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アンジェラ・ゲオルギューのリサイタル@The Barbican [音楽(クラシック)]

5月8日にロンドンのバービカン(The Barbican)で行われたアンジェラ・ゲオルギュー(Angela Gheorghiu)のリサイタルは、会員予約で1年も前からチケットを取っていてくださったロンドンの椿姫さんのお陰で、前方中央の席に座ることが出来ました。今回はフル・オーケストラとの組み合わせということで、有名オペラアリアを並べたプログラム構成。ちょっと手抜き感が無いわけではないですが、まだ時差ぼけのある中難解なものばかり歌われるよりは気楽に聞けて嬉しいプログラムです(^_^;)

1曲目はヴェルディの「ナブッコ」前奏曲。前方の席なので巨大な音量に思わずのけぞってしまいましたが、イオン・マリン(Ion Marin)の指揮はメリハリがあるけれど出しゃばりすぎず、オペラのオケとしては適した音作りだったと思います。盛り上がってくると指揮台の上でドタバタとうるさいのが玉に瑕ですが。

2曲目からはゲオルギュー登場、モノトーンのおとなしいドレスでジョルダーニの「いとしいあなた(Caro mio ben)」をさらりと歌った後、ヘンデルの「涙あふるる(Lascia ch'io pianga)」へ。ちょっとふらついたところもありましたが、全体としてはまずまず好調な滑り出しのようです。ゲオルギューのヘンデルは、予想通りあまり似合わないような…(^_^;)本人もかなり緊張していたように見えました。(どんな感じなのか聞きたい方はこちらへどうぞ。うーん、この映像のドレスはどうだろう?)

その後はまたオケのみでマスカーニ作曲「カヴァレリア・ルスティカーナ」からの間奏曲。この曲はほんっとうに美しいですね~。この曲が生演奏で聞けるなら、どんなオケでも指揮者でも構いません。

ここで2度目の登場ゲオルギュー。まずはレオンカヴァッロ「道化師」からネッダのアリア「鳥の歌(Stridono lassu)」でしたが、先ほどのヘンデルに比べると格段に余裕のある歌唱で落ち着いて楽しむことが出来ました。やっぱり彼女の声に合うのはこういう作品でしょう。続くプッチーニの「つばめ(La rondine)」の中のアリア「なんと美しい夢(Ch'il bel sogno di Doretta)」では声もしっかり出るようになって、本人も楽しんでいるようでした。

休憩後は当然(?)ドレスチェンジです。今度はインド~アジア系の刺繍や素材を意識したクリーム色+ピンクのドレスで、先ほどよりは少々華やかさがあがりました。センスが良いかどうかは…コメントは控えたいと思います。休憩前から引き続きプッチーニの「マノン・レスコー」のマノンのアリア「この柔らかなレースの中で(In quelle trine morbide)」をさらりと歌った後は、ビゼー「カルメン」の「ハバネラ(Habanera)」。あーそういえば家には彼女のカルメンのCDがあるわ~なんてことを思い出しながら聞きましたが、この頃には歌詞に合わせて体を動かしてノリノリでした。声の方もすこぶる好調です。

しかし、ここで盛り上がった流れを思いっきりぶった切るチャイコフスキーの「ロミオとジュリエット幻想曲」が入ります。演奏としては悪くないんですけど、どうしても時差ぼけの身としては意識が遠のいてしまいました。だってだって、20分もあるんですもんー。

しかし、ここでの眠気を吹き飛ばしてくれたのが再び着替えて登場のゲオルギュー。何せ真紅のサテンのドレスの背中に宝石(スワロフスキー?)の蝶だかトンボだかがくっついているんですから!目がチカチカしました(笑)こうして書くとけなしているように聞こえそうですが、このドレスは彼女に良く似合っていましたよ。流石はメインのドレス、存在感も桁違い。そのドレスで歌うのは、再びプッチーニの有名アリア2曲。「ジャンニ・スキッキ」の「私のお父さん(O mio babbino caro)」と「蝶々婦人」の「ある晴れた日に(Un bel di vedremo)」でしたが、特に「ある晴れた日に」は今回のハイライトといえる出来で素晴らしかったです。低音も苦しくならないのがいいですね。こんなに表現豊かに歌われたら、いつもは「なんて単純なんだ!」とイライラする蝶々さんに思わず肩入れしてしまいます。彼女の大仰な演技は好みが分かれそうですが、私はけっこう好きです。これぞゲオルギュー(笑)彼女の蝶々さんなら、生で見てみたいですね。声もここに来て絶好調、歌い終わった後はブラボーの嵐でした。うーん、やっぱりイタリアもののアリアをこうしてがっつり歌ってくれると気分が良いです!(^^)

この日はゲオルギューもかなり満足のいく出来だったようで、カーテンコールも終始笑顔で、アンコールも3曲ありました。1曲目はどうやら定番らしい「ムジカ(musika)」、2曲目はミュージカル「マイ・フェア・レディ」から「踊り明かそう(I could have danced all night)」、そして最後は何とララの「グラナダ(Granada)」でした。(これも興味のあるかたはこちらで聞けます。アンコールの定番曲にしてるようですね)女声の「グラナダ」を聞くのは初めてで驚いてしまいましたが、とにかくゲオルギューも指揮者もとっても楽しそうで、声はガンガン響き渡るし客もノリノリだし、とても気持ちよく終わったリサイタルでした。いくつか出ている批評では声がオケにかき消されていたというコメントを見ますので、私が楽しめたのはゲオルギューのまん前に座って聞いていたからでしょう。ということで、ロンドンの椿姫さん素敵な席をありがとうございました。この日のドレスの写真が満載のロンドンの椿姫さんの記事はこちらです。


☆プログラム☆

Verdi Overture: Nabucco
Giordani 'Caro mio ben'
Handel 'Lascia ch'io pianga'
Mascagni Intermezzo from Cavalleria Rusticana
Leoncavallo 'Stridono lassu' from I Pagliacci
Puccini 'Ch'il bel sogno di doretta...' from La Rondine 
  ------
Puccini
'In quelle trine morbide' from Manon Lescaut
Bizet 'Habanera' from Carmen
Tchaikovsky Overture: Romeo & Juliet
Puccini 'O mio babbino caro' from Gianni Schicchi
Puccini 'Un bel di vedremo' from Madama Butterfly
  ------
Musika
Frederic Loewe 'I could have danced all night' from My Fair Lady
Lara Granada

Angela Gheorghiu, soprano
London Symphony Orchestra
Ion
Marin, conductor


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コメント 8

keyaki

リンク先にも行って、見てきました。
グラナダは、どうなんだろう。私めは、中学生の頃から、マリオ・デル・モナコのに慣れ親しんでいるので、もうちっとカチッと決めて欲しいっていうか、やっぱり男性歌手のもんじゃないでしょうか。

トスカの映画に出演した時くらいに、ムチムチってしているほうが好きだわ。なかなかちょうどいい状態に保つのは難しいんでしょうね。

>イオン・マリン(Ion Marin)
って、15年前のことですが、ライモンディとM.プライスのジョイントコンサートでも指揮してました。経歴に、アバドのアシスタントとしてウィーンに招かれた..とかありますので、アバドつながりで、コンサートの指揮者として同行したのでしょうね。
なんか、覚え易い名前なんで、ちゃんと記憶に残ってました。当時は、とっても若い指揮者でしたよ。30歳かな。
by keyaki (2007-06-01 21:51) 

Sardanapalus

keyakiさん>
いつもすばやいコメントありがとうございます。

>グラナダは、どうなんだろう
私もはじめて聞いたのが確か3大テノールコンサートだったし、その後もテノールの録音ばかり聞いていたのでイントロを聞たときは幻聴かと思ってしまいました。ちなみに、映像のオケよりLSOの方が断然上手で指揮にもしっかり反応していたので、もっときっちり歌えていたと思います(フォローフォロー^^)。この前のClassical Brit Awardsのフローレス(Opera Shareにあります)の歌唱よりは違和感がなかったですョ。

>>イオン・マリン(Ion Marin)
へえ~そういう人でしたか。確かに覚えやすい名前ですね(笑)プログラムのプロフィールを読んでみたら、確かにアバドの元にいたとあります。どうやらLSOともよく演奏しているようで、終始和やかな雰囲気のリサイタルだった理由がわかりました。
by Sardanapalus (2007-06-01 23:52) 

keyaki

>Classical Brit Awardsのフローレス(Opera Shareにあります)の歌

これね、何度も目にしましたが、食指が動かないっていうか、あえて無視してましたが、そういうことでわざわざアップしてあったんですか。そういうことって、珍版迷版っていう意味なんですけど、そんじゃ聞いてみよっと。(笑
===============

聞きました。
最初のグラナァ〜ダから、デル・モナコのを聴き慣れていると、ちょっとずっこけ気味。でも、珍版迷版なんて言ったら怒られちゃいますね。コンサートでは必ず歌っているんですね。
テバルディとキリのもあって吃驚、残念ながら、削除されていました。テバルディのは、アップルストアで試聴できましたが、やっぱり、ちょっとね、です。ゲオルギューのように、くずして歌った方がいいかもですね、女声の場合は。
by keyaki (2007-06-02 03:16) 

Sardanapalus

keyakiさん>
>あえて無視
(^^)私は「グラナダ」大好きなので、どんなもんかいな、と好奇心から聞いてみました。で、やっぱり第一声で「うーん」となってしまったわけですが。

>珍版迷版なんて言ったら怒られちゃいますね
ですね。彼なりの表現で歌っていると思います。私の好みとしてはもっとギラギラした感じというか、ノリが欲しいです。

>テバルディとキリ
えっ、えっ、そうなんですか!ゲオルギューよりも更に想像しにくいですが、女声でもそこそこ人気のレパートリーなのでしょうか?テノールならきっかり歌う方がカッコイイですが、女声の場合はちょっとくずさないと、声とオーケストレーションがかみ合わないかもしれませんね。
by Sardanapalus (2007-06-02 18:02) 

stmargarets

フロレス様の方がいいじゃーん(笑)。

でも何でわざわざヘンデルを歌うのはやっぱり観客ウケがいいからですかね?
by stmargarets (2007-06-02 19:54) 

Sardanapalus

>フロレス様の方が
ふふっ、stmargaretsさんならそう言うと思いました♪ゲオルギューは、女声で聞いた割にはパワフルでよかったな~という程度ですから。私の「グラナダ」の基準は、もっとかっちり、ばりっと歌ってくれるテノールです。

>何でわざわざヘンデル
これは本人に聞きたいくらいです。何でだろう?大好きな曲ですが、ゲオルギューの歌唱スタイルは合っていないように思いますけどね。本人のリサイタルですから選曲も彼女の自由といえばそれまでですが、ヘンデル入れるくらいならヴェルディ歌って欲しかったです。トスカとか。
by Sardanapalus (2007-06-02 20:07) 

ロンドンの椿姫

ご一緒して下さってありがとう。
この切符は、なんと13、4ケ月前に買ったものなんですよ。去年は会員でなくても初日から買えましたので。一緒に行く予定だった人が行けなくなって、それなら誰を誘おうかと思っているときにちょうどサルダナさんから連絡があったわけです。

ヘンデルは一番長い歌だったけど、ほんと彼女には全然合ってませんでしたね。出来も一番悪かった。チェチリア・バルトリもリサイタルで歌ったことがあるのですが、私の軍配はためらわずチェチリアに、です。

長い間楽しみに待ってんだから、もうちょっと本格的オペラアリア歌って欲しかったですね。でも調子はよかったし、ドレスを2回も着替えてくれたからいいことにしよう・・・。
by ロンドンの椿姫 (2007-06-03 18:10) 

Sardanapalus

ロンドンの椿姫さん>
ロンドンに来て早々に素晴らしいチケットのおこぼれをいただいてしまって、本当に幸せです。いつもありがとうございます。

>ドレスを2回も着替えてくれたからいいことにしよう
そうしましょう(^^)本当はもっとオペラアリアを歌って欲しかったですけどね。「宝石の歌」(ファウスト)とかは歌詞覚えてないかな~?
by Sardanapalus (2007-06-05 21:58) 

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