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ROH来日公演「マクベス」 [オペラ(実演)]

英国ロイヤル・オペラ5年ぶりの来日公演に行ってきました。5年前は「椿姫」「マノン」とどちらも破滅していく女性が主演のオペラでしたが、今回はヴェルディの「マクベス」とモーツァルトの「ドン・ジョヴァンニ」で、「どちらも超自然の力との邂逅を描く」(パッパーノ)話で、「自らの運命を自ら切り開こうとした男」(キーンリーサイド)が主演です。まずは9月12日~21日まで4度公演を行ったマクベスについて記事にしたいと思います。

私が見に行ったのは、初日(12日)と千秋楽(21日)の2回。実は、DVDになっている2011年の公演と歌手もほぼ一緒、演出も一緒ということで、あまり気分は上がらずに当日を迎えました。主役のキーンリーサイドも昨年末からずっとキャンセルしていて舞台は久しぶりだし、キャンセルせず来日してくれただけでもいいか、程度に思っていたのです。実際には、久しぶりにオペラで大当たりの公演となりました。

キーンリーサイドのマクベスはロンドンでも見ていますが、今回の公演の方が、マクベスの人物像がよりはっきりと伝わってくる歌唱と演技でした。

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オペラ「フィガロの結婚」@ウィーン国立歌劇場 [オペラ(実演)]


1月前半のウィーン国立歌劇場はモーツァルトのダ・ポンテオペラ祭(笑)状態でしたが、そのうちの「フィガロの結婚」を見てきました。楽しみにしていたキューマイヤーが早々に伯爵夫人を降りてしまったのは残念でしたが、お目当てのサイモン・キーンリーサイド(Simon Keenlyside)は元気に伯爵を歌ってくれました。

キーンリーサイドは、伯爵を演じなれていることもあってか、余裕を感じさせる歌唱と演技で圧倒的な存在感でした。レチタティーボやアリアを表情豊かに歌いこなすだけでなく細かい演技面も面白くて、いっぱい笑わせてもらいました。今回は、あまり押しつけのない演出だったので、キーンリーサイドの雰囲気によく合った、困ったちゃんなハイテンションエロ伯爵像を見せてくれたと思います。夫人の間男をクローゼットに閉じ込めたと思い込んでいる時のにやにや顔や、偽物のラブレターを書いていないと否定するフィガロを問い詰める様子や、アントーニオを部屋から蹴りだす姿、バルバリーナに「愛してくれれば欲しいものをなんでもあげると仰ったわ」発言に「え、そ、そんなこと言ったかな~~(汗)」と狼狽える姿には、思わず吹き出してしまいました。この他にも、そこここの場面で自分が一番賢いと勘違いしている姿は、「セヴィリアの理髪師」におけるバルトロや、もっと言えば映画「ホーム・アローン」のお間抜け泥棒コンビを彷彿とさせる滑稽さがあり、常に大騒ぎする伯爵に大いに笑わせてもらいました。正にこちらの批評のタイトルの通り「キーンリーサイドの夜(Le Notte de Keenlyside)」と呼ぶに相応しい大活躍でした。

さて、そんなノリノリの伯爵に対抗するフィガロたちですが、全体としてはバランスの取れた丁寧な歌唱をしていたと思います。フィガロ役はルカ・ピサローニ(Luca Pisaroni)。フィガロにしては大人し目の役作りでしたが、感情豊かなレチタティーボと端正な歌唱は好印象でした。傍若無人な伯爵をのらりくらりとかわしていたのに、あまりにもあれこれと結婚式を先延ばしにされて最終的に怒りを込めた「マーチですよ!さあ、行きましょう」にリアリティがありました。今後も、可愛らしいワンちゃん2匹に元気をもらってばんばん活躍してほしいものです。スザンナを歌った若手注目株のアニタ・ハルティッヒ(Anita Hartig)は、演技が上手くてスザンナにはぴったりでしたが、歌唱的にはもう少し研鑽が必要かな、と感じました。高音がキンキンで伯爵夫人の役にアップアップしていたオルガ・ベズメルトナ(Olga Bezsmertna)は見た目は悪くないので、これから頑張ってもらいましょう。ケルビーノは元気いっぱいのレイチェル・フレンケル(Rachel Frenkel)が好演していました。歌も癖がなく、思春期真っ盛りの少年役がとてもはまっていたと思います。脇役のおバカトリオは皆さん芸達者で(一番重要!)、アンサンブルも大切にしていて好感度大でした。特に、ドン・バジリオ役のパヴェル・コルガティン(Pavel Kolgatin)は、あれこれ小芝居を仕掛けてくる伯爵にお付き合いして、あれこれ細かく動いていて楽しませてもらいました。それと、 ペーター・イェロシッツ(Peter Jelosits)のドン・クルツィオが、裁判の場面でもさもさのカツラをすっ飛ばす場面は、オケメンバーも大うけなほど、本当におかしかったです。

そんな感じで、歌手陣はオペラを楽しませてくれたのですが、どうも調子が乗らない、というかタイミングがちぐはぐだったのが、 ジェレミー・ローラー(Jeremie Rohrer)の指揮でした。序曲からオーケストラが分解しそうになってヒヤリとさせられましたが、その後も歌手のタイミングとずれる、弦楽器と管楽器がずれる、といった箇所が何度かあり、その度に分かりにくい指示を出していました。指揮者であれば、ちょっとずれてもささっと修正してほしいものですが、どうもだらだらとしてあまり感心しない指揮で、経験の浅い若手歌手たちが歌いだしのきっかけやテンポ設定を指揮に合わせようとして四苦八苦していたのが気の毒でした。

また、ここ最近のレパートリーになっている演出ですが、幕が上がった途端、あのヤーコプス指揮でDVDになっている演出だということに気づきました。かなり伯爵中心の演出になっていて、読み替えもなくて心穏やかに見ていられるのですが、どの場面も複数の絵が舞台上を埋め尽くしただけの省エネ舞台はちょっと退屈です。ただ、こういった歌手の自由度が高い演出の方が、ウィーンのようにリハーサルもなく上演するような劇場には向いているように思います。あちこちアラもありましたが、歌手たちの力で見終わった後のテンションが上がるような、楽しい公演となりました。

Le Nozze di Figaro
Wolfgang Amadeus Mozart

Jérémie Rhorer | Dirigent

Simon Keenlyside | Conte d'Almaviva
Olga Bezsmertna | Contessa d'Almaviva
Anita Hartig | Susanna
Luca Pisaroni | Figaro
Rachel Frenkel | Cherubino
Donna Ellen | Marcellina
Pavel Kolgatin | Basilio
Peter Jelosits | Don Curzio
Sorin Coliban | Bartolo
Clemens Unterreiner | Antonio
Bryony Dwyer | Barbarina

◆ウィーン国立歌劇場の公演ページ

◆SimonKeenlyside.infoの公演ページ



◆カーテンコールの様子





おまけ:今シーズンのセーフティカーテンは、意外とまともでした。


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オペラ「エフゲニー・オネーギン」@ロイヤル・オペラ・ハウス [オペラ(実演)]


1週間のロンドン滞在でしたが、何より楽しみにしていたのはオペラ「エフゲニー・オネーギン(Eugene Onegin)」を見ることでした。今回の公演は、Royal Opera Houseの芸術監督に就任したカスパー・ホールテン(Kasper Holten)の新演出であることが注目の的でしたが、個人的にはオネーギン、タチアーナ、レンスキーに好みの歌手がキャスティングされていることが一番のポイントでした。結論として、見に行って本当に良かったと思える充実した公演だったと思います。

大いに期待していた歌手陣ですが、注目の3人に加えて、オルガも役柄にはまっていて◎でした。タチアーナを歌ったクラッシミラ・ストヤノヴァは見た目がおばさん、などと言われてましたがそんなことは元から分かっているし、長いアリアでも息切れしない素敵な歌声をきっちり聞かせてくれましたので、私は何の文句もありません。強いて言えばもう少し演技に柔軟性があってもいいかと思いますが、タチアーナとしては抑え目な演技が好感触でした。やっとまともな演出のオネーギンを歌ったサイモン・キーンリーサイドは、当然でしょうけど初役のとき以上にロシア語の歌唱が板についており、どんな内容を語っているのかが言語の壁を越えてしっかりと伝わってきました。オネーギンってこんなに素敵なメロディラインもらっていましたっけ?と思う場面もあちこちあり、このオペラの新たな音楽的魅力を発見できたと思います。役柄としても、ホールテンがリハーサルの動画で語っていたような「自分は人生経験があると思い込んでいるが実はまだ青二才」なオネーギン像を流石の演技力で表現していました。タチアーナに手紙を返す場面、レンスキーとの決闘の場面、外国を放浪しながら投げやりな女性関係を続ける場面(グレーミン公爵でのパーティのポロネーズ部分)など、オネーギン本来の(と思われる)ナイーブな性質が見え隠れしながらも、社会規範から外れた行動をとってしまう自分への嫌悪感や後悔が感じられて、演出家の指示をかなりしっかり表現できていたのではと思います。基本的に、こういう人生の意味なんかを悶々と悩んでいるタイプには全く感情移入できないのですが、こういう役作りをされると「意外といい人かもね」などとつい同情してしまうので困ってしまいます(^_^;)

レンスキー役のパヴォル・ブレスリクは金髪イケメンなので(笑)一度は生で聞きたいと思っていた歌手です。彼の声質から、きっとレンスキーははまり役だと思っていましたが、本当に素晴らしいレンスキーでした。単に歌い上げるだけでなく、オルガへの真摯に想いやオネーギンへの友情と羨望、嫉妬などの心の動きが直球で伝わってくる歌唱と演技で、すっかりファンになってしまいました。レンスキーにこんなに感情移入できたのは初めてです。そして、もう一人素敵だな、と感じたのがオルガ役のエレーナ・マキシモワです。今回初めて聞く歌手ですが、演技も非常に上手くて天真爛漫なオルガの性格をよく表していました。ブレスリクのレンスキーともお似合いの華やかな2人で、どちらかと言えば静的なタチアナとオネーギンのペアといい対比ができていました。

批評家の間では賛否両論の演出ですが、全体的には悪くないと思います。ストーリーを変えてしまうような読み替えも無いですし、衣装やセットもすっきりとしていて心穏やかに見ていられます。この演出では、舞台前面を利用してオネーギンとタチアーナの心象風景を表現しているのですが、ひとつのイベントが終わるたびにそれを連想させる物が残されていくというのも、ちょっと説明的過ぎる面もありますが、そのイベントが主人公2人に与えた影響が視覚的に分かりやすかったです。また、登場人物たちに細かい動きが着けられていて、それぞれの性格を音楽以外の部分で補っていたのも、舞台作品としては面白かったです。レンスキーが大げさに愛の詩をオルガにささげている間、退屈になったオネーギンがタチアーナに耳打ちして2人でそそくさとその場から逃げ出してしまったり、レンスキーが気の乗らないオネーギンを無理やりタチアーナの前に引きずり出したり、といった「あるある」と同感できる行動のおかげで人物達に親近感を感じられました。ただ、ホールテンがこの作品(原作とオペラ)の大ファンということもあってか、少々彼の解釈を押し付けすぎているような部分がいくつかあり、そこが賛否の分かれ目になっているように思いました。ちなみに、私がどうしてもこの演出で賛同できなかったのは、最後のタチアーナがオネーギンを振り切る場面にグレーミンが同席していることです!ここは絶対に2人きりでないと駄目でしょう!!他に違和感を感じたのは、出会った当時のオネーギンとタチアーナという設定の若いダンサー/俳優が登場するのですが、その2人への振付があまり魅力的でなく、時には失笑を買うようなものだった点です。コンセプトとして、全編を通してオネーギンとタチアーナが過去を回想するという設定は面白いと思ったので、変な振付で雰囲気が壊れてしまって残念でした。そういえば、オネーギンがタチアーナに迫る最後の場面で繰り広げられる回想(または2人の想像)の中で、この若い2人がじゃれあってキスをし、そのまま寄り添って現実のオネーギンとタチアーナの前を歩いていくのですが…これはホールテンの妄想が入りすぎでは?と感じました。おそらく、精神的に2人は結ばれていると言いたいのでしょうが、オネーギンって、自分のことが中心なのでそこまでタチアーナのことを想っていないと思うんですよね~。

それでも、ウィーンで見た寒々しい氷づけの演出よりは楽しめましたし、歌手も揃っているのでDVDとして発売されるのが楽しみです。その前に、2月26日にはドイツのラジオ局BR Klassikで放送されるようですし、BBCでもテレビ放送(4月)ラジオ放送(6月1日)が予定されています。劇場内でも連休と重なった日本やフランスなどのイギリス国外からの聴衆も多く、完売となった劇場内は普段のRoyal Opera Houseより心なしか華やかに感じられました。相変わらずカーテンコールはあっさり目でしたが(笑)Youtube上に、そのカーテンコールの動画がいくつかアップされていますので以下に紹介しておきます。その他、関連リンクもその下に入れておきますので、興味のある方はぜひご覧ください。

2/1(リハーサル)


2/9


2/11(おそらく)


2/20



Eugene Onegin

Conductor: Robin Ticciati
Director: Kasper Holten

Tatyana: Krassimira Stoyanova
Olga: Elena Maximova
Eugene Onegin: Simon Keenlyside
Lensky: Pavol Breslik
Prince Gremin: Peter Rose
Larina: Diana Montague
Filipjewna: Kathleen Wilkinson
Monsieur Triquet: Christophe Mortagne


【各種リンク】
◆Royal Opera House Eugene Oneginページ(イメージ動画、舞台写真など)
◆Simonkeenlyside.info Eugene Oneginページ(リハーサル写真、舞台写真、批評)

登場人物紹介

合唱の役割(リハーサル風景)

Royal Opera Liveでのリハーサルハイライト

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オペラ「ドン・ジョヴァンニ」@新国立劇場 [オペラ(実演)]

記事にするのが遅くなってしまいましたが、4月22日に新国立劇場で「ドン・ジョヴァンニ」を鑑賞してきました。新国立劇場も力を入れている公演で、特設サイトもあります。何を隠そう、これが新国デビューの私。劇場オタクとしては、オペラ以外にも駅からのアクセス、ロビーや階段、劇場内の装飾から座席や音響、ステージの広さまで何もかも気になるので、開演前からあちこち見て回りました。オペラ劇場の印象としては、皆さんの評判通りちょうどいいサイズの客席数でオペラを見るにはとてもいい環境だと思います。音響は少しデッド(残響が少ない)に感じましたが、座る場所によって印象が変わるかもしれません。座席は快適でしたし、1階席にかなり傾斜がついているのも◎。ロビーも十分な広さがありますし、他に東京でオペラ上演を行う東京文化会館やNHKホールとは比べものにならない快適さです。上京する費用とチケット代を考えてしまうとなかなか行けないのですが、またぜひ訪れたい劇場です。次はオペラだけでなく中劇場・小劇場にも行ってみたいですね。

さて、「ドン・ジョヴァンニ」の公演自体はどうだったかというと、正にマリウシュ・クヴィエチェン(Mariusz Kwiecien)を堪能した舞台、という一言につきます。2002年の小澤征爾音楽塾の公演で聞いた時は「このイケメンバリトンは誰!?」と必死でネット検索したものですが(^^)、今や押しも押されぬスター歌手の一人ですね。今回のジョヴァンニは性格付けも声の表現力も10年前と比べて更に魅力的になり、演技に余裕も感じさせる堂々とした歌いっぷりでした。ただ、共演の歌手、特にエルヴィーラやツェルリーナとのからみの部分で力をセーブしている様子が感じられてもどかしかったです。一人きりの場面や最期の場面ではギアを入れ替えた歌唱をきかせてくれていたので、全編このレベルで聞きたかった…。レポレッロ役の平野和はキーチェンのジョヴァンニによくついて行っていたと思います。舞台映えもするし、演技もうまいですしね。(フォルクスオーパーの専属歌手だそうですので、ダニロなんかぜひやってほしいです。)低音までしっかり出るのも好印象なので、もう少ししたたかさもある役作りをしてもらえると、より魅力的になると思いました。騎士長の妻屋秀和は、相変わらず威厳ある低音を堪能させてもらいました。マゼットを歌ったのは久保和範でしたが、可もなく不可もなくという印象でした。農夫とはいえあまりにもイモ兄ちゃんすぎて、もう少しピリッとした部分も見せて欲しかったです。男声陣で、というか今回の公演で一番がっかりだったのはドン・オッターヴィオのダニール・シュトーダ(Daniil Shtoda)。映像で見ても「う~ん」でしたが、実演で聞いたらもっと「う~~~ん」でした。音程はあっているのですが、とにかく声のボリュームが小さくて、重唱部分では全く聞こえてこないです。1階席11列目ですらそんな聞こえ方だったので、最上階奥まで届かないのではないか、とアリアを聴きながら心配になってしまったほどです。他の方の鑑賞記を読むと、この日の歌唱はまだましな方だったようなのですが、オッターヴィオのアリアは私にとっては絶好の睡眠タイムになってしまいました。

女声陣は、皆さんそれぞれの歌唱はいいのですが統一感があまり感じられず、アンサンブルでも各自が自分の世界で歌っていたのが残念です。ドンナ・アンナとしてはちょっと声が太めのアガ・ミコライ(Aga Mikolaj)ですが、オッターヴィオを尻に敷いている様子が伺える強気な性格付けがちょっと面白かったです。この前「ドン・ジョヴァンニ」を観た時はアンナ役の歌手が不調だったので、ミコライの歌唱で口直しならぬ耳直しができました。エルヴィーラを歌ったニコル・キャベル(Nicole Cabell)は評判のいい若手なので期待していたのですが、こじんまりとした演技と歌唱でちょっと期待はずれでした。彼女の声質も、あまり役柄に合っていないような…エルヴィーラなのに分別がありそうだったのもちょっと違うな、と思ってしまった点です。あのジョヴァンニを手こずらせる訳ですから、もっとごりごりと押しの強い性格でないとダメでしょう!九嶋香奈枝はしっかり者のツェルリーナでしたが、後半のアリアにはちょっとひやひやさせられました。

新国の演出は舞台をヴェネツィアに移していること以外はかなり正統派で、衣装や舞台デザインは整っていましたが動きが少なめで退屈に感じる部分もありました。折角ヴェネツィアなんだから、ジョヴァンニのセレナードはゴンドラに乗って歌ってくれてもいいのになぁ~などと思ってしまったり…。あまりヘンテコな読み替えはやめてほしいですが、突っ立ち歌唱が続く演出も、それはそれで退屈してしまいます。折角レチタティーヴォの多い「ドン・ジョヴァンニ」ですから、そのバランスをうまくとって演劇的要素も取り入れるのが演出家の腕の見せ所だと思うのですが、なかなか難しいものですね。

そんな感じで、個々の要素としては演出も指揮も歌手も合唱も悪くなかったのですが、逆に言えば突出して素晴らしいともいえなかった、私には中庸な感が否めない公演でした。もっと完成度の高い上演ができそうなのに、その手前で空中分解してしまっていて勿体ないですね。これは、再演演出家の技量の問題か、歌手達の気合いと歩み寄りが足りないのか、指揮者と歌手の意思疎通が上手くいっていないのか、何が原因なのか分かりませんが、この「あと少し」物足りない感じが解消されれば、もっと新国立劇場にも足を運びたくなると思うので、新国さんよろしくお願いしますね~。
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オペラ「フィガロの結婚」@ROH [オペラ(実演)]

現在ROHでは「ダ・ポンテサイクル」と銘打たれた「ドン・ジョヴァンニ」「コジ・ファン・トゥッテ」「フィガロの結婚」の3作連続上演が進行中です。…しかし、音楽監督パッパーノが指揮する「フィガロの結婚」以外のチケットは大量に売れ残り、格安オファーが出たりする始末であまり盛り上がっていないような状況です。モーツァルトの作品の中でも人気の3作ですが、同じ演出であまりにも頻繁に上演されている上に今回はスター歌手の登場が少ないというのがその理由ではないかと思います。ただ、「ドン・ジョヴァンニ」は2パターンのキャストのどちらも個人的にはなかなか魅力的だと思うんですけれどね~。

そのなかで私が狙ったのは、当然サイモン・キーンリーサイドが伯爵を歌う「フィガロの結婚」でした。しか~し、会社から休暇も取り、飛行機もチケットも手配し、準備万端!あとは出発するだけ、となった時にキーンリーサイドは全公演をキャンセルという残念なお知らせが…。(理由はこちら)わざわざ昨年のザルツブルクの公演をスルーしてこのロンドンを非常に楽しみにしていたのに、一瞬もうイギリスに行くのもやめようかとも思いましたが、他にも行きたいところはあるしキャンセルになったものは仕方がないということで、今回の公演ではアントニオ・パッパーノ(Antonio Pappano)の指揮と、フィガロを歌うイケメンバス歌手イルデブランド・ダルカンジェロ(Ildebrando D'Arcangelo)を楽しみに見に行きました。

歌手の中では、期待通りフィガロ役をのびのびと余裕たっぷりに歌い演じてくれたダルカンジェロが素晴らしく、それに一歩も引かないで充実した演技と歌唱を披露してくれたスザンナ役のアレクサンドラ・クルチャク(Aleksandra Kurzak)とのコンビがとにかく最高!(^^)やっぱりこのカップルが安定していると落ち着いて見ていられますね。ダルカンジェロは、顔もイケてますが、あのばりっとした声が本当にかっこいいと思います。今回は初日と2回目の公演を見たのですが、それぞれの日で演技も変えていて、本人もフィガロという役を楽しんで演じている様子が分かりました。クルチャクを生で聴くのは久しぶりでしたが、しっかり歌えて演技もできる、私の好きなタイプの歌手であることを再確認しました。この作品はスザンナがあちこちの場面で登場しますが、いつ出てきても生き生きとした役作りで楽しませてくれました。アナ・ボニタティバス(Anna Bonitatibus)の小柄で元気のいいケルビーノとの姉弟のような絡みも楽しかったです。

そんなきびきびした頭の回転の速い2人に比べて、伯爵夫妻はどうものほほんとしているなぁ、という印象を受けました。伯爵役のルーカス・ミーチェム(Lucas Meachem)も伯爵夫人役のレイチェル・ウィリス=ソレンセン(Rachel Willis-Sørensen)も、歌唱は合格点ですがいわゆる直立で歌い上げるタイプで、表現力や演技力はあまり感じられなかったです。それでもミーチェムはコミカルな場面などは頑張っていたのですが、演技力の無さは隠せるものではありません。逆にウィリス=ソレンセンはほとんど演技をしないことでその一時代前の美人顔を生かして高貴な雰囲気を出すことには成功していたと思います。ただ、伯爵夫人にはもっと芯の強い部分やお茶目な部分を見せて欲しい私としては、退屈な役作りでした。特にこの演出では、フィガロ&スザンナを代表とする使用人達と伯爵夫妻の間の冷ややかな対決というか、緊張感のある主従関係というのが面白い点だったりするのですが、この主人達では使用人達に良いようにあしらわれていそうでした(^^)逆に、そういう「毒」が抜けていた分、最後に伯爵が「夫人よ、許しておくれ」と謝る場面で伯爵が本心から謝罪をし、夫人も本心から許して元の鞘に戻っているように見えたのは読み替え演出全盛のご時世、逆に新鮮ではありましたが。

他の歌手達も素晴らしく、バルトロ役のカルロ・レポーレ(Carlo Lepore)とマルチェリーナ役のアン・マレー(Ann Murray)、そしてバジリオ役のボナベンチュラ・ボットーネ(Bonaventura Bottone)の「ずっこけ3人組」は自然な演技も面白く、歌唱面でもしっかりと役を演じきっていました。この演出では使用人として大勢出演する俳優達(歌なし)も隅々まで細かく演技がつけられていて、音楽だけでなく演技も楽しみたい私にとっては大満足の再演でした。

ただ、今回の公演で一番の拍手を送りたいのは、素敵な音楽を提供してくれた指揮者のパッパーノです。やはりキーンリーサイドの伯爵が見たかった~とあちこちで感じながらの鑑賞でしたが、いつも通り熱のこもったパッパーノの指揮が素晴らしかったおかげで作品としては非常に楽しめました。この演出の初演でも同じように感じましたが、パッパーノの振るモーツァルトは隅々まで気配りが行き届いているので安心して聞いていられますし、テンポ設定に疑問を感じることもなく純粋に作品を楽しめます。今回は、伯爵夫人の部屋に閉じ込められたスザンナとケルビーノがどこから逃げ出そうかと歌う場面でかなりの弱音でひそひそ話のように歌わせていたのが面白かったです。歌手が2人とも演技が上手いので、顔の表情なども見ていて可笑しくて、客席からも笑いが起こっていました。最近、音楽活動への貢献が認められて女王から爵位を授かりSir Tonyとなったパッパーノ、これからもこういう素敵な音楽をどんどん指揮していってほしいです!

パッパーノが音楽監督を務める聖チェチーリア管弦楽団からのサプライズ祝…やっぱりこの曲ですか(^^)






Le Nozze di Figaro

Director: David McVicar
Revival Director: Leah Hausman

Figaro: Ildebrando D'Arcangelo
Susanna: Aleksandra Kurzak
Count Almaviva: Lucas Meachem
Countess Almaviva: Rachel Willis-Sørensen
Cherubino: Anna Bonitatibus
Don Basilio: Bonaventura Bottone
Marcellina: Ann Murray
Bartolo: Carlo Lepore

Conductor: Antonio Pappano
Royal Opera Chorus
Orchestra of the Royal Opera House
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オペラ「マクベス」@ROH(5月27日) [オペラ(実演)]

5月24日の初日も見に行ったオペラ「マクベス」の2回目を見てきました。この日は皆さん余計な力が抜けていて、オケと歌手のタイミングなども改善され、全体としての完成度は初日以上で非常に楽しめました。

特に、初日は少々物足りなかったマクベスと夫人のやり取りが、この日はキーンリーサイドとモナスティルスカの演技が上手くかみ合っていて、マクベスが王位を得ることで変わっていく2人の関係がとても分かりやすかったと思います。それから、初日はいい演奏だったけれど所々ばらついたパッパーノの指揮とオーケストラですが、この日は最初からノリノリで、勢いのある魅力的な音楽を聞かせてくれました。舞台近くに座った友達によると、パッパーノはほぼずっと歌いながら指揮をしていたとのことで、本人としても気持ちよく振れていたのではないかと思います。"Pieta, rispetto, amore"での、キーンリーサイドのしっかりした歌唱に寄り添いながらもリードしていくパッパーノの、テンポは少し速くても思いっきりロマンチックな指揮がとても印象的でした。実はこのアリア、いわゆる「ブンチャッチャ」系なのであまり好きじゃなかったのですが、パッパーノのおかげで好きになれそうです(^_^)

キーンリーサイドとモナスティルスカのことは初日の記事でも書きましたが、今回はキーンリーサイドはより軍人マクベスとしての説得力のある細かい演技をしていましたし、モナスティルスカは劇場に合わせた声のコントロールができるようになって、最後までしっかりペース配分ができていました。初日の記事ではほとんど触れなかったバンクォー(レイモンド・アチェート)マクダフ(ディミトリ・ピッタス)は、何人かの批評家に「棒立ちで演技していない」なんて書かれちゃっていますが、それはそういう役なんだから仕方ないでしょう(笑)目立ちすぎず、かといって穴を開けるような歌唱でもなく、しっかりと作品を支えていると思います。歌手の中では、マルコム役のスティーブン・イベル(Steven Ebel)だけがちょっと弱いように思いますが、まあ見た目は長身で顔も悪くないので、映像にするにはいいのではないでしょうか。

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オペラ「マクベス」@ROH [オペラ(実演)]

5月24日に、ROHの「マクベス」初日を見てきました。サイモン・キーンリーサイドのマクベスは観たいと思いながら、ロール・デビューのウィーンでの上演は、あまりにも演出が酷すぎるという評判を読んで(既にお蔵入りだそうです)、今回のロンドンでの上演を待つことにしました。こちらの演出も、特に評価が高いわけではないですが一応シェイクスピアの国ですし、写真で見ると場面ごとに衣装も変わるようで、それだけでも面白そうじゃないですか。マクベス夫人の着物風の袖のドレスやマクベスの柔道着(というかスターウォーズのジェダイですかね)も突っ込みどころですが、黒いドレスに赤いターバン、そして太い一文字眉という姿の魔女達もなかなかすごいです。(衣装については、intermezzoさんのブログ上に舞台写真が沢山掲載されています)


カーテンコールの様子1


今回は6月13日に映画館への生中継もあるということでか、実力のある歌手を集めた上演になっています。中でも私が期待していたのはリュドミラ・モナスティルスカ(Liudmyla Monastyrska)の歌うマクベス夫人でした。つい最近、ROHの「アイーダ」でも急な代役でアイーダを全公演歌いきった実力の持ち主で、リハーサルでも好評だった彼女ですが、実際に聴いてみて、その好評の訳はすぐに分かりました。とにかく、音域の上から下まで楽々歌えますし、テクニックもしっかりしています。更に、表現の幅も広く、フォルテとピアノの使い分けも上手い!これで、もう少し演技力がつけば…とは思いますが、今の状態をキープできれば、近いうちに各地で大活躍できる歌手だと思います。ちょっと太めの体型も手伝って、野心がぎらぎらとあふれでる力強いマクベス夫人でした。やっぱりこの役はこれくらい歌える人でないと、作品が締まりませんね。

さて、そんな強気な夫人をもったマクベスですが、サイモン・キーンリーサイドはかなり知性や理性を感じさせる役作りで、本能のままに突き進む夫人と好対照な主人公でした。ジェダイみたいな格好とあごひげも、何となく賢そうに見えた要因かしら?(笑)そんなこといっても突発的に王様を殺して王位を奪い、その後は保身に回って悪政を行い、最期は成敗されるわけですから、あまり知的とはいえないんですけども(頭よければ、もっと手の込んだやり方で王位を手にするでしょう)。魔女の予言に惑わされて、勢いで王様を殺してしまってから後悔し、その後は常に怯えながらも権力にしがみついて次々と粛清を行う小心者としてのマクベスをしっかり演じてくれるキーンリーサイドはさすがです。気になる左腕はまだごついサポーターをつけていましたが、ほとんど不自由なく動かせるようで、オペラが進むうちに気にならなくなっていきました。遠くから見ただけなら衣装の一部と思ったかもしれません。歌唱のほうも、細かい部分まで丁寧に歌っていて、特に'Pieta, rispetto, amore'のアリアはマクベスの孤独がしみじみと感じられて、自業自得とは言え思わず同情してしまいました。

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オペラ「椿姫」@NHKホール(9月22日) [オペラ(実演)]

今年のROHの来日公演の「椿姫」は、開幕前のゲオルギューのキャンセルに始まり、初日と3日目にはヴィオレッタが途中でヤオからペレスへ交代するという、何とも締まりのないものになってしまったのですが、その最終公演となる22日のヴィオレッタは、かねてから噂のあった通りのアンナ・ネトレプコ(Anna Netrebko)の登場となりました。20日の「マノン」公演最終日が終わるまでネトレプコが歌うかどうか分からないのでぎりぎりまで発表できなかった、という公式コメントが出ていますが、この「誰がヴィオレッタを歌うのか」という件については、様々な点でマネジメントのまずさが目に付く対応だったと思います。

私が22日のチケットを入手したのは初日の直後。兎に角、声が出なかったり途中で交代したりしないヴィオレッタが歌う「椿姫」公演を一度見たかったのがその理由です。(私の過去の悲惨な「椿姫」鑑賞体験はこちら:1度目2度目)それにしても、ネトレプコが歌うとなるとやはり動員数が違いますね。日本の公演であれだけチケットを欲しい人たちが会場入り口前で待っているのを初めて見ました。事情を知らず来場した人々も「これはラッキーだね♪」と、開演前から既に会場のテンションは上がりっぱなしでした。

そんな観客達の期待を受けて登場したネトレプコですが、全体としては流石の歌唱を聞かせてくれたと思います。楽々とのびる高音から豊かに響く低音まで、何の心配もなく聞いていられるその安定感には、改めて素晴らしいソプラノ歌手であることを再確認させてもらいました。特に、第1幕最後の「そはかの人か」~「花から花へ」の見せ場では、正にネトレプコのショータイム。歌い終わった後のカーテンコールでは、大喝采を受けていました。ただ、やはり「マノン」から中1日での「椿姫」ということで、声自体にも疲労が感じられましたし、時々アンサンブル時の音程があやふやになったりといったネトレプコらしくない部分も多かったです。また、衣装の裁き方や演技面にも戸惑っているような部分があり、ドレスで引っ掛けて椅子を倒してしまったり、こういうところはやはり準備期間の短さが出てしまったかな、と思いました。大好きな演出なので、あちこちでこういう細かい点が気になってしまったのは残念でした。それから、第3幕はいくら歌えるとは言っても、もう少し死にそうに振舞って欲しかったです(^_^;)もう起き上がるのも大変な状態のはずが、部屋の中を元気良く走りながら歌っては駄目でしょう。このまま最期も(お約束の)1週走ってアルフレードの腕の中で絶命、という形だったらどうしようかと思いましたが、そこはヴィオレッタが一人でふらふらと歩いてそのまま床に倒れて絶命する形になっていました。これはロンドンで歌ったときもこのバージョンだったんでしょうか?個人的にはあのちょっと大仰でドラマチックな1周走る終わり方が音にも合っているし好きなんですが、ネトレプコだと、本当に生き返ってしまいそうです…。

そして初日は素晴らしいパパ・ジェルモンを見せてくれたサイモン・キーンリーサイド(Simon Keenlyside)ですが、この日は少々お疲れモードだったと思います。珍しいことにアリアで1ヶ所声がかすれてしまい、心臓が止まるかと思うほどビックリしました!(いやー、アリアであそこまでミスするのを聞いたのはこのとき以来でしょうか。)そんな状態でも、この1ヶ所以外はきっちり歌いきっていたのは流石ですが、全体の出来としてはやはり初日の方が良かったように思います。ただ、ヴィオレッタと対峙する際の演技は、ネトレプコ相手の方が「ヴィオレッタの心情も理解し、敬意をはらうパパ」という私の理想のパパ・ジェルモン像に合っていて、この場面はじっくり堪能しました。

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オペラ「椿姫」@神奈川県民ホール② [オペラ(実演)]

①では主役の3人のことを記事にしましたので、今回は②としてROH来日公演の「椿姫(La Traviata)」のその他の歌手、オーケストラ、演出などについて書いていきたいと思います。

まず、プリンシパル以外の歌手陣ですが、流石ロイヤル・オペラといった表現がぴったりくる、演技も出来る手堅い歌手が揃っていたと思います。ガストン子爵を歌ったパク・ジミン(Ji-Min Park)は演技がノリノリすぎて脇役としてはちょっと浮きすぎでしたが、相変わらずいい声していますね。ドビニー侯爵役のリン・チャンガン(Changhan Lim)も、歌うのはほんの少しですが存在感があったと思います。2人ともオペラハウスのヤング・アーティストとして脇役で出演していたのを何度も聞いているので、久しぶりに元気そうな姿を見られて良かったです(^^)アンニーナもグランヴィル医師も、それからコーラスのひとりひとりが気を抜かない演技で、公演全体を盛り上げていたと思います。

期待していたアントニオ・パッパーノ(Antonio Pappano)の指揮は、ちょっと本領発揮とはいかなかったようです。

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オペラ「椿姫」@神奈川県民ホール① [オペラ(実演)]


現在来日公演中のロイヤル・オペラハウス(Royal Opera House)の、9月12日に行われた「椿姫(La Traviata)」初日公演を見てきました。個人的には、サイモン・キーンリーサイド(Simon Keenlyside)の5年ぶりの来日、しかもまだ聞いたことの無いパパ・ジェルモン役を一番楽しみにしていました。しかも、私の大好きなアントニオ・パッパーノ(Antonio Pappano)が指揮をする大好きな演出(作品自体は苦手ですが)を日本で見られるんですから、テンションもあがります!

当日は少し早めに神奈川県民ホールに到着し、終演後のオフ会の集合場所にしていたステージドアをチェックしようと思ってステージドアに向かったところ、そこには入り待ちの皆様がプログラムを握り締めて暑い中辛抱強く待っていました。と、ふと向こうからジャケットを着て歩いてくる人物が。「この暑いのにツイードのジャケットなんて、まるでキーンリーサイド並みに着るものに無頓着な人がいるもんだ」なんて思っていたら…何のことは無い、本人でした(^_^;)テイクアウトのコーヒーを片手に現れたキーンリーサイドは待っていたファンたちに快く、でも汗だくになりながらサインをしてくれましたが、涼しげな白いワンピースの女性スタッフからの「サイモン、暑くないの!?」とのツッコミには当然「暑い!」(笑)サインを一時中断してジャケットを脱いでいました。会場に着いてすぐにこんな楽しい場面に出くわすとは、なんてラッキー♪少なくともお目当てのキーンリーサイドはキャンセルしないことが分かったわけですから、足取り軽く会場内に向かいました。



オペラが始まる前に、ロイヤル・オペラのオペラディレクターであるエレイン・パドモア(Elaine Padmore)が登場し、既に公表されていましたがヴィオレッタ役の変更に対するお詫びと代役の紹介が丁寧に行われてから始まった初日ですが、全体の出来としては…まあまあって感じでしょうか。ちょっと長くなってしまいますので、今回は主役の歌手3人(というか4人)に絞って記事にしてみたいと思います。

まずは主役のヴィオレッタ。つい先頃のロンドンの再演でも好評だったゲオルギューが開幕前からキャンセルしてしまって楽しみがちょっと減ってしまいましたが、それなりの代役が歌ってくれるはずとの期待から、初めて聴くエルモネラ・ヤオ(Ermonela Jaho)を楽しみにしていました。が、この日は冒頭からヤオは本調子じゃなかったように思います。

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