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ミュージカル「オペラ座の怪人」 [演劇]

「オペラ座の怪人(The Phantom of the Opera)」といっても、イギリスにいる私が見てきたのは劇団四季ではなく、ウェスト・エンドのハー・マジェスティーズ劇場(Her Majesty's Theatre)→での公演です。今更隠してもナンなので暴露しておきますが、ここロンドンでも既に5回目?6回目?の「オペラ座の怪人」です。日本では…大学時代に見まくってました。ということで、全曲カラオケできる(笑)ほど好きなミュージカルなので毎回キャストの出来が気になってしまうのですが、今回はロンドンで見た中では2番目に良かったと思います。

あらすじ、というかプロローグ:オペラ座のコーラスガール兼ダンサーのクリスティーヌは、死んだ父が送ってくれたと信じている「音楽の天使」から歌のレッスンを受けていた。ある日、嫌がらせの続くオペラの座の管理体制に嫌気が差してドタキャンしたプリマ・ドンナのカルロッタの代役を歌って大成功、歌手への道を歩みだすとともに、偶然その公演を見に来た幼馴染のラウル子爵にも再会して恋心が芽生える。クリスティーヌを夕食に誘ったラウルが帽子を取りに行っている間に、楽屋の鏡から「音楽の天使」=「オペラ座の怪人」が現れ、クリスティーヌをオペラ座の地下へと連れ去っていく…。

オペラ座の怪人 通常版 登場人物とかはしょりすぎですけど、まあ、こういう感じで始まる話です。つい最近映画化された、アンドリュー・ロイド=ウェーバー(Andrew Lloyd Webber)の代表作ですが、機会があったらぜひ舞台の方を見てください。いっぱい仕掛けがあって面白いし、場面転換の滑らかさは集中力を途切れさせることがありません。特に、舞台版の美術の美しさは素晴らしい!これを見慣れていた目には、映画の怪人の隠れ家はあまりにもセンスが無さすぎてガッカリでした。

前回見たのは映画公開に合わせて?演出に手直しが入り、衣装も新調された直後だったのですが、まあこれが良かったんです。多分、キャストが変わる直前だったのでラストスパートという感じで気合も入っていたのでしょうけど、「今までのロンドンで見てきた公演は何だったんだ?金返せ~!」と言いたくなったくらい(笑)今回はそれに次ぐ出来で、正直言って嬉しかったです。ロングラン公演は、キャストが改悪されたら見に行く気がなくなっちゃいますからね~。

今回は3階席で見たのですが、改めてこの劇場は小さいな~と思いました。舞台の横幅なんて、20人並べるかどうかと言うくらいのサイズです。もちろん生演奏のオーケストラつきですので、1階最前列は足とオケピットの柵が当たるくらい狭いし椅子も小さい。その代わり?内装は豪華で、正にオペラ座の中にいるかのように感じられてミュージカルとしての雰囲気は抜群です。

今回見たキャストは、映画が公開された後に変わった、新キャストばかり。それまでは結構長い間同じ役をやり続けていた俳優が殆どだったので安定感は抜群だったのですが、今回だいぶ若返って、作品としての勢いが出た印象があります。

まあ、それはただ単にファントム(怪人)役の俳優が歌中心から演技中心の人に変わったから受ける印象が違うというだけかもしれませんけど。「中心」といっても、どちらの人も歌えて演技も出来る人たちです。何が違うかって、以前長年ロンドンでファントム役をやっていたジョン・オーウェン=ジョーンズ(John Owen-Jones)は歌はとにかく安定していて上手いけれど、体型はちょっとおじさんだし、演技も上手いけど色気よりも父性で惹きつけるタイプだったのです。で、今回変わったアール・カーペンター(Earl Carpenter)は、もう色気むんむん、思いっきりナルシスト。指先の反り具合とかがセクシー光線を出しているかのように見えるくらい、蛇のようにしなやかによく動くし、体も細身で身長もあって、見た目はまさに原作の描写のようで素晴らしいです。どちらかと言うと、まだ精神的には若者のままでいる、男としての魅力で魅了するタイプでしょうか。演技面は久しぶりにここまで入り込んでいる人を見た、と思いましたが、歌は、もちろん声は出ますが、まだまだ歌いこんでいたオーウェン=ジョーンズの域には達していないです。それぞれ個性のある役作りですが、個人的にはナルシシスティックな動きのできるファントムの方が好みなので、カーペンターにはこれから期待したいと思います。

あ~、ファントム役を軽く書いただけなのに、もはやオタクトークになってしまっていますね(^_^;)とりあえずその他の主要キャストへの一言感想は、クリスティーヌ細い!踊れる!おばちゃんじゃない!(笑)声はオペラ歌いでなく、感情が乗っていて高音まで出るのは素晴らしいけど、時々音程が不安定になるのは惜しい。ラウルは老けてるなぁ!声は若々しいし、演技も熱血でいいけれど、重唱でも声を張り上げるのは改善してね。あと、髪型何とかして欲しい。

こんなかんじでしょうか。色々と腑に落ちない点もありましたが、久しぶりにセクシー度満点の「オペラ座の怪人」を見れて満足でした。


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コメント 6

Orfeo

おお!オペラ座の怪人だあ!(笑)
私も何度もハー・マジェスティーズ、通いましたよ。
もっとも、80年代ですが・・・。懐かしいなあ、あの頃が。
映画は先日見ましたが、おっしゃるとおり、ガッカリしました。
友人のきのけんさんのBBSに書き込んだので、よろしかったらご参照を。(記事番号:426)
http://bbs.infoseek.co.jp/Board01?user=cineken2
by Orfeo (2005-11-01 11:49) 

Sardanapalus

>オペラ座の怪人
私のお気に入りの中で、今まで登場しなかったのがおかしい位の高位置にあるミュージカルです。
>80年代
これも長いですからね~。相変わらずエアコンもない劇場で毎日やってますよ(笑)

>きのけんさんのBBS
読みました!そうそう、あの決闘シーンとか、ラウルの髪型とか、ダーエ氏の墓の巨大さとか、鏡が満載のファントムの隠れ家とか、変にゴテゴテした装飾とか、映画館の椅子から転げ落ちそうになるシーンがいっぱいでした(^_^;)舞台はまだしも、原作は知らない方が映画版は楽しめそうですね。久しぶりに舞台を見て、やっぱりハロルド・プリンスは天才だと思いました。
by Sardanapalus (2005-11-01 12:49) 

すまーふ

オペラ座の怪人、映画みて、失敗!!
と思い、ちゃんとしたの見てみたいと思った口です。
舞台の方がだんちでおもしろいですかっ?!
映画、オンナノコはかわいかったのですが。。。ぷぅ。
by すまーふ (2005-11-01 15:28) 

keyaki

映画は映画で、楽しみました。だって、アンドリュー・ロイド=ウェーバーご本人が満足してるんですもの。
なんて言っちゃったら何も言えないって?(笑)
もともとちょっと無理のある話しなんで、舞台の方がいいんでしょうね。
原作の映画化なんてかなりひどくないですか? 2種類くらい見ましたけど、これなんじゃいでした。
一つは、完璧ホラーでネズミ男のやつ、かなり強烈!
もう一つは、宝石の歌を歌っていたのだけ覚えてます。

DVDのメイキングが面白かったですよ。
エミー・ロッサム(アメリカ人)とメグ役の女の子(イギリス人)が、最初は、お互いに何を言っているのかわからなかったのよね、なんて話しているのが可笑しかった。

そうそう、怪人をやったバトラーにちょっと興味があったりしましたね。
アッティラのテレビ映画がけっこうかっこよかったんですよ。
by keyaki (2005-11-01 17:30) 

euridice

>映画は映画で、楽しみました。
ええ、おもしろかったです^^!

舞台は知らないから、何にも言えないって(笑)
(一度だけ劇団四季に出かけたんですけどね、これがなぜか何も覚えていない・・・ 仕事帰りだったから疲れて知らない間に寝てたのかも・・)

>バトラー
映画館で見たときは、まあ歌がねえ〜〜〜なんて思っちゃったんですけど、DVDでじっくり鑑賞したら、あの映画にはぴったりって思えてしまいました。凄い歌唱力というか演技歌唱だって・・・

このミュージカル、いいなあって思うようになったの、P.ホフマンのお陰です^^; ネットで知り合った人が、数秒の音声ファイルをいくつかメールで送ってくれたんですけどね、それではまっちゃいました。
by euridice (2005-11-01 20:22) 

Sardanapalus

皆さんこんなオタク記事(笑)にコメントありがとうございます。

すまーふさん>
>映画みて、失敗!!
あらら、そうでしたか。私が映画で一番気になったのは、休憩が無いから2時間半が長く感じられたことですか。舞台だと本当に流れるように進むので短く感じます。映画は、ファントム役のバトラーが若いことと、顔のメイクがそんなに酷く感じられなかったことも、舞台版のように感情移入できなかった原因でしょう。バトラーはバトラーで良いですし、映画としてはあんなものかなぁとも思いますが、原作も気に入っている身としては、ちょっと複雑…(^_^;)ロッサムの若いクリスティーヌは良かったです。

keyakiさん>
>アンドリュー・ロイド=ウェーバーご本人が満足
ええ、本当に、舞台はプリンスの演出に任せてくれてよかったと思います(^_^;)彼の趣味と私の趣味が合わないんですよ。ロイド=ウェーバーはゴシックホラーとロックが大好きなんですよね。彼の趣味をいっぱい詰め込んだ映画になっているとは思いますが、何だか大味で…。

>原作の映画化なんてかなりひどくないですか
そうなんですよね。何でもかんでもホラー映画にしてしまえ!みたいなモノもいっぱいありますし。「宝石の歌」の入っているのはいわゆるコーピッド版のテレビ映画でしょうか?「ファウスト」の盛り上がり部分が何回か出てきて、最後クリスティーヌと怪人がデュエットするやつ。実はファントムが支配人の息子で、しかも最後は父親がファントムを殺す設定になっていたやつですよね?そちらの美術は結構好きです。「ファウスト」の舞台衣装まで良い感じ。

>DVDのメイキング
>お互いに何を言っているのかわからなかった
あははは(^o^)面白そうですね。メイキングはいいや、と思って日本においてきちゃいましたよ!しまった。

euridiceさん>
>舞台は知らないから、何にも言えない
いえ、そういう感想の方が健康的だと思います(笑)全曲カラオケできるような奴の感想はオタクの独り言として読んでみてくだされば(^_^;)

>まあ歌がねえ〜〜〜
ロイド=ウェーバーは、ファントム役は「ロック歌手のように歌える人物」を選んだと断言してますが、バトラーはちょっとロック歌手としてもキツイんじゃ無いかと(^_^;)演技は良かったと思います。でも、「音楽の天使」ですし、「声で魅了する」ファントムとしては歌が上手くないと三角関係の説得力が出ないというか。オタクとしては原作・舞台・映画を比べてしまって…いけませんね。

>P.ホフマンのお陰
ホフマンの声であのメロディアスな曲を歌われたらイチコロでしょうね!正に「音楽の天使」ですよ。
by Sardanapalus (2005-11-01 21:11) 

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