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映画「コンスタント・ガーデナー」 [映画]

今日は最高気温が4度という寒い中、昼から映画を見てきました。イギリスは、一日で一気に5度くらい違う気温になるのでついていくのが大変です。見てきた映画は、話題作「コンスタント・ガーデナー(The Constant Gardener)」。ブラジルの貧民街のギャング抗争と政府の関係を鋭く描き出した「シティ・オブ・ゴッド(City of God)」で一躍有名になったフェルナンド・メイレレス(Fernando Meirelles)監督のハリウッド進出作です。更に、ベストセラー小説が原作、主演はレイフ・ファインズ(Ralph Fiennes)レイチェル・ワイズ(Rachel Weisz)とくれば、自然と期待も高まる訳ですが、なかなか良かったと思います。

ケニヤ在住のイギリス人外交官ジャスティンの妻テッサが、精力的に行っていた社会奉仕活動中に殺害された。同行していたはずの同僚、黒人男性のアーノルドが失踪していたことから、テッサはアーノルドによって殺されたと思われていた。ところが、妻の遺物が押収されたうえ、残された遺品の中にジャスティンの友人サンディからテッサへの極秘の手紙など不可解な点があったために、残された貴重品箱の中の断片的なヒントから彼女の最後の足跡をたどっていくうち、ジャスティンは巨大製薬企業と政府の関係と、妻の死の隠された真実を知ることになる…。宣伝トレイラーはこちらこちら

日本ではまだ公開されていませんのでネタバレにならない程度に書きますが、何よりも映像のカットがカッコイイですね。色彩のセンスもいいし、画面にひきつけられます。それから、「シティ・オブ・ゴッド」でも感じた、権力と金の癒着と弱者への対応、それを助長し、そ知らぬ顔で「援助」を続ける先進諸国などの、社会的な力関係の矛盾と暗部をかなり強烈に描き出しています。この作品ではちょっとその辺りの利害関係の設定が単純すぎるかな、と思いますが、現実からさほどかけ離れている訳でもなさそうなのが悲しいですね。もちろん、自分も恵まれた環境に生まれて育っている訳ですが、それでもこの映画に出てくる官僚や金持ち達のようにはなりたくないです。

楽しみにして行ったレイフ・ファインズは素晴らしかったです!典型的なイギリス人って感じで、ちょっとしたしぐさもジャスティンという人物になりきっていました。妻の遺体を確認した時のなんともいえない表情、ロンドンの彼女の家に戻ってきた時の悲しみの表現などはぐっと来ました。それとは逆に、庭いじりしている時は、本当に嬉しそうなのが可笑しかったです(笑)大学の教授にこんな感じの人いたなぁ、そういえば。顔じゃなくて、物腰や喋り方がジャスティンにそっくりなんです。レイチェル・ワイズも正義感の強いテッサを好演。勝気で元気いっぱい、正義感の強いテスと、ちょっと落ち着いた、物腰の柔らかいジャスティンは良いカップルでした。他にも、ビル・ナイ(Bill Nighy)ピート・ポスルスウェイト(Pete Postlesweite)など、イギリス映画が好きな人なら見覚えのある渋い脇役俳優が出てきてちょっと嬉しかったです。ナイは今回は珍しくシリアスな役でクールな貴族、ポスルスウェイトは相変わらず一瞬で場をさらっていってしまう不思議な存在感のある医者で、どちらも素敵でした。この映画は隅々まで味のある俳優で固められていて、ドキュメンタリーのような雰囲気の強い作品でした。「シティ・オブ・ゴッド」もそうでしたけど、メイレレス監督のこういった現実味のある映画作りの姿勢は、こういう社会派ドラマ映画にぴったりですね。今日の午後は、久しぶりに内容の重たい映画でとっても充実した時間を過ごしました。皆でわいわい言いながら見る内容ではないですが、じっくりと見るべき作品だと思います。これは、邦題をちゃんと考えてつけてほしいです。カタカナで「コンスタント・ガーデナー」じゃ何だか分からないから。でも、直訳の「休みなき庭師」じゃもっと訳が分からないなぁ(^_^;)


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クリス

こんにちは☆イングランドにお住まいなんですねー。こちらはスコットランドです。昨日はマイナス1度になってしまって、えらい寒かった・・・・・・。
私もこの映画観ました。レイフ最高でしたよね、ほんとに彼は巧いのに巧い所をみせつけない自然なところがまたイイです。ストーリーもサスペンス風だったから目が離せませんでした。
ただ、ラストはちょっと疑問なんです。奥さんの気持ちを本当に理解したなら、そういう終わりはどうなの・・・?いいの?って。
by クリス (2005-11-19 01:42) 

Sardanapalus

蟻銀さん>
はじめまして。コメントとnice!ありがとうございます!スコットランドはまた寒いですもんね~。今私が住んでるのはロンドンなので、まだ氷点下までは行きません。それでも5度以下の外気温はコートを通して体に凍みてきますね(>_<)この週末も寒いようなので、しっかり防寒してくださいね!

>レイフ最高
ええ、本当に自然な役作りが素晴らしかったです。大げさな動きもないのに印象に残る場面がいっぱいでした。写真を載せた、ポーチでテッサの帰りを待っているシーンなんて、おっさんに対して「かわいいなぁ~」なんて思っちゃいましたよ(笑)

>ラストはちょっと疑問
あ、それ私も思いました。え?そんな投げやりでいいの?こんな最期で奥さん喜ぶのかなぁ?って。原作はどういう終わり方なんでしょうね。
by Sardanapalus (2005-11-19 04:29) 

ロンドンの椿姫

彼は出演作品は少ないけど、ほとんど秀作ですよね。彼の演技が優れてるということでしょう。
昨日観たハリポタと炎のゴブレットにの出てましたけどね・・。Voldermort役。このシリーズにはすごく大事な役ですよね。私が持ってたイメージよりずっと若々しくて軽い身のこなしのVoldermortでしたが。

それはさておき、この映画評判いいですよね。私も観に行きたいのですが、うちは家族連れなのでちょっと難しいかも。旦那は「特殊効果もなくて人がただ出て来て喋るだけの映画はつまらない」なんて言ってるし。

http://ameblo.jp/peraperaopera/
by ロンドンの椿姫 (2005-11-20 18:45) 

Sardanapalus

ロンドンの椿姫さん>
>ハリポタと炎のゴブレット
ああ、そうそう今週公開でしたね。私もファインズと先生達の演技を見に行くつもりです(笑)身軽なヴォルデモートなんだ~。ちょっと楽しみです。

>家族連れなのでちょっと難しいかも
そうですね、娘さんはまだしも、淡々と進むので旦那さんは我慢できないかも(^_^;)私の父も「アクション」か「コメディ」じゃないと映画見ませんよ(笑)
by Sardanapalus (2005-11-20 19:35) 

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