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スポレート歌劇場「チェネレントラ」@愛知芸術劇場 [オペラ(実演)]

梅雨真っ只中の天気でしたが、6月28日にスポレート歌劇場来日公演(今年はこの名称で統一したんですね)「チェネレントラ(La Cenelentra)」名古屋公演へ行ってきました。目的は、ダニエラ・バルチェローナとアントニオ・シラクーザを聴くこと…だったのですが、バルチェローナは怪我でキャンセルしてしまいました。うーん、残念!それでも、もう一人のお楽しみ☆シラクーザの声を生で聴くのがとても楽しみでした。

何せ、ベルカントオペラをレパートリーにしているイタリア人テノールの声を生で聴いたことがない私…悩みの無さそうなスコーンと突き抜ける明るい声でアジリタをコロコロ回してくれるのではないかと否が応でも期待は高まります♪(どういうイメージなんだ^_^;)そしてその期待は、しっかり満たされたと思います。いやはや、シラクーザは40代とはとても思えない輝きのある明るい声で元気いっぱいに歌いきってくれました。やっぱりロッシーニのブッファ作品に出てくるテノール役にはこういう太陽のように明るい声がしっくりきますね。見せ場の"Si, ritrovarla, io giuro"でもオーケストラや合唱をぐいぐい引っ張る元気の良い声を聞かせてくれました。大喝采をあびて「アリガト!」とご機嫌で歌ったアンコールを合わせて10分弱くらいですが、このアリアが間違いなくこの公演のハイライトでした。

その他の歌手やオーケストラは若手中心ということで、全く期待せずに行ったのですが…それでもあまり感心できる出来では無かったと思います。特にオーケストラの弦セクションの、だらだらとしまりの無い演奏には困りました。いくらなんでもこれでロッシーニが得意って売り文句は詐欺ですよ。日本ツアーも終盤で疲れていたのかもしれませんが、ロッシーニの音楽の軽快さはどこへやら、声の出ない歌手達と相俟って1幕は所々で舟を漕いでしまいました。

元々「チェネレントラ」は好きじゃない(「イタリアのトルコ人」やオペラセリア作品の方が好き)というのもありますが、1幕で活躍するはずのドン・マニフィコとアリドーロが揃ってイマイチの出来では、眠くなるのも当然かと思います。代役チェネレントラのオプシャリーヌも、声質が暗くてアジリタも凡庸、演技はよかったですが最後まで乗り切れない声でした。ダンディーニ役は歌も演技も健闘していましたが、彼にはアリアが無いですしねぇ。休憩後の2幕は、それでも全体的に持ち直したように思いますが、結局シラクーザひとりだけが突出してしまって音楽的にバランスの悪い公演でした。

そんな音楽とは逆に、演出は結構楽しめました。歌の方では不満の残った歌手達も演技は上手かったですね~。アリドーロなんて、歌よりもアルレッキーノとコロンビーナを操っている時の妖しい手の動きばかりが印象に残っています(^_^;)男性ばかりの合唱に女装させたごついおじさんを混ぜたり(終始女として行動^^)、ティスベとクロリンダにハチャメチャなことをやらせたり、アリドーロを「哲学者」というよりは「錬金術師」のような設定にしていたりして、面白い部分も多かったです。

シラクーザのみ大喝采のカーテンコールでは、誕生日だったアンジェリーナ役のオプリシャーヌにイタリア語の「ハッピー・バースデイ・トゥー・ユー」が歌われたり、最後は呼んでないのにカーテンがあがっていつまでも内輪で勝手に盛り上がっていたりして、いくらなんでもちょっと興ざめでした。このキャストはこの日でツアー終了だったのでしょうかね?こうして勝手に盛り上がっちゃうものイタリア気質と言ってしまえばその通りなんですけども(^_^;)


スポレート歌劇場来日公演
ロッシーニ「チェネレントラ」

アンジェリーナ:カルメン・オプリシャーヌ Carmen Oprisanu
ドン・ラミーロ(サレルノの王子):アントニーノ・シラグーザ Antonino Siragusa
ダンディーニ:オマール・モンタナーリ Omar Montanari
ドン・マニフィコ:レオナルド・ガレアッツィ Leonardo Galeazzi
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コメント 6

rosina

管理人さま、
シラグーザは良いテノールだと思います。フローレス王子と二人、たぶんロッシーニ・テノールの軽量級クラスでは歌唱技巧、活躍度等で一、二を争う人と言われているようです。ただ私は、アジリタ等では心持ち、王子の方が上だけど、声そのものの美しさではシラグーザの方がイタリア人らしい甘さと艶、陰影が出せる点で上だと思います。

3月にバルトリのアンジェリーナ、シラグーザのドン・ラミロ、ブルーノ・プラティコのダンディーニで聴く事が出来ましたが、素晴らしかったです。オペラはやっぱりチームワークだから、一人だけ傑出していても公演全体を救うのは難しいですよね。


例のキーンリーサイド入りの『ドン・カルロ』の全幕分の録音ファイルをアップロードしたので、そのリンク先をそちらにメールいたしました。
by rosina (2008-07-03 00:37) 

keyaki

>バルチェローナは怪我でキャンセル
怪我って、心配ですね。
バルチェッローナのキャンセルは痛いですね。

>カルメン・オプリシャーヌ
検索するとロッシーニ専門のように書いてありますが、ここ2年くらいのスケジュールはアダルジーザばっかりですよ???同姓同名がいるのかいな?
久々のロッシーニで、声の調整がうまくいってないのかも....

昨年のスポレートの来日公演もシラグーザが目玉でしたよね。
新国の来シーズンの《チェネレントラ》にも出演します。あとのキャストもなかなかのものですよね。キャンセルがないように......祈ってます。
http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/20000076_2_opera.html#cast
by keyaki (2008-07-03 13:15) 

Sardanapalus

rosinaさん>
はい、シラクーザはとても良かったです!私も、アジリタはフローレスのほうが上手い(というか彼以上の歌手はなかなかいないでしょう)と思いますが、声はシラクーザの方が好みでした。でも、彼だけよくってもね~(^_^;)

>リンク先をそちらにメール
ありがとうございます。確認します!
by Sardanapalus (2008-07-03 22:55) 

Sardanapalus

keyakiさん>
>>バルチェローナは怪我でキャンセル
>怪我って、心配
そうなんですよ。なんでも左膝だとかで、会場には医師の診断書とバルチェローナの謝罪文が掲載されていました。早く復帰できるといいんですけどね…。

>>カルメン・オプリシャーヌ
>ここ2年くらいのスケジュールはアダルジーザばっかり
ええ、そうだったんですか!あ~、それなら納得できるかもしれません。アンジェリーナの声質じゃなかったです。仰るとおり、上手く調整できなかったんでしょうね。

来シーズンの新国のキャスティング、楽しみですね!し、しかしシラクーザのプロフィール写真は一体!?あ、例のサイラス指揮ですか…うーん、これはどうだろう。またまた「オケがねぇ…」ってなりそうな予感(^_^;)
by Sardanapalus (2008-07-03 23:06) 

rosina

またまた御邪魔します。
ふっと気になったのですが、これにはモンタナーリも出てたんですね。
まあ完全に独立のアリアと言うものはありませんが、重唱では活躍の場面が結構ありますよね。いかがでしたか、モンタナーリ?
by rosina (2008-07-07 23:24) 

Sardanapalus

rosinaさん>
>いかがでしたか、モンタナーリ?
はい、文中では一行で片付けてしまいましたが、健闘していたと思います。コミカルな演技も上手かったし、歌唱も安定していたし。「俺、こき使われてるんだ~]という恨み節が聞こえてきそうなダンディーニでしたよ(^^)そうそう、すらりと背が高くて、王子の扮装は似合っていました。


by Sardanapalus (2008-07-08 20:28) 

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