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ロイヤル・オペラハウスでのコンサート:キャンセル続きで楽しいごちゃ混ぜプログラム [音楽(クラシック)]


昨日6月24日、ロイヤル・オペラハウスで行われたジョイス・ディドナート、ジョセフ・カレヤ、トマス・ハンプソン、ヴァスコ・ヴァシーレフ(ヴァイオリン)、そしてアントニオ・パッパーノ(ピアノ伴奏)のコンサートへ行ってきました。え、そんなリサイタル予定されていたっけ?と思われた方も多いと思います。何せこのリサイタル、3日前に急遽発表された予定外の公演だったのです。

ロイヤル・オペラハウスの予定では、もともと6月24日にはロランド・ヴィリャゾンとアントニオ・パッパーノのリサイタルが行われることになっていました。ところが、ヴィリャゾンが喉の手術でキャンセルし、その後ディミトリ・ホロストフスキーが代役でリサイタルをすることに決まりました。ところがところが、なんとホロストフスキーも喉を痛めてドタキャンになってしまったのです。さあ大変。そこでロイヤル・オペラハウスは今ロンドンにいる人気歌手たちに声をかけまくり、上の3人が公演やリハーサルの合間をぬって歌ってくれることになったというわけです。さらに、今ロイヤル・オペラハウスのオーケストラでコンサートマスターをしているヴァイオリニスト、ヴァスコ・ヴァシーレフまで登場するという、正にオペラハウスを総動員しての公演となりました。

お腹いっぱいのプログラムは以下のとおり。(面倒くさいので画像を取り込んでしまいました。)
会場に入ると、舞台上にはグランドピアノが1台置いてあり、背景は「仮面舞踏会」の舞台で使用している大鏡になっていました。なるほど、これで会場を反射させると確かに豪華に見えますね。私が座ったのは安い席だったのであまり恩恵がありませんでしたが、1階や2階に座った人たちは舞台の奥にも劇場を見ながらリサイタルを聞けたわけです。

で、肝心のプログラムはどうだったかと言えば、本当に楽しい公演でした!(^^)メゾ、テノール、バリトンの歌手とヴァイオリンまで登場し、イタリア語、フランス語、ドイツ語、英語の歌曲やオペラアリアを入れ代わり立ち代り聞けるわけですから、面白くないわけがない!まずカレヤが高音を響かせたかと思えば、ディドナートがチャーミングにテクニックをみせつけ、更にはハンプソンが渋く決めるといった具合でした。おまけに、チャイコフスキーやラフマニノフのヴァイオリン曲まで楽しめたのですから、本当に災い転じて福となす、という言葉がぴったりのコンサートでした。このヴァシーレフというヴァイオリニスト、10代で様々なコンクールの1位を獲得しているだけのことはあって、ソリストとしても申し分のない演奏でした。こんな多彩なプログラムにできたのも、音楽監督のパッパーノが伴奏するからこその離れ業でしたね。

そのパッパーノの伴奏は、プログラムをしっかりと支える素晴らしい演奏でした!もともと彼のピアノを聴くのがひとつの目的だったのですが、イタリア歌曲だろうとロッシーニだろうとマーラーだろうとオペラアリアだろうとチャイコフスキーだろうと、何でも任せておけ!という感じで、どの曲も短い準備期間だったはずなのにしっかりと自分のものにしていました。後半の英語歌曲などは黒人霊歌やジャズの要素も盛り込まれたものが多かったのですが、特に"Can't help lovin' dat man"と"Somewhere over the raimbow"では、ディドナートも驚くほどのジャズアレンジを華麗に盛り込んだ伴奏で盛り上げてくれました。ここまでくると、ブラボーとしか言いようがありません。指揮者としてより、伴奏者としての方が技術は上かもしれませんよ、これは(^_^;)
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コメント 4

keyaki

さすが、ロイヤル・オペラハウスですね。
ビリャソンのリサイタルはパスですけど、これなら行きたいです。
それにしてもビリャソンって、あちらこちらで影響が出てますけど、オオモノだったんですね。でも、やっぱり、どこがいいのか理解できません。顔は愛嬌がありますけど。
グリゴーロのOPERNGLASのインタビューで、「今日、国際的キャリアの確立は、CD企業との専属契約によってこそだと思われます。これについてどうお考えですか。」なんて質問がありましたが、まさにビリャソンがそれなんでしょうけど。

by keyaki (2009-06-27 12:29) 

Sardanapalus

keyakiさん>
>さすが、ロイヤル・オペラハウス
今回は、人気歌手を集めた公演をしていたので何とか面目躍如できたという感じですね。でも、急遽組みなおしたにしては非常にレベルの高い、楽しめるコンサートでした。パッパーノのがんばりに拍手!です。

>ビリャソンって、あちらこちらで影響が出てますけど、オオモノだったんですね。
やはり世界各国でCDが売られていますし、この前はネトレプコと「ラ・ボエーム」の映画にも出たし、知名度があるからあちこちで声がかかるのでしょうね。もともとテノールに惹かれることは少ないし、彼を生で聞いたこともないので彼の魅力は私にも分からないのですが、あの全力投球の姿勢には好感が持てます。ま、そうやってがんばりすぎて喉を手術することになってしまったんでしょうけど…。
by Sardanapalus (2009-06-27 19:03) 

ロンドンの椿姫

ホロストフスキーのリサイタルには行く気がしませんでしたが、このメンバーに変更と聞いて急遽ROHに走った私です。
下の方の席は結構空いてましたから、サルダナさんも降りてくればよかったのに。私は図々しく行きましたよ(より安い席に移ったのですが)。

ヴィラソンの魅力は生でないとなかなかわからないかもしれませんね。テノール好きの私ですら彼のの声は特に素敵だとは思わないのでCDを買う気はしないし、顔もミスター・ビーンだけど、舞台の熱血ぶりにはいつも惹き込まれてしまいます。
by ロンドンの椿姫 (2009-06-29 04:51) 

Sardanapalus

ロンドンの椿姫さん>
>このメンバーに変更と聞いて急遽ROHに走った私
大勢がそれぞれ得意な曲を披露してくれたので、個人のリサイタルよりも単調にならずに楽しめましたよね。メゾもテノールもバリトンも、さらにはヴァイオリンも聴けて最高でした。

>ヴィラソンの魅力は生でないとなかなかわからないかもしれませんね
映像を見れば見るほどそう思います。いつもめぐりあわせが悪くて生で聴けないのですが、しっかりと復活した時にはぜひ見に行こうと考えています。
by Sardanapalus (2009-06-29 05:50) 

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