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ミュージカル「オペラ座の怪人」 [演劇]

私の好きなミュージカルベスト3に入るアンドリュー・ロイド=ウェーバー(Andrew Lloyd Webber)「オペラ座の怪人(The Phantom of the Opera)」へ行ってきました。前回はまだ留学中のロンドンでしたが、今回は4年ぶりの劇団四季の公演です。(東京近郊在住の方なら「オペラ座の怪人は凄いらしい。」のキャッチコピーを目にしたことがおありでしょう)ミュージカルの舞台とはちょっと違いますが映画化もされた有名作品なので、あらすじはカット…というか、せっかく作ってくれているので劇団四季の公演ページへどうぞ。CM映像(要Real Player)や舞台写真が見れます。こちらのマリア・ビョルンソン(Maria Bjornson)のデカダンな美術の方がギラギラの映画の美術よりも断然好きです。更に言うなら、劇中オペラのバレエの振付も舞台のジリアン・リン(Gillian Lynne)の方が好みです。

今回4年ぶりに(とはいえロンドンでも1年に2回は見てましたが^_^;)見に行った理由は、ずばり新しいファントム役の佐野正幸さん。「オペラ座の怪人」の日本初演(18年前)からアンサンブルやラウル役として関わってきた俳優さんが満を持しての主役ということで、否が応でも期待が高まりました。そして、その期待は裏切られるどころか、予想以上に完成度の高い演技でとても感動しました。

とにかく、この6年くらい劇団四季のファントム役は「声はいいけど落ち着いたお父さん」というタイプの俳優さんばかりだったのですが、佐野さんは「スタイルが良くて危険で色っぽいナルシスト」という私のイメージするファントム像に非常に近いタイプの演技を見せてくれたのです。原作の小説でも、ファントムは「お父さん」というよりは「アブない魅力のある大人」で自分の子供のような年齢のラウルにライバル意識バリバリなので、佐野さんのちょっと苦笑したくなるくらいキメキメのポーズやしぐさが嬉しくて嬉しくて…

「ああ~この指先まで神経の通った手の動きが見たかったんだよね~~!(^_^*)」※舞台で見た人なら分かっていただけるかと…

なんて、作品オタクの視点でめいっぱい楽しんでしまいました。日本のファントム役でここまでフェロモンを出しているような怪しい動き(笑)をするのは、約9年前に見た沢木順さん以来ではないでしょうか。正にその公演でこのミュージカルにハマった身としては、こういうセクシーなファントムがまた日本でも見れるようになってとても嬉しいです。しかも、こんな何度も見ているオタクでも「おお、そうくるか!」「え、そんな歌い方アリ?」という新鮮な点が多くて、本当に読みの深い、説得力のある役作りをしていると思いました。ファントム役は全てのセリフがメロディつきなのですが、歌詞をただ歌うだけじゃなくて、それぞれの言葉の感情がありありと読み取れる歌い方だったのも、既に役を掌中にしたかのような余裕すら感じさせました。そういえば、クリスティーヌがファントムのマントのフードをばっ!とめくる場面で勢いあまって仮面も取れてしまったのですが(本当はその後で仮面とカツラをはがされる)、まるでそういう演出であるかのようにぱっとつかんで付け直していたのも流石はベテランの落ち着きぶり。まあ、ラウルの頃にクリスティーヌの楽屋の扉が閉まらなくなったりするトラブルもありましたからね、それくらいじゃ動じないぜ!って感じでしょうけど(笑)まだ歌い始めたばかりなのにこの高水準なので、これからの進化を考えるととても楽しみです。

そんな感じでファントム役だけを目当てにしていたので、クリスティーヌもラウルも全くチェックしていなかったのですが、どちらも良かったと思います。クリスティーヌの西珠美さんはとにかく広いクリスティーヌの声域をしっかり歌えるし、声質もよく合っていると思います。ちょっと演技が物足りないところもありますが、元々クリスティーヌ役にはこだわりが少ないのでそんなに気になりませんでした。ラウル役の鈴木涼太さんは4年前に見たときはまだぎこちない演技でしたが、今回はラウルとしての説得力がありました。動きも「段取り」ではなくて自然でしたし、怪人から離れられないクリスティーヌを心から愛し、自分の力で守っていこうと頑張る若者という役作りが高感度高いです。それから嬉しかったのはメグ・ジリーの宮内麻衣さんが歌えたこと!踊り重視のこの役で、ここまでバランスの取れたメグを見たのはそれこそロンドンも含めて5年ぶりくらいです(^_^;)

他に脇を固めるキャストもレベルが高く、作品全体として楽しめる公演でした。この日の公演は金曜の夜にもかかわらず1階後方にはかなり空席が目立っていたので、舞台の「オペラ座の怪人」に興味のある方は今が狙い目でしょう。お勧め席はあまり前方過ぎない中央辺りですが、海劇場は小さいので見切れないならば2階席でも楽しめるかと。既に決まっている千秋楽(2007年3月21日)近くになるとまた混雑してくるので、私も今のうちに何度か通っておこうと思います(笑)しかし、いちいち上京しなくちゃいけないのが面倒だわ~。来日オペラを見ようと思ったら安いものですけどね。


そういえば、劇団四季のページでも記事になってますが、ラスベガスで新製作された「オペラ座の怪人」その名も「ファントム:ラスベガス・スペクタキュラー(Phantom: The Las Vegas Spectacular)」(ラスベガス豪華版?笑)はロングランすることが出来るのか?専用の豪華劇場まで作ってしまったんですから、何とか続くと良いですね。そして、いつかはその豪華版も見てみたい(^_^)

そして、もっとどうでもいい話。
映画版で「ロックが歌えるファントムが良い」と言っていたロイド=ウェーバーですが、この人たちくらいやってくれればロックなファントムも面白いかもしれません。(YouTubeへリンク)


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euridice

>指先まで神経の通った手の動き
見たいです^^;

映画「しこふんじゃった」のもっくんの台詞を思い出しちゃいました.....
by euridice (2006-09-17 08:39) 

Sardanapalus

euridiceさん>
>>指先まで神経の通った手の動き
>見たいです^^;
ぜひ体験してください!(笑)「ミュージック・オブ・ザ・ナイト」の場面で、ファントムがかっこつけて動く時によく分かります。
by Sardanapalus (2006-09-17 11:30) 

euridice

あらら、勘違いでした。もっくんはもっくんでも「ファンシーダンス」のほうでした^^;;;
by euridice (2006-09-17 12:07) 

atlantisdream

Sardanapalus さんこんにちは。私はこれ、(初演の2年後ぐらいだったと思いますが。。。)市村正親&野村玲子ので10年以上前に見ました。その後ロンドンでも見ましたが、懐かしく思いましたのでコメントさせていただきました。市村氏は今は若い人と結婚しており、野村さんは浅利慶太夫人ですね。人生いろいろです (笑)
by atlantisdream (2006-09-17 17:16) 

Orfeo

Sardanapalusさん、こんばんは。
なつかしいですねえ~!
劇団四季版を私が見たのは、もう20年以上前になりますね。
やっぱり市村正親だったかなあ。
ウェストエンドやブロードウェイで見たときのパンフはあるんですが、四季のは見当たらない・・・。
私も映画版は嫌いです^^;;
by Orfeo (2006-09-17 20:29) 

Sardanapalus

皆さんの懐かしい思い出の琴線に触れたようですね~。コメントありがとうございます。

atlantisdreamさん>
>市村正親&野村玲子
お、日本の初演ファーストキャストコンビですね。当時は市村さんの「危ない」ファントムが話題になっていたとうっすら記憶しています。紅白歌合戦にもでてましたよね。ぜひ実演を見たかったです~。ところで、ラウルはどなたでした?

>人生いろいろ
本当に、気づけばどちらもちょっと驚きの結婚生活を送ってますね(笑)

Orfeoさん>
>劇団四季版を私が見たのは、もう20年以上前
それこそ初演の時でしょうか?羨ましいです~。

>四季のは見当たらない・・・
当時の四季のプログラムって、1センチくらい厚さがあって、かなり大きくてゴツイ「本」といって良い様なものでしたよね。置き場所が無くてどこかにしまいこんでしまったのでは?(笑)

>映画版は嫌いです^^;;
ふふふ、前の記事でもコメント欄で盛り上がっちゃいましたね。私はとにかく、舞台のあの美術と、破綻しそうなストーリーをすぱっとシンプルにまとめあげているプリンスの演出が大好きなのですよ。特にマスカレードの男女半分づつダンサーとか、ファントムの衣装の懐中時計の黒いチェーンとかいった、細かいところまで神経の行き届いた衣装が大好きなので、映画のバロック×100のゴテゴテ美術はどうも受け付けないんですよね…。他にも、ロイド=ウェーバーの趣味なのは分かってますが、何で楽屋からオペラ座の地下に降りて行くのにわざわざ馬に乗ってくの~?とか、原作では鏡が無い設定の地下室に並べられてる大鏡は何~?とか、ツッコミだすとキリが無くて(^_^;)原作好きとしてはファントムが若いという設定も気に入らないし、バトラーの歌唱力の無さにもイマイチ盛り上がれない…(演技は良いと思いますが)。あれで「なんだ、評判は凄いけど大したこと無いじゃん」って言われると悲しい気持ちになりますね。映画を見て舞台もぜひ見たい!と思えるような作りにして欲しかったなぁ。愚痴ったら長くなっちゃいました(^_^;)
by Sardanapalus (2006-09-18 00:49) 

atlantisdream

ラウルは、やはり'四季退団組’のひとり、山口祐一郎さんでした。彼は市村が退団後にファントム役に昇格していたと思いますが、それは見ていません。(ちなみに市村が退団後の初の舞台が、帝劇で初演のミスサイゴンで、それはその市村&今は亡き本田美奈子さん主演のを見たのを覚えてます。)
by atlantisdream (2006-09-18 02:15) 

Sardanapalus

atlantisdreamさん>
>ラウルは、やはり'四季退団組’のひとり、山口祐一郎さん
ということは、今は絶版の日本オリジナルキャストCDのメンバーですね。そう、山口さんもファントムをやって退団。劇団四季は、その後もファントム役→退団という方が多いんですよ(笑)

>市村が退団後の初の舞台が、帝劇で初演のミスサイゴン
四季を退団してもやっていけることを証明した役ですね。ついこの前再演されたときもエンジニアで好評だったようです。
by Sardanapalus (2006-09-18 22:53) 

Sardanapalusさん昨日はありがとうございました^^
TBしてみたのですが、二重になってしまいました。ひとつ、削除お願いします<(_ _)>
by (2006-09-24 23:10) 

Sardanapalus

TBありがとうございます。作品も、その後のだべりも楽しかったですね~。佐野さんの怪人気に入っていただけて嬉しいです。久しぶりに見たミュージカルで、またミュージカル熱再燃してくれるといいなぁと思ってます。東京では来日公演も含めて色々やってますから、オペラと平行して楽しんでくださいね♪
by Sardanapalus (2006-09-25 00:07) 

ASIS2005

見たいなぁ。
飛行機の中で映画は見たけど、やっぱりこれは劇場でしょう。
by ASIS2005 (2006-10-17 05:32) 

Sardanapalus

ASIS2005さん>
返事のコメントが遅くなって申し訳ありませんでした。そう、やはり「オペラ座の怪人」は劇場が良いですよ♪ロンドンでじっくり見てくださ~い。
by Sardanapalus (2006-11-03 11:42) 

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