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Proms 2009: Prom 8 ケンブリッジ大学創立800周年記念コンサート [Keenlyside]


先週の金曜日に始まったProms 2009に行ってきました。行ってきたProm 8のテーマは、ケンブリッジ大学創立800周年記念コンサートというもの。ケンブリッジ関係者も多い中、私の目的はずばりサイモン・キーンリーサイド(笑)「セヴィリアの理髪師」ではキーンリーサイドのフィガロを聴くのを楽しみにしていたのにキャンセルされてしまってがっかりでしたが、今回の公演では無事に元気な姿を見せてくれました。よかったよかった。プログラムは以下のとおりです。

Vaughan Williams "The Wasps - Overture"
Ryan Wigglesworth "The Genesis of Secrecy" BBC commission: world premiere
Vaughan Williams "Five Mystical Songs"

Stanford "Magnificat and Nunc dimittis in A major"
Jonathan Harvey "Come, Holy Ghost"
Judith Weir "Ascending into Heaven"
Saint-Saens "Symphony No.3, 'Organ' "

Simon Keenlyside, baritone
Thomas Trotter, organ

Choirs of King's and St John's colleges
Choirs of Clare, Gonville and Caius, and Trinity colleges
Choirs from combined Cambridge colleges

BBC Symphony Orchestra
Sir Andrew Davis conductor
Stephen Cleobury conductor for Jonathan Harvey
Andrew Nethsingha conductor for Judith Weir


今回はケンブリッジ大学の記念イベントということで、卒業生代表(?)のチャールズ皇太子が参加されただけでなく、ケンブリッジの各カレッジから合唱隊が集められ、指揮者のアンドリュー・デイヴィスも、歌手のサイモン・キーンリーサイドも、オルガンのトマス・トロッターも、果ては演奏された曲の作曲者に至るまで、全員がケンブリッジに縁のある人たちばかりという正にケンブリッジ尽くしのコンサートでした(サン=サーンスはケンブリッジ大学から名誉博士号を送られています)

Proms恒例の世界初演の曲や少年合唱と男声合唱のみで構成された曲も2曲ありましたが、やはりこのコンサートで盛り上がったのは、合唱が素晴らしかったヴォーン・ウィリアムズ(Vaughn Williams)の「5つの神秘的な歌(5 Mystical Songs)」とスタンフォード(Stanford)の「マグニフィカット・アンド・ヌンク・ディミッティス(Magnificat and Nunc dimittis)」、そして巨大なオルガンがホール中に鳴り響いたサン=サーンス(Saint-Saens)の「交響曲第3番『オルガン付き』(Symphony No. 3 "Organ")」だったと思います。

まず、「5つの神秘的な歌」ですが、キーンリーサイドもCDで歌っているピアノ伴奏のバージョンしか聴いたことがなかったので、今回のオーケストラと合唱つきのバージョンは想像ができなかったのですが、聴いてみたらばこちらのバージョンの方が歌詞ともしっくりくるし、よりドラマティックで私の好みでした(^^)ヴォーン=ウィリアムズの美しいメロディがオーケストラと合唱によって更に魅力的になっていましたし、題材からしても、バリトンのソロが合唱を先導する構成からしても、ちょっとしたカンタータのようでした。キーンリーサイドの調子はなかなか良かったと思います。楽譜を見ながらの歌唱でしたが、非常に聞き取りやすい英語で合唱と息を合わせて歌ってくれたので(さすが元合唱団員^^)、曲の魅力がしっかりと引き出されていたと思います。


5つの神秘的な歌の後のカーテンコール


統制の取れたケンブリッジの合唱隊の素晴らしさは、休憩の後の「マグニフィカット・アンド・ヌンク・ディミッティス」で最大限に発揮されました。この曲での合唱隊は個々の歌唱技術が素晴らしいだけでなく、最後までぴったりと息の合った歌唱で、ただただ圧倒されてしまいました。やはり残響音の多いチャペルで毎日歌っているとこういう一体感が生まれるのでしょうか。普段は個々の合唱隊同士がライバル関係にあるそうですが、ここではまるでもともとひとつの大きな合唱団であるかのような雰囲気でした。合唱曲にはうといのでこの曲は初めて聴いたのですが、荘厳かつ感動的な曲で一気にファンになってしまいました。イギリスでは良く演奏される曲のようですが、もともとオルガンと合唱のための曲だそうで、今回のようにオーケストラも入るバージョンは珍しいようです。私にはこのバージョンがお気に入りなので、今回の演奏がラジオで放送され、ネット上でオンデマンドで1週間聴き放題になって本当に嬉しいです。下にはってあるiPlayerへのリンクのPart 2の1曲目ですので、ぜひ皆さんも聞いてみてください。特にブラームスの「ドイツ・レクイエム」が好きな方なら絶対に気に入っていただけると思います。

そして、トリを飾るのに相応しいサン=サーンスの「オルガン付き」は、正にロイヤル・アルバート・ホールで演奏するための曲といっても過言ではないと思います。あの巨大なオルガンが鳴り響き、オーケストラも負けじと大音量で張り合う終楽章の迫力は、会場中がびりびりと震えるほどでした。アリーナの最前列にいたので、その巨大な音を思い切り感じることが出来ましたが、気持ちよかったです~。

それから指揮に関してですが、以前ラストナイトを指揮している姿を見てから、ぜひ一度アンドリュー・デイヴィスの指揮するPromsコンサートを聴いてみたいと思っていたので、今回は非常に楽しみでした。想像していたとおり、人懐っこい笑顔と激しいアクションの指揮でオーケストラをぐいぐいとひっぱっていくとても魅力的な指揮者でした。最初の国歌の演奏では、コーラスは無視して観客への合図に大忙しだったり、カーテンコールの最後にケンブリッジ800周年記念の小旗を振りながら出てきたり、といったお茶目なところもいいですね。ラジオ放送の曲紹介でも、サン=サーンスの「オルガン付き」をニューヨークで弾き振りしたときの体験談などを面白く語っています。…っていうか、そんなことが可能なんですね(@_@;)


☆Radio 3 iPlayer☆
Prom 8 - Part 1("5 Mystical Songs"はこちらのファイルの28:40辺りからです)
Prom 8 - Part 2
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コメント 4

どきち

こんにちは。
こっそり時々のぞいてたBBC交響楽団のファンのどきちです
サー・アンドルーの写真が載ってるのでコメントを。
最近は、SOを振る事は少なくなってるんですが
私は、このコンビが大好きなのです

でも・・このコンサート
実は、首席のチェロが私の好きな方が当番してないのが
分かってるので少しだけ残念な事もあるけれど
(5つの神秘的な歌と最後の交響曲第3番)を楽しみに
聞きたいと思っています

追伸
記事の最初の方に載せてる記念の小旗とGパンの写真
いいですね(^^)
by どきち (2009-07-24 12:04) 

Sardanapalus

どきちさん>
お久しぶりです!今年のプロムスでの今後のBBC交響楽団の演奏は楽しみですね。

>私は、このコンビが大好き
本当に、一心同体というか非常に意思の疎通のとれている指揮者とオーケストラだと思いました。お好きなチェリストが非番というのは残念ですが、演奏はとてもレベルの高いものでしたから、楽しんでいただけると思います。

>記念の小旗とGパンの写真
小旗は、ケンブリッジ関係者が無料で配っていたものです。当日券に並んだので、暇な時間に1枚撮ってみました(^^)
by Sardanapalus (2009-07-24 18:15) 

ユキタロウ

タイムリーな投稿ありがとうございます!

「Proms」と言えばTVで見る「ラストナイト」しか印象に無かったのですが、今頃からやってるんですね~!しかもBBCを通して手軽に聞けるとは全く知りませんでした!暇な時に聞いてみます。


by ユキタロウ (2009-07-24 21:24) 

Sardanapalus

ユキタロウさん>
そうなのです。いつも日本ではラストナイトしか放送されないのでどれだけ長い音楽フェスティバルかが認知されていないのですが、約2ヵ月半に渡って毎日コンサートが行われるイベントがPromsなのです。

ちなみに、本日のコンサートは、準メルケルが指揮するフランス・日本プログラムで、諏訪内晶子がヴァイオリンを披露しています。今までの公演の中でも評判がいいのはProm5のマーラー交響曲9番(ハイティンク指揮)ですので、ぜひお聞きになってみてください。
by Sardanapalus (2009-07-25 06:30) 

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