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オペラ「マクベス」@ROH(5月27日) [オペラ(実演)]

5月24日の初日も見に行ったオペラ「マクベス」の2回目を見てきました。この日は皆さん余計な力が抜けていて、オケと歌手のタイミングなども改善され、全体としての完成度は初日以上で非常に楽しめました。

特に、初日は少々物足りなかったマクベスと夫人のやり取りが、この日はキーンリーサイドとモナスティルスカの演技が上手くかみ合っていて、マクベスが王位を得ることで変わっていく2人の関係がとても分かりやすかったと思います。それから、初日はいい演奏だったけれど所々ばらついたパッパーノの指揮とオーケストラですが、この日は最初からノリノリで、勢いのある魅力的な音楽を聞かせてくれました。舞台近くに座った友達によると、パッパーノはほぼずっと歌いながら指揮をしていたとのことで、本人としても気持ちよく振れていたのではないかと思います。"Pieta, rispetto, amore"での、キーンリーサイドのしっかりした歌唱に寄り添いながらもリードしていくパッパーノの、テンポは少し速くても思いっきりロマンチックな指揮がとても印象的でした。実はこのアリア、いわゆる「ブンチャッチャ」系なのであまり好きじゃなかったのですが、パッパーノのおかげで好きになれそうです(^_^)

キーンリーサイドとモナスティルスカのことは初日の記事でも書きましたが、今回はキーンリーサイドはより軍人マクベスとしての説得力のある細かい演技をしていましたし、モナスティルスカは劇場に合わせた声のコントロールができるようになって、最後までしっかりペース配分ができていました。初日の記事ではほとんど触れなかったバンクォー(レイモンド・アチェート)マクダフ(ディミトリ・ピッタス)は、何人かの批評家に「棒立ちで演技していない」なんて書かれちゃっていますが、それはそういう役なんだから仕方ないでしょう(笑)目立ちすぎず、かといって穴を開けるような歌唱でもなく、しっかりと作品を支えていると思います。歌手の中では、マルコム役のスティーブン・イベル(Steven Ebel)だけがちょっと弱いように思いますが、まあ見た目は長身で顔も悪くないので、映像にするにはいいのではないでしょうか。
せっかくロンドンでの休暇なので、「マクベス」以外にもいろんな演劇やミュージカルを見るつもりなのですが、これだけ充実した公演を見せられると、何度でも観たくなってしまうので困ります。チケット買い足さないと…。


終演後、ステージドアでキーンリーサイドに左腕のことを聞いてみたところ、上腕三頭筋を痛めたのだそうです。しかも、元々数年前の「魔笛」での奈落落下事故の時に他の上腕の筋肉を損傷していたためこの機会に大掛かりな修復術をしたそうです。あのごついサポーターはしばらくしたら取れるそうですが、自由に腕を使えるようになるには8ヶ月!ほどかかるとか。いやはや、お大事にしてもらいたいものです。それから、余り似合っていなかったあごひげ(以下の写真の水色矢印)をこの日はつけていなかったのでどうしたのかと聞いたら、「ベッドに倒れこむたびに取れそうになって気になったから、もうつけるのをやめた」んだそうです。代わりに自前の無精ひげを生やしていましたが、変なジェダイみたいな雰囲気が無くなってよかったと思います。
macbeth 2.jpeg
注)似合わないひげを夫人に笑われて憮然としている訳ではありません(^^)

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コメント 2

sam

見ましたヨ~、勿論DVDです!
とっても素敵でした...すこし老けたかしら...ヌッチのPiet、 rispetto, amoreも良いですけどサイモンのはとっても好き~
by sam (2012-06-24 09:24) 

Sardanapalus

samさん>
コメントありがとうございます。この公演のDVD、なかなか上手に収録されていて楽しめますよね。

>サイモンのはとっても好き~
今までのこのアリアのイメージと違う歌唱で、劇場で聴いていてもとても新鮮でした。マクベスの脆さというか、人間の脆さを感じさせてくれます。他の部分でも、ふとマクベスの弱い面が見える歌唱があって、キーンリーサイドの歌うマクベスはかなり好きです。願わくば、もっと充実した演出で歌ってほしいものです。
by Sardanapalus (2012-06-25 11:19) 

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