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PROMS 2009: Prom 56 ショパン、リヒャルト・シュトラウス [音楽(クラシック)]

もうPROMS 2009も終盤にさしかかってきました。ついこの前Prom 8に行ったと思っていたら、すでにProm 56なんですね。今回のお目当ては、何といってもラン・ラン(Lang Lang)の弾くショパンのピアノ協奏曲第2番でした。第1番はよく聞きますが、第2番を生で聴くのは初体験ということもあって、とても楽しみにしていた公演です。オーケストラは歴史あるシュターツカペレ・ドレスデン(Staatskapelle Dresden)、指揮者はファビオ・ルイージ(Fabio Luisi)というインターナショナルな組み合わせがどうなるか、という点も興味がありました。

コンサートの1曲目はレベッカ・ソーンダース(Rebecca Saunders)というベルリンを拠点に活躍している(らしい)作曲家の20分程度の曲でしたが、タイトルすら思い出す気にならない苦手なタイプの現代音楽で、危うく寝てしまいそうでした。唯一面白かったのは忙しそうにあれこれと音を出していたパーカッションのセクションだったので、曲を聴くと言うより楽器の持ち替えを見て楽しみました。

そんな感じで盛り下がってしまった会場を一気に盛り上げたのが、2曲目のショパンの「ピアノ協奏曲第2番」でした。黒シャツに白いジャケットで登場したラン・ランは、第1楽章から音楽を目いっぱい楽しんでいる様子で、1曲目は落ち着かなかった客席も、ごく自然に曲に引き込まれていきました。やっぱりこういうところは大作曲家とスター性のあるソリストの「凄さ」を感じますね。特に素晴らしかったのは第2楽章で、ラン・ランの表現力の高さが存分に味わえる弱音の響きが広いロイヤル・アルバート・ホールの隅々まで染み渡り、幸せなひと時を過ごしました。ラン・ランのピアノ演奏は生で聴けば聴くほど弱音の表現力の素晴らしさを実感します。

第3楽章は、内向的だった第2楽章とはうってかわって、オーケストラや指揮者と盛んにコンタクトを取りながら楽しそうに軽々と弾ききってくれました。やっぱりラン・ランのピアノは楽しく聴けていいですね♪アンコールは短いショパンのエチュード25-1を1曲だけでしたが、クールダウンにはぴったりでした。テレビ中継もあったこの公演、ラン・ランは休憩時間のインタビューの中でバレンボイムと3ヶ月に1度レッスンをしていることを明かしています。2人は全然違うタイプのピアニストですが、そこが逆にいいのかもしれませんね。

ところで、ラン・ランは9月には日本でも同じ曲を演奏するんですよね。そちらの公演はメータ指揮ウィーン・フィルとの競演ということで、最近出したCDと同じ組み合わせです。このCDはきっと近いうちに買ってしまうだろうなぁ。

ショパン:ピアノ協奏曲第1番&第2番

ショパン:ピアノ協奏曲第1番&第2番

  • アーティスト: ラン・ラン,ショパン,メータ(ズービン),ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
  • 発売日: 2008/10/29
  • メディア: CD

盛り上がったショパンと休憩の後は、このオーケストラのために書かれたリヒャルト・シュトラウスの「アルプス交響曲(Eine Alpensinfonie)」でした。何とばらばらのプログラム(笑)でも、巨大なロイヤル・アルバート・ホールにはこういう大編成の壮大な曲が良く合いますので、休憩前と比べて明らかに混み合っているステージを見ただけでわくわくしてきました(^^)

演奏の印象としては、非常に生々しいというか、実際にアルプスに登山しているような荒々しさを感じさせる演奏でした。やはり演奏しなれている曲なのでしょう、各セクションともショパンのときよりも断然安定した音を聞かせてくれました。特にフォルティッシモの部分は、普通のホールではとても出せないMAXの音量で演奏しても何の問題もないので、奏者たちも楽しそうでした。更に巨大なパイプオルガンがホール中に響き渡れば、もう聴いている方も笑うしかないって感じです(^^)ルイージの指揮がこの曲の魅力を十分にひき出しているかどうかは少々疑問が残りましたし、オーケストラの特に金管のつめの甘さが所々気になったのは事実ですが、終わってみればそんな細かいことはどうでもいいか、と思わされてしまう不思議な演奏でした。

以前、ウェルザー=メスト指揮グスタフ・マーラー・ユーゲント・オーケストラの演奏で聴いたときは、観光用の1ミリのピントのずれもないハイビジョンのアルプス映像を巨大スクリーンで見ているような感じでしたが、今回は実際のアルプスを感じることが出来て、その違いも面白かったです。

☆関連リンク☆

Prom 56: Staatskapelle Dresden
※上のページからネット上のオンデマンド音源(9月2日まで)にリンクしています。ショパンはPart 1の25:10辺りからです。

Lang Lang公式ホームページ(英語)
ユニバーサル・クラシックスのLang Langページ(日本語)

Staatskapelle Dresdenの公式ページ(ドイツ語、英語)
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コメント 2

itoko

一緒に演奏を聴いた感じになりました。
ラン・ランさんは、不勉強で初めて知る方なのですが、とても素敵なのですね。
繊細な響きをとても表現豊かに演奏されるんだあ・・・と、読んでいてウットリしてしまいました。
生演奏を聴く機会が、とんとご無沙汰なので、お借りした「のだめ」から想像するのが精一杯でしたが(汗)、それでもホールの広がりの感じとか、演奏の響きとか、聴衆の感嘆とか、演奏者のノリノリぶりとか、イメージが広がりました。
素敵な時間を過ごすことができました。ありがとうございます(^^)

日本は、まだ日差しが強く日中は暑いですが、風は大分秋の気配になってきましたよ。空が美しくて、見飽きません。
イギリスの空は、いかがですか?
by itoko (2009-08-29 10:06) 

Sardanapalus

itokoさん>
こんなレポートでも楽しんでいただけて嬉しいです。やっぱりクラシック音楽は生で聴くのが一番ですね。ラン・ランは、くせになりますよ(笑)

>イギリスの空
見事に晴れていたと思ったら一転どんよりと曇ったり、雨が降ったと思ったら太陽が顔を覗かせたり、という典型的なイギリス風の空模様がつづいています。でも、気候は穏やかでまだ何とか「夏」かしら、という感じですね。日本で言ったらすっかり秋の気温ですけど、気持ちがいいですよ(^^)
by Sardanapalus (2009-08-30 00:51) 

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