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小説「風の影」 [その他]

ぐずぐずしている間にもう2月ですね~。そういえば去年のベスト10を記事にするとか言ってたような気がする…(^_^;)ま、いっか。

1月後半は久しぶりに記事にして紹介したい小説を読みました。といっても、私が改めて紹介しなくても既に世界中でベストセラーになっている本です。それはカルロス=ルイス・サフォン「風の影」。タイトルからしてちょっとそそられる、そしてその期待を裏切らない素敵な作品でした。

風の影〈上〉

風の影〈上〉

  • 作者: カルロス・ルイス サフォン
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2006/07
  • メディア: 文庫

風の影〈下〉

風の影〈下〉

  • 作者: カルロス・ルイス サフォン
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2006/07
  • メディア: 文庫

いつもならここであらすじを書くのですが、この本の公式ホームページが異常に力が入っていて、まるで映画の予告編のようなフラッシュムービーが見れるのでぜひそちらへどうぞ。この本を読む気が無い人でも、スペインのバルセロナがどんな街か興味があるなら必見のページです!小説の冒頭部分の試し読みまでできちゃいますし、いたるところに街の写真が満載で、旅行者の気分になれて素晴らしいページです。

上下巻ありますが、全く長さを感じさせない作品でした。文章に無駄がなく、登場人物も濃ければ時間の流れも濃い、とにかく内容が濃いんです(笑)バルセロナという街の歴史とそこに住む人々の生活がとてもリアルに過不足なく書かれていて、中だるみするような場面もありませんでした。主人公ダニエルが手にした1冊の本「風の影」の作者フリアン・カラックスに関して次々登場する謎と、その作家に繋がりのある様々な登場人物たちがスペイン内戦~1950年代のバルセロナの情勢と複雑に絡み合ってスリル満点のミステリーになっています。主人公の周りに集まってくる人物達が皆思い出=過去に縛られて生きている人たちという点はまるで良質のヨーロッパ映画を見ているような雰囲気があります。読み終わったあとにじわじわと感動が押し寄せてくるこういった小説は、古くて狭苦しい街が点在するヨーロッパの作家でないと書けませんね。

感想を詳しく書くとネタバレになってしまいますので止めておきますが、ガツンと読み応えのあるミステリー小説が読みたい方には本当にお勧めの一作です。私は読んでいる途中からまたバルセロナに行きたくなってしまいました。そして、「風の影」を片手に昼間でも薄暗いあの旧市街を歩き回りたいです!


◆2005年バルセロナ旅行記◆

スペイン旅行記(5):バルセロナその1
スペイン旅行記(6):アントニ・ガウディ
スペイン旅行記(7):バルセロナその2


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コメント 11

助六

フランスでも2年くらい前に翻訳出たときから最近まで長くベストセラー上位に入ってましたね。

単行本で高かったし、スペイン語かじったこともないし、スペイン人の友達もいませんし、個人的にはスペイン文化にはまるで興味引かれないもんで(「はかなき人生」も2度聴くチャンスはあったのにいつもヤボ用で行けず。縁ないみたいです)、そのままになってました。

だからこそ、こういう本読むべきなんですけどね。内戦や人民戦線辺りの生活事情には興味引かれます。南仏トゥールーズは長く反フランコ亡命スペイン人とそれを支援するフランス人の拠点でしたし、私が最初にパリに来たころは、フランコが死んで大分経ってはいたけど、パリ大学都市スペイン館は反フランコ学生・知識人のアジト化してフランコにより閉鎖されたままで、まだまだフランコの影は尾を引いてましたね。あれからスペインは(当時は3ッ星ホテル2000円程度)物価は数倍になり、ティッセン=ボルネミサ・コレクションを購入し、今は不動産バブルに沸き、イラク関係でも堂々と米に物申す中大国になりましたね。経済的にも政治的にも取り残された形のポルトガルに、寧ろ興味引かれます。
最近文庫化されたようなので、読んでみようと思います。

そう言えば、バルセロナは反フランコ・反カスティリヤの故に元々闘牛熱が低いそうですけど、最近更に動物愛護等で批判が高まりモヌメンタル闘牛場は今年一杯で閉鎖だそうですよ。
by 助六 (2007-02-02 08:49) 

Sardanapalus

助六さん>
>内戦や人民戦線辺りの生活事情
バルセロナの上流階級社会中心に書かれているので、内戦が始まってもバルセロナに戦火の届かないことを良いことにどこか他人事でのほほんとしていたり、バルセロナでの争いも客観的に書いているところが逆に真実味があって印象的でした。

>まだまだフランコの影は尾を引いてましたね
生々しい経験ですね。私は正に「中大国」になってからのスペインしか知らないので、フランコも内戦も歴史の教科書程度のことしか分からないのですが、「風の影」はフランコ政権下で身近に起こる弊害や秘密警察の怖さを的確に書いているように感じました。個人的には、スペイン文化圏とでも言うべき南米大陸の元植民地とスペインの間の人の流れが再確認できたのも面白かったです。ポルトガルとの差もここ(南米との関係)にあるのかも?なんて思います。

>モヌメンタル闘牛場は今年一杯で閉鎖
確かに私が旅行した時もバルセロナでは闘牛の「と」の字も話題に出ませんでした(^_^;)マドリッドでも若者の間では闘牛は不人気のようです。
by Sardanapalus (2007-02-02 18:40) 

せり

「風の影」と聞いて思わずでてきてしまいました。
これは久しぶりに読書の楽しみを味わった本でした。
スペイン内戦を知らなくても十分楽しめると思います。
家族にも友人にも勧めていますが、皆から勧めてくれてありがとうと
感謝されてます。
Sardanapalusさんはスペインに行かれたことがあるんですね。
スペイン内戦といえば、ケン・ローチ監督の「大地と自由」という映画ご覧になったことありますか?
by せり (2007-02-02 21:28) 

Sardanapalus

せりさん>
>久しぶりに読書の楽しみを味わった本
せりさんもお好きでしたか!やっぱりこれは本好きにはたまらない作品ですよね。仰るとおり、スペインに関する予備知識は全くなくても充分楽しめると思います。

>スペイン内戦といえば、ケン・ローチ監督の「大地と自由」
気になっていますが、見ていません。「麦の穂を揺らす風」とともに、ぜひ見たい作品ですがレンタルショップにあるかなぁ。
by Sardanapalus (2007-02-02 22:05) 

うわー、バルセロナ行きたいな病にかかってるところなので、興味津々です。本屋さんか図書館に行ってみようっと・・・
by (2007-02-02 23:51) 

せり

「麦の穂を揺らす風」、そうでした、そうでした。私もこれを見に行こうと思いながら逃してしまいました。そのうちレンタル開始になったら見てみます。
興味がオペラにシフトしてから、どうも映画と読書の時間が大幅に少なくなってしまいました。先日も見逃した「グッドナイト アンド グッドラック」をやっと借りてきて見ることができました。「大地と自由」は大昔に岩波ホールで上映されていました。BS2でも放送されましたが、レンタルショップにあるかしら?
友人がイギリス人にケン・ローチのことを話したら、「彼はワーキングクラスだけど監督にまでなった」というようなことを言われて、「すぐワーキングクラスって
区別するのね」と驚いていました。
by せり (2007-02-03 09:19) 

Sardanapalus

りょーさん>
>バルセロナ行きたいな病
ならばこの小説はぴったりですよ!余計に症状がひどくなっちゃうかもしれませんが、基本的な街の印象が良く分かりますし、ぜひ読んでみてください。


せりさん>
>見に行こうと思いながら逃してしまいました
最近私もそんなのばっかです。絶対行こうと思っていた「リトル・ミス・サンシャイン」も地元での上演がいつの間にか終わっていたし…(^_^;)

>イギリス人にケン・ローチのことを話したら、「彼はワーキングクラスだけど監督にまでなった」
そうですね、イギリス人はそういう反応すると思います(笑)基本的に芸術活動は金に困らなくて精神的に余裕のある中流~上流階級がやるもの、ということになってますから。これは今でも基本的には変わらない傾向なので、労働者階級出身の芸術家は珍しがられてます。
by Sardanapalus (2007-02-03 22:21) 

TARO

本題とまったく関係のないことで恐縮ですが、大笑いしました。>ほろ酔いのサラリーマン
by TARO (2007-02-05 00:48) 

Sardanapalus

TAROさん>
>本題とまったく関係のないこと
いえいえ、楽しんでいただけてよかったです(^^)
by Sardanapalus (2007-02-05 19:34) 

ASIS2005

おおっ!
バルセロナが舞台ですか。
機会を見つけて読んでみようと思います。
by ASIS2005 (2007-02-17 09:18) 

Sardanapalus

ASIS2005さん>
お勧めですので、ぜひ読んでみてください。バルセロナを歩き回った気分になること間違い無しです(^^)
by Sardanapalus (2007-02-17 10:07) 

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