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バレエ「マノン」 [オペラ(実演)]

凄いもの見ました。

いつもオペラを見に行っているロイヤル・オペラハウス(コヴェント・ガーデン)には、当然のことながらバレエ団もあります。ついこの夏も来日公演を行った、ロイヤル・バレエ(Royal Ballet)がそれです。何故いきなりバレエの話かというと、昨日初めてそのロイヤル・バレエを見に行ってきたからです。演目は来日公演でも上演されたロイヤル・バレエの十八番(笑)「マノン(Manon)」。でも、私、はっきり言ってこの演目には全く興味がありませんでした。初演以来何度も再演されて人気のあるのは知っていましたが、ポスターの写真も何だかぼろっちいし(見た後ならその理由は分かりますが)、音楽的にいまいちピンと来なかったのです。ところが、今回の公演を見に行った知り合いが「衝撃的!(Sensational)」とか言ってるし、初日の批評が出たタイムスガーディアンの2つの新聞両方で最高の5つ星評価じゃないですか。しかも、学生なら残っている席のどこでも10ポンド(2000円)で見れるチケットが発売されたので、これは「行け」というお告げだと思って(笑)見に行きました。

あらすじ:修道院に入るはずだったマノンは、途中立ち寄った宿屋で学生のデ・グリューと出会い、二人は恋に落ちて駆け落ちする。マノンの兄レスコーは、金持ちの貴族ムッシューGMがマノンに興味があると知って、デ・グリューのいない間に2人の家にやって来る。毛皮と貴金属でムッシューGMの愛人になることに合意したマノンはムッシューGMと去り、空の家に戻ってきたデ・グリューはレスコーに「こうすれば贅沢な暮らしが出来る」と説得される。その後ムッシューGMの開催したパーティーで再会したマノンとデ・グリューだが、一緒に帰ろうと言うデ・グリューにマノンはいかさまトランプでムッシューGMの金を巻き上げてから帰ると言ってデ・グリューにいかさまの切り札を渡す。これはレスコーの入れ知恵だったが、結局ムッシューGMに見破られ、マノンとデ・グリューは間一髪で逃れるもののレスコーは捕らえられてしまう。2人が急いで立ち去るために荷造りをしているところへムッシューGMが警官を連れてやって来て、レスコーをマノンの目の前で射殺、マノンは売春の罪で流刑にされる。流刑先のアメリカの牢屋の看守もマノンに興味を示し、彼を受け入れるように迫るが、そこへ夫と偽ってついてきたデ・グリューが踏み込んで看守を殺してしまう。抜け殻のようになったマノンを連れて沼地へとやってきたデ・グリューだが、マノンはついに力尽きて倒れ、過去の幻覚を見ながら息絶える。

ジュール・マスネ(Jules Massenet)の曲を使った3幕構成のバレエです。といっても、バレエのことはポジションとかリフトとか、全く分からないド素人ですので、何がどうだった、ここが良かった、とかは書けません(^_^;)それでもこうして記事にしたのは、タイトルロールのマノンを踊ったゼナイダ・ヤノフスキー(Zenaida Yanowski)←大感動したからです。ありきたりな表現ですが、登場からもうマノンそのもので、彼女が舞台上にいる時は踊っていなくても目が離せない!バレエと言えるものは、男性の白鳥が踊るマシュー・ボーン振付の「白鳥の湖」しか見たことの無い初心者の私に、バレエのプリンシパルというのはこういう人のことを言うのね、というオーラとテクニックを見せてくれました。彼女はとにかく素晴らしい。美しい顔にしなやかに伸びる手足、仕草や行動にもいやらしさが無いし、このマノンなら女でも惚れちゃいます!テレビでバレエを見るときや、社交ダンスやスケートのアイスダンスなど、男女がペアになって「踊る」ものは常に男性に目が行く私なのに、今回は男性ダンサーは眼中に無かったですから(笑)難しい振り付けなんだろうけどそんなことは微塵も感じさせないし、彼女が踊るのをいつまでも見ていたかったです。ヤノフスキーはとっても背が高いのですが、今回はデンマークから長身のダンサーのケネス・グレーヴ(Kenneth Greve)を借りてきての公演でした。上で男性に目が行かなかったと書きましたけど、グレーヴさんも良かったですよ、全体的にゆったりとした振り付けで難しそうなのに、デ・グリューの一途なところ、ちょっと間抜けなところとかが良く出ていたと思いました。後はレスコー役のティアゴ・ソアレス(Thiago Soares)も伸びのある踊りで印象に残りました。熱狂的なカーテンコールで、いくつもいくつも花束をもらっていたヤノフスキー、素顔の笑顔も素敵で、ますます気に入りました。

とにかく、今回はヤノフスキーというバレエダンサーを知れてよかった。彼女の出る演目は追っかけたくなっちゃいますね。新たなFOOD FOR SOULです。こういう「出会い」は本当に嬉しいですね~♪偶然一緒になった知り合いは、「今回彼女の初日も見たけど、あまりに素晴らしかったから今日も仕事終わってから電車に飛び乗って見に来たわ。『マノン』は何度も見てるけど、彼女がベスト!」と熱く語ってくれたので、本当に運がいいというか、私の選択は間違ってなかった(笑)これ、オペラで見るのとどっちが感動するかな?


ここからは余談:ヤノフスキーの彼氏はサイモン・キーンリーサイドな訳ですが、この日も会場に来てました。普通の青いシャツに白いだぼっとしたズボンで、バーで友人達?とシャンパン飲んでました。もうちょっといい格好して欲しい(^_^;)っていうか、はっきり言ってあんな素敵な彼女がいるなんて羨ましすぎる!私が彼氏になりたいわ(笑)(注・彼の彼女になりたい、じゃないですよ)


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Sheva

あの~すみません。
GMは誰でした?
by Sheva (2005-11-11 23:12) 

Sheva

わかりました。
William Tuckett さんでした。
ピノキオで忙しいだろうに…
by Sheva (2005-11-11 23:27) 

Sardanapalus

Shevaさん>
あ、まだ直している途中で早速のコメントありがとうございます。ムッシューGMは確かにタケットさんでした。

>ピノキオで忙しいだろうに
どこかで名前を見たな~と思ったら、そういえば「ピノキオ」の人でしたね。本当に、公演も近づいてきて忙しいはずですけど大丈夫かしら。
by Sardanapalus (2005-11-11 23:41) 

dognorah

をを、あなたもマノンを見ましたか!ずっと前に感動した記事をTBさせていただきますね。実は明日、ギエムのマノンを見に行く予定なんです。
ヤノフスキーもすばらしいということをしっかりと記憶にとどめておきますね。キーンリーサイドの彼女とは知りませんでした。
by dognorah (2005-11-12 08:00) 

stmargarets

以前に一度だけコメントした事のある、dognorahさんページ経由でやってきたキーンリサイド好きの者です。あの後もう一度コメントしようと何度か試みたらso-netのメンテで中々できなくて、意気消沈してそれっきりやめてしまいました。
が、私もManon&Yanowskyも好きなので今日は黙っておられず(笑)。(とは言え今回のマノンは予算的に1公演しか取れなかったもので、散々悩んだ挙句Rojo&Acostaの日にしてしまいましたが)
ファンが増えてうれしいです。
dognorahさん情報によると私、Sardanapalusさんとは苗字も同じとか(漢字違いらしいですが)。
というわけでこれからはちょくちょく顔を出させてもらいますね。
そうそう、機会があったらdognorahさんがご覧になるギエムのマノンも観て下さいね(かなり好みが分かれると思いますが)
by stmargarets (2005-11-12 08:50) 

Sardanapalus

dognorahさん>
はい、見ました!(笑)アクロバティックで派手な動きも多かったので飽きずに見ていられたのも良かったのかもしれませんが、ありきたりな話に思いっきり感動してしまいました。ヤノフスキー、かなり良かったです。今度のシルヴィアも行っちゃうかも知れません(笑)ギエムは今回の「マノン」は12日の1度だけですよね。良い席は売れちゃってると思うので、今回は諦めます。でも、またすぐやるでしょう(笑)TBありがとうございました。アコスタもぜひ見てみたいダンサーなんですよね。今年2月-5月のコヴェント・ガーデンのプログラムの表紙で飛んでたでしょう?アレが印象に残っているんです。またチケットが安くなってくれたら行けるのになぁ~。
by Sardanapalus (2005-11-12 09:27) 

Sardanapalus

stmargaretsさん>
はい、覚えていますとも!再訪ありがとうございます~。so-netは一時とても不安定な時がありましたね…。こうして再びコメントしていただけて嬉しいです。

>Manon&Yanowskyも好き
そうなんですか!こんな初心者の何言ってるのか良く分からない記事でごめんなさい。ヤノフスキーは本音と建前の演技も上手くて、マノンとして輝くような魅力を発散していました。はじめて見たのでマノンの性格付けはどんなのが標準なのか分かりませんが、彼女のマノンは結構したたかでした。ムッシューGMのいるところではそれまでいちゃついていたデ・グリューに「これが仕事なのよ!」って感じで冷たい目であっち行け!って指示したり。でも、憎めないんだな~と、デ・グリューと一緒にでれ~っとしながら見てました(笑)ギエムのも見たいですけど、今回はちょっと無理そうです。

>Sardanapalusさんとは苗字も同じとか
あら、そうなんですか!それは奇遇ですね~。知識が無いのであまりバレエのことは書けないと思いますが、12月になればキーンリーサイドの「ビリー・バッド」もあるし、同じ名前の好で(笑)これからもよろしくお願いします。
by Sardanapalus (2005-11-12 09:44) 

娑羅

ゼナイダ・ヤノフスキー・・・懐かしい名前です。
というのは、私は、彼女が92年にローザンヌ・国際バレエコンクールに出た時のTV映像を持っているのです。
確か、彼女は、本選の出場者のトップバッターで、その緊張のためか、クラシック部門ではミスをしてしまいました。
しかし、創作部門では、マッツ・エックの「ジゼル」からのソロを見事に踊り、辛口で有名な、解説者のクロード・ベッシー女史からも絶賛されておりました。
私も大変印象に残り、その後、彼女がロイヤル・バレエに入団したとの情報は得ていましたが、なかなかその後の踊りを見ることが出来ず残念です。
でも、着実に成長し、今や看板プリマになっているのですね。嬉しいです。

ちなみに、このコンクールでは、ゼナイダのお兄さん、ユーリ・ヤノフスキーも出場していました。
by 娑羅 (2005-11-13 21:58) 

Sardanapalus

娑羅さん>
>ヤノフスキー
>92年にローザンヌ・国際バレエコンクール
>今や看板プリマ
そうですね、今ではロイヤル・バレエの人気プリンシパルです。若い頃に注目した人が活躍しているのを知るのは嬉しいですよね♪背が高いのに手足の先まで神経が行き届いていて、私はもう思いっきりノックアウトされてしまいました~(^_^;)ところで、お兄さんもバレエダンサーとは知りませんでした。やっぱり長身なんでしょうか?(笑)
by Sardanapalus (2005-11-14 04:40) 

娑羅

この92年のローザンヌは、今大活躍のダンサーがたくさん出ておりました。
パリ・オペラ座のエトワール、レティシア・ピジョル、ハンブルグ・バレエのイリ&オットー・ブベニチェク兄弟など。
お兄さんのユーリも長身でした。スペイン出身ということですが、ロシア的な名前ですよね。

ところで、マノンといえば、10月、ミラノでギエムがマノンを踊ったそうですが、なんと!終幕の沼地のパ・ド・ドゥで、パートナーのムッルに、リフトで落とされてしまったそうです!
完璧ギエム様に、そんなことが起こるなんて信じられません!(>_<)
ロンドンでの公演は成功するといいな。
by 娑羅 (2005-11-14 12:10) 

Sardanapalus

娑羅さん>
>お兄さんのユーリも長身
そうですよねぇ。くだらない質問に答えてくださってありがとうございます。

>スペイン出身ということですが、ロシア的な名前
私は最近まで彼女はロシア人だと思い込んでいました。親がロシア人でスペインに引っ越してきたとかでしょうかね?

>ギエム
>リフトで落とされてしまった
ええ!ギエムといえば完璧、というのはバレエ素人の私でも聞いたことのある話ですが、そんなに大きなミスがあったのですか!dognorahさんの記事では、今回のギエムは完璧だったようですよ。
http://dognorah.exblog.jp/3062446/
by Sardanapalus (2005-11-14 13:08) 

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