメラ割りとかかなり計算したことと思います。まあ、もっと近くから見落とさないようにしていれば見れるかもしれませんが…。良く見直したらフライヤー(ちらし)にも全裸の男性がうつっていましたので写真をアップしておきました。まさかこの演出、このシーンがウリなのか!?(苦笑)マクヴィカーは色んな意味で過激ですもんね~。観客を飽きさせないという点ではかなり上手いと思いますけど。「ホフマン物語」もDVDにはなるんですよね?

euridiceさん>
>一に麻薬使用、二が暴力、三がセックス
なるほど。じゃあ、コヴェント・ガーデンのリングもNHK版権買わないかな~とか思ってましたけど、結構残酷だったので放送しないでしょうね。「1984」の拷問シーンは精神的苦痛だからOKかな?こういうことの線引きは難しいなぁ。

>オルロフスキーの歌が全部なくなっちゃった
そ、それはどうなんでしょうか…。「こうもり」であの歌が無いなんて面白さが減ってしまいますねぇ。まあ、テレビの禁止コードも分からない訳ではないので、そういう演出にはDVDを出してもらうしかないですか。
by Sardanapalus (2005-06-24 18:47) 

keyaki

>全裸の男性がうつっていましたので写真をアップ
恐れ入ります。手前の人が隠してますね。
裸よりこのリゴレットの扮装のほうが気味悪いというか、なんかゴキブリみたいで、気持ち悪くないですか。
ガヴァネッリだからこういうかっこうさせられた?のかなぁ??

>「重厚すぎて同情できない」とか言われてる歌手
誰、誰、そんなえらそうなテノールって
by keyaki (2005-06-24 22:28) 

はじめまして。ネトレプコのジルダとは羨ましいです。ちなみにミュンヘンでもOpera for Allというのを毎年やりますね。見たことはありませんが。。
今年はこちらもリゴレットのようです(ガヴァネッリというのも同じ・・・)。

http://www.muenchner-opern-festspiele.de/c.php/spielplan/Operfralle2005/vorwort.php?sz=57&l=en&dom=dom4
by (2005-06-25 00:43) 

Sardanapalus

keyakiさん>
リゴレットはガヴァネッリだと正にゴキブリ!でしたよ。「皆に嫌われている」というコンセプトかな~なんて思いましたけど。これを来月はホロフトフスキーでやるんですよね…あのふさふさの髪はどうするんだろう?ちなみに、偉そうというか、笛の魔力なんか要らないくらい自立している強いタミーノは、DVDにも出ているヴィル・ハルトマン(Will Hartmann)です。

gonさん>
はじめまして!良くお越しくださいました。ミュンヘンも「リゴレット」しかもガヴァネッリ…売れっ子なんですね。やっぱり「女心の歌」は初心者向けということでしょうか?でもこのストーリーはどうなんだろう。一般の人に見てもらうならコメディ路線とか、「ラ・ボエーム」みたいなロマンティックなものの方が良いような気もするけどなぁ。gonさんはミュンヘン在住なのでしょうか?街並みも素敵だし、リーメンシュナイダーの彫刻も見れるし、私の好きなキーンリーサイドがバイエルン州立オペラに良く出演するので大好きな街です(笑)
by Sardanapalus (2005-06-25 04:23) 

Sardanapalus

今ミュンヘンの方のページを見てみたら、ディアナ・ダムラウ(Diana Damrau)がジルダじゃないですか!私はそちらも羨ましい~。彼女も演技も出来てばっちり歌えるソプラノ歌手です。コヴェントガーデンの「魔笛」DVDは動き回りながらアリアを歌いきる彼女の女王と、キーンリーサイドのパパゲーノが見れるだけでも一見の価値があります(おまけとして力強すぎるタミーノも見れますよ(笑))。
by Sardanapalus (2005-06-25 04:31) 

euridice

>コヴェントガーデンの「魔笛」DVD
コヴェントガーデンのDVD、ゴキブリ「リゴレット」は大当たり!でしたが、この「魔笛」も当たり!ですね^^;
私としては、一番の魅力は夜の女王かしら。パパゲーノは今までのと雰囲気違いがおもしろいですね。タミーノは確かにちょっとエラソというか、肯定的に言えばやっぱりユニークってところでしょう。弁者(トーマス・アレン)もおもしろいし、彼のところでお勉強?してるらし男の子と女の子が舞台に楽しみを添えてます。レッシュマンのパミーナも相変わらず可愛いし・・ 

マクヴィカー演出は、今のところ、どれも当たり!です。
by euridice (2005-06-25 08:08) 

Sardanapalus

euridiceさんもマクヴィカー演出好きですか!同士ですね~。私はあの暗いデカダンな雰囲気と色彩感覚、テンポの良い展開が好きです。キーンリーサイドがタイトルロールの、10月のモネ歌劇場来日公演の「ドン・ジョバンニ」もマクヴィカー演出ですよ☆まるでハムレットのような暗~い舞台セットになってます(笑)

>「魔笛」も当たり!
この演出、初めて見たのが生舞台だったのですが、すぐDVDを買いたくなったほど気に入りました。夜の女王の登場シーンは生で見たほうがもっと大迫力なのですが、ダムラウの女王が映像になっているだけでもありがたいと思わなくては。

>パパゲーノは今までのと雰囲気違いがおもしろい
とっても可笑しいのに同じくらい哀しいパパゲーノ像が新鮮でした。パパゲーノってこんなに奥が深い役なんだ~(笑)この演出では羽だらけの衣装ではなく典型的なイギリスの労働者階級の格好(よれよれで不恰好なスーツ)で、台詞もちょっと労働者階級っぽいアクセントのような気がします(ドイツ語のことはよく分からないんですけど…)。カモをかぶってなかったら(笑)パパゲーノだと分からないですね。パパゲーナも「似てる」というのは外見ではなくて所属階級のことのようで、場違いにド派手なキャミソールにミニスカートのお姉ちゃんでこれまたびっくり!でした(笑)そうそうタミーノ、普通のイメージでは良い子ぶっていて嫌いなので、これくらい偉そうで直球の性格にしていてくれた方が、感情の起伏も出て良いんじゃないかと(笑)「親父は王…だから俺様は、王子って訳。凄いだろ?」という感じの台詞回しは特にお気に入りです。このパパゲーノなら、タミーノは高慢な奴じゃないと影が薄くなっちゃうし(笑)
by Sardanapalus (2005-06-25 09:33) 

>ミュンヘン在住なのでしょうか
残念ながら日本です。最近海外で見るのはミュンヘンが多くて。。(笑)。コヴェントガーデンの「魔笛」DVD、チェックしてみます。ありがとうございます。
ちなみにミュンヘン7月のリゴレットの演出はドリス・デリー。今年2月にプレミエがあったそうですが、「猿の惑星」らしいです。下記リンクの下の方に「Video」というのがあるので、ご覧ください。あえて何も言いませんが(笑)。

http://www.muenchner-opern-festspiele.de/c.php/spielplan/vorstellung.php?id=626&termin=3028&dom=dom4&l=en
by (2005-06-25 22:29) 

keyaki

「猿の惑星」版リゴレット再演なんですか、ということは評判いいということですか。
私のブログでも取り上げましたので、Sardanapalus さんまたTBさせて下さい。
by keyaki (2005-06-26 00:56) 

Sardanapalus

gonさん>
あ、日本ご在住でしたか。でも、ミュンヘンは良いですよね。オペラも実験的なものから王道まで幅広いですし、劇場の音響は素晴らしいし(行ったことないですがテレビで特集していたのを見ました)。「リゴレット」情報ありがとうございます!うわ~猿だ!猿ばっかだ!こわ~い。そしてなぜルイ・ヴィトン!?(笑)いつもは不恰好な衣装を着なくてはいけないリゴレット役の人だけは嬉しいでしょうけどね…マントヴァ公は歌う前に暑くて重くて倒れそうです(苦笑)そうか、この演出ならディーマとかハンプソンとかの長身・甘いマスクのバリトンでも違和感無いですねぇ。でも今回はガヴァネッリ…謎だ。う~ん、彼には王道の演出の方が良いと思うのですが。

keyakiさん>
TBありがとうございます。ふむふむ、若者にうったえるための演出…だから中継もこの「リゴレット」なんでしょうかね?ビデオで見るかぎり、何だかアートフィルムみたいで好みが分かれそうですけど。大体今の若者に映画の「猿の惑星」を実際に見ている子がどのくらいいるんでしょう?(自分も部分的にしか見てません)
by Sardanapalus (2005-06-26 20:19) 

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