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オペラ「ジークフリート」 [オペラ(実演)]

只今コヴェント・ガーデンで絶賛進行中の「リング」、第2夜「ジークフリート(Siegfried)」を見てきました!前回「ワルキューレ」の2回目の休憩が65分でぶうぶう言っていたのですが、今回は何と70分でした!5時に開演で10時50分終演ですよ?長かった…。これを4夜続けて見れる人達の体力には本当に感心しちゃいます。今回の一番の収穫は、とりあえず←ジョン・トムリンソン(John Tomlinson)ヴォータンがかっこよすぎる!!ってことでしょうか(笑)

あらすじは、当然ですが「ワルキューレ」の続きです。ジークムントが殺された後、ジークリンデも子供を産み落として命を落とす。ミーメというゴブリンに育てられたその子供の名前はジークフリート。成長したジークフリートは自分の出生を知り、鍛えなおした父親の形見の剣で竜ファフネルを退治、財宝の中から指輪とターンヘルムを獲得する。ジークフリートを殺して指輪を奪おうとしているミーメを返り討ちにした後、彼は森の中で出会った鳥に導かれて火に包まれて眠るブリュンヒルデの元へとやってくる。途中で放浪者(ヴォータン)の妨害にあうが、ヴォータンの杖を真っ二つにして難なく退けてしまう。起こされたブリュンヒルデジークフリートはお互いに恋におちて幕。

 今回も相変わらずヴォータンの世話焼き親父っぷりがよく出ていますね。「ジークフリート」を通して見たのは今回が初めてでしたが、放浪者のヴォータンって、「ワルキューレ」以上に親バカというか、爺バカ神様というよりも、孫にあたるジークフリートから目が離せないお節介な爺ちゃんとしか思えない(笑)これは、トムリンソンの外見が水戸○門に見えるからか、はたまた衣装が「指輪物語」のガンダルフそのまんまなのでイアン・マッケランの演技とダブるからか、その点はよく分かりませんでしたが。声の方はさすがの当たり役、キレのいいドイツ語でビシッと決めてくれました。声量もあるし、安定感があるし、渋くて素敵~。これは確かに必見のヴォータンですね。今回のプロダクションの中でワーグナーのオペラに引っ張りだこのもう一人のジョン、ジョン・トレリーヴェン(John Treleaven)Siegfried (3pc)(左写真からアマゾンUKのCDページにリンク)は、うって変わってまろやかな声のヘルデンテノール(左のDVDのジークフリートです)。聞かせどころはしっかりと決めてくれましたが、所々もう少しパンチが欲しい部分もありました。大柄な体型でしたがいっぱい動き回ってくれて、視覚的に面白かったです。でもこのジークフリート、あまりに天然で先行きが不安です(笑)そんなにのんびり屋さんでいいのか!?と突っ込みたくなるシーンがいっぱいでした。まあ、これからはブリュンヒルデが姉さん女房でしっかりやってくれることでしょうけど。

他の歌手も粒揃いで、私のようなワーグナー初心者にはオペラの世界にどっぷりと浸れて親切な公演でした。ブリュンヒルデは「ワルキューレ」に引き続きリサ・ガスティーン(Lisa Gasteen)。今回は3幕まで出番がありませんが、起きてきた姿を見て思ったのはいつ着替えたの?(^_^;)ワルキューレで眠りに入ったときってあんなドレスだったかな~?違うような気がするんだよな~。はっきり言って3幕の、ブリュンヒルデとジークフリートのデュエットの辺りは疲れてきた上に展開も遅いし、眠くて眠くて声をしっかり聴くどころじゃなかったのですが、眠くなるってことは良かったということですね。下手だったら気になって寝れないですもん(笑)ミーメ役のゲルハルト・ジーゲル(Gerhard Siegel)とアルベリッヒ役のピーター・シドホム(Peter Sidhom)は、外見も兄弟みたいで、歌も文句なしではまっていました。あれこれと演技力を要求される役でしたが、どちらもうまくこなしていたと思います。

今回の演出は、「ワルキューレ」よりは動きがあったかな?序曲でジークフリートの成長を見せてくれたのも、退屈しなくて済んで嬉しかったです 。3作目ですから、前2作との共通アイテムがいっぱい出てきて色々なつながりを視覚的にも見せてくれていたと思います。3幕での影の使い方も面白かったし、退屈はしませんでした。でも、曲のメロディやリズムに合わせてカンカン剣を打ち直したり、トントンと野菜を切ったり、飛行機の車体をたたいたりするのは、見ていて面白かったけど歌手が大変そうでした(笑)前2作同様、暗い色調にグロい小道具(手術台、生首、血、など)が登場してきますが、「ワルキューレ」よりはこっちの方が好きかも。ジークフリートがいきなり折り紙したり、ミーメの頭で生卵割ったり、鹿さんが出てきたり、気持ち悪い巨大な生首(ファフネル)が出てきたり、というようなジョークっぽい(?)場面も多かったからでしょうか

とにかく、疲れましたがそれなりに楽しかったです。オケは大編成で、客席を潰してハープを置いていたのに、歌手は全部で8人という少数精鋭の構成も新鮮でした。でも、これをCDで聞けるかと言われたら、まず無理でしょう。特に3幕のヴォータンがいなくなってからは、展開が遅くてワーグナーの嫌な部分が耳につくのでついつい意識が遠のきます(笑)


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コメント 16

ヴァラリン

>トムリンソン
一度だけ実演に当たってます。ドレスデンの「マイスタージンガー」の、ザックスでしたが、いい親父さんでした。CDだとあまり印象が残らないのですが、実演だといいですよね(^^!意外と背が低かったので、ちょっとビックリしたんですけどね(@。@;

>トレレーヴェン
も、そういえば実演に当たってました(^^;こちらはハンブルクの「マイスタージンガー」でのヴァルター。声が結構重めなので、寧ろジークフリートなどの方が合っていると思います。

…と思って、読み進めていくとなんと
>ゲルハルト・ジーゲル
も、当たってますわ。こちらはニュルンベルクでの「ジークフリート」のジークフリートです。
えっ?!って思われるかもしれませんが、寧ろこっちの方が合っているんじゃないかしら?
(外見はともかく)歌的には、かなり印象的なジークフリートだったので、その後期待してたんですよ。
でもいつの間にやらミーメ歌いとして、あっちこっちで引っ張りだこになっちゃいました。新国でもミーメやってたはずです。

>孫にあたるジークムント
>このジークムント、あまりに天然で
^^;「ジークフリート」です^^;
(ジークフリートは、ご両親の血は引かずに、隔世遺伝でおじいさまの血を濃く受け継いでいると考えてます^^;)

それにしても、今回の登場人物の約半数を、一応実演で聴いているとは…
こういう確率もめったにないですね(^^;

>特に3幕のヴォータンがいなくなってからは、展開が遅くてワーグナーの嫌な部分が耳につくのでついつい意識が遠のきます(笑)

はは(^^;いんちきワグネリアンには、この部分がたまらないのよぉ(笑)
by ヴァラリン (2005-10-19 11:14) 

すまーふ

ワーグナー、曲は聴きますが、オペラは見たことないんですよ~!
なんだか、長そうですね!!
今度、休日にでも挑戦してみようかな!?

休憩時間70分って…海外では普通なんですか!?
私はたまに演奏会行って、あの休憩時間の煌びやかな空間を
眺めて、ブルジョワはいいなぁ(笑)なんて思ってますが…
皆さんごディナーするんですか?!
by すまーふ (2005-10-19 14:08) 

Sardanapalus

ヴァラリンさん>
まずは、訂正箇所のご指摘ありがとうございます!恥ずかしい~(>_<)早速なおしたので、もう大丈夫なはずです。今回のキャストは、ワーグナー歌いをかき集めてきた感じでしたので、ヴァラリンさんがご覧になった歌手達がいっぱいいるのも頷けます。皆さん役を手中にしている感じでした。

>>トムリンソン
>CDだとあまり印象が残らない
実は、まだCDでしっかり聞いたことがありません。キーンリーサイドとも共演してるんですけどね~、ブリテンの「ビリー・バッド」と英語の「魔笛」なので、手が伸びないと言うか(笑)今度のENOでの「ビリー・バッド」でもクラッガートなので、そちらは楽しみにしています。

>意外と背が低かった
爆音のように響く低音にしては、背は標準ですね。今回もトレリーヴァンの方が大きかったです。それでも存在感があって、「ワルキューレ」のヴォータンが見れたら、怒るシーンはさぞかし凄いだろうなぁ~と思わせてくれました。

>>ゲルハルト・ジーゲル
>ニュルンベルクでの「ジークフリート」のジークフリート
>でもいつの間にやらミーメ歌い
正にえっ!ですけど、その理由は、今回の演出のミーメにぴったりだったからです。野菜をてきぱきと切り刻んでスープ作ったり、飛んだりはねたり、ねずみの被り物被ったり、ぶっ倒れたり、それはもう大忙しで、動きも歌い方もミーメそのままといった感じでしたから…。でも、ここまでやってくれるのですから、ジークフリートでもしっかりと役作りをしてきてくれそうです。ミーメのオファーが多くなったのは、年齢のせい?それとも外見のせい?(^_^;)

>ジークフリートは、ご両親の血は引かずに、隔世遺伝でおじいさまの血を濃く受け継いでいる
あはは、そうでしょうね!あの沈痛な両親から生まれた子がこんなに天然でいいのだろうかと最初は「?」でしたが、そのうち「爺ちゃん似か~」と思い当たって納得でした(笑)

>>特に3幕のヴォータンがいなくなってから
>ワグネリアンには、この部分がたまらない
そうでしょうね~。綺麗なメロディラインに恋人同士の会話、うっとりとなるのが普通でしょうが、私は「早く話をすすめんかい!」となってしまって駄目なんです…。ああ、ワーグナーへの道は遠い(^_^;)(「タンホイザー」が好きなのは、こういうシーンが比較的少ないからだと思います。「ジークフリート」も、男しか出てこない1幕はかなり好きです(笑))
by Sardanapalus (2005-10-19 18:44) 

Sardanapalus

すまーふさん>
>今度、休日にでも挑戦してみようかな!?
そうですね、もしCDや映像をお持ちでしたら、休日のゆったりとした時間にでも聞いてみてください。

>休憩時間70分って…海外では普通なんですか!?
いえ、ワーグナーの時だけです(笑)他のオペラは普通に25分休憩1回とかですよ。それに、こっちの観客は大部分があまり色気のない格好をしているので、休憩時間のブルジョワ度は日本の方が高いと思いますよ。今回日本でオペラにいって再確認しました(笑)普段は25分休憩とかなので終演後にディナーとなるのでしょうが、今回は私達も70分の休憩中にピザを食べました。勿論、おディナーしてる人たちもいましたよ~。
by Sardanapalus (2005-10-19 18:51) 

ロンドンの椿姫

昨日はお疲れ様でした。ほんとに長かったよね。あんな疲れたのはじめて。着物着てたから私は更にしんどかったのかもしれないけど。
それにしても、もう記事書けたなんてSaladanapalusさんって、すごーい! 私なんか昨夜帰宅してすぐ寝倒れて、今朝会社に来たら、な、なんともう投稿してある! 夜中に出てきて書いてくれる小人さんたちがいるとしか思えない。
私の記事いつものように1週間くらい掛かるかもしれないけど、忘れた頃に出来たらまたTBしてね。それとも、今回は同じパフォーマンスということでSaladanapalusさんの方を読んで下さいってことで便乗して済ませちゃおうかしらん。
http://peraperaopera.ameblo.jp/
by ロンドンの椿姫 (2005-10-19 19:03) 

Sardanapalus

ロンドンの椿姫さん>
お疲れ様でした~。疲れましたね~。でも、長い休憩時間にたっぷりお話できて楽しかったです♪

>もう記事書けたなんて
昨日帰ってから勢いの赴くままに書きました。そうじゃないと時間ばかりかかってしまうし、忘れちゃうので(^_^;)椿姫さんの記事も待ってますから、ぜひ書いてください~。こんな、ワーグナーの良いところが分かってないやつの一方的な感想の記事に便乗なんて駄目ですよ!
by Sardanapalus (2005-10-19 19:13) 

dognorah

こちらからもTBしました。
私はもともとワーグナーが好きなのと今回の歌手がすばらしかったので長いとは感じませんでした。70分の休憩時間もビールを飲んでいただけですが、別に苦じゃないです。グラインドボーンはほとんどの公演で60分+90分の休憩ですが、それくらいあると私も食事します。来年上演される「神々のたそがれ」は一番遅い開始時間が4時半ですから、さらに長い上演時間です。またトレリーヴァンとトムリンソンが聞けるので楽しみですね。
by dognorah (2005-10-19 20:45) 

keyaki

ワグネリアンじゃないんですけど、新国の東京リングは見てますので、ちょっと野次馬根性でご報告。

東京リングのジークフリートは、こちらで絶賛のジョン・トレレーヴェンがBキャストでした。2003年と2004年です。
ゲルハルト・ジーゲルは、ミーメでAキャストでした。

トムリンソンは、ライモンディのドン・ジョヴァンニでレポレッロでしたので、おおーーと感激です。

>来年上演される「神々のたそがれ」.....またトレリーヴァンとトムリンソンが聞けるので楽しみですね。

「神々のたそがれ」ってヴォータン出ましたっけ? 
グンターのトレーケルが印象的でしたけど、ヴォータンは?
いましたかしら???
by keyaki (2005-10-19 22:47) 

euridice

>ワグネリアンじゃないんですけど、新国の東京リングは見てます
に便乗して、私も。ジークフリートはAキャストしか行かなかったので、ジョン・トレレーヴェンさんには、映像でお目にかかっただけです。(ちなみに、知らなかったけど、お初はルサルカの王子役でした、最新はアバド指揮、ルッツェルンのトリスタン2幕のコンサート)というわけで、ゲルハルト・ジーゲルのミーメは観ました。ジークフリートと声質の差がなくて、特に一幕の掛け合いは、ちょっとうるさかった^^; (ジークフリートはクリスチャン・フランツ)

>「神々のたそがれ」ってヴォータン出ましたっけ? 
出ませんから、別の役なんでしょうか? ハーゲンとかグンターとか・・
by euridice (2005-10-19 22:58) 

Sardanapalus

dognorahさん>
TBありがとうございます。2幕までは長さを感じなくて良かったんですけどね~3幕が駄目でした(笑)まだ修行が足りないですね。ROHのリングは一応全部見ているので、来年の「神々のたそがれ」まで見れるといいなぁ。

keyakiさん>
>東京リングのジークフリート
>ジョン・トレレーヴェンがBキャスト
あ、やっぱりそうですか。彼のオフィシャルページに東京で歌ったと書いてあるので、新国のだろうな~とは思っていたのです。

>ゲルハルト・ジーゲルは、ミーメでAキャスト
なるほど~。東京では被ってないんですね。どこかで共演してそうですけど。

>トムリンソンは、ライモンディのドン・ジョヴァンニでレポレッロ
この人も守備範囲の広い人ですよね。バロックから現代ものまで、イタリア、ドイツ、イギリス…録音とか見るとビックリしちゃいます。

euridiceさん>
>ゲルハルト・ジーゲルのミーメ
>ジークフリートと声質の差がなくて
あらあら(^_^;)それじゃ「親子」として納得しちゃうんじゃ?(笑)今回のコンビは体格も声質も違っていたので説得力があっていい感じでした。

ちなみに、トムリンソンは「神々のたそがれ」@ROHではハーゲンです。
by Sardanapalus (2005-10-19 23:28) 

dognorah

そうですね、トムリンソンはハーゲンですがYOKOさんがこの人のハーゲンは最高とコメントしていらしたので期待しています。
ところで、Sardanapalusさんは来年の春はロンドンにいない可能性もあるのですか?
by dognorah (2005-10-20 01:46) 

Sardanapalus

>YOKOさんがこの人のハーゲンは最高とコメント
それは楽しみですね!「神々のたそがれ」は全く未知の領域なので、もし見れそうなら予習して行こうと思います。

>来年の春
私事ですが、就職先がどうなるかで変わってくるのです。もちろん、イギリスに留まりたいんですけどね~。
by Sardanapalus (2005-10-20 11:04) 

ロンドンの椿姫

忘れた頃にやっと投稿できましたのでTBさせて頂きました。ささっとなんでもすぐ書けてしまうSaladanapalusさんが羨ましい!
次はトビーを書くんだけど、いつできることか・・。
http://ameblo.jp/peraperaopera/
by ロンドンの椿姫 (2005-10-25 06:47) 

Sardanapalus

>忘れた頃にやっと投稿
毎回分かりやすくて楽しいあらすじつきでアップされるロンドンの椿姫さんの記事は本当に楽しみにしてます♪記事を書くスピードよりも、質が重要ですから!個人的にはTBしていない「その1」の方のあらすじがとっても好きです(笑)できましたらそちらもTBしておいてくれませんでしょうか?
by Sardanapalus (2005-10-25 08:15) 

ロンドンの椿姫

お言葉に甘え、こんなんでよかったらTBさせて頂きました。
でも、リングって、わからないと言いながらも、なんかあれこれ考えちゃいますよね~。いつかもうちょっと深く理解できるようになるでしょうか?無理でしょうか?
http://ameblo.jp/peraperaopera/
by ロンドンの椿姫 (2005-10-25 22:11) 

Sardanapalus

ロンドンの椿姫さん>
さっそくのTBありがとうございます!さ、皆さん爆笑必至の「ジークフリート」のあらすじが簡単に読めるようになりましたので、ぜひ遊びにいってくださいね!

>リングって、わからないと言いながらも、なんかあれこれ考えちゃいます
元々が創造神話ですもんね、深く考え出すとどんどん深くなっていくと思います。好きな方はそういうところも含めて好きなんでしょうね。いつかは自分なりの解釈をもてるといいのですが。
by Sardanapalus (2005-10-26 21:13) 

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