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チェチーリア・バルトリのリサイタル [音楽(クラシック)]

昨日7日は、バービカン(The Barbican)で行われた人気メゾ・ソプラノ歌手チェチーリア・バルトリ(Cecilia Bartoli)リサイタルへ行ってきました。大人気の彼女、広いバービカン・ホールも当然チケットは完売、私は当日開演1時間半前から販売される戻りチケット、いわゆるリターン(Return)を買って聞きました。これ、絶対良い制度だと思うんですけどね、日本の融通のきかないチケット販売方法も見習って欲しいものです。どうせお得意先とかから戻ってくるチケットが必ずあるでしょうし、空席を作るよりもこうして販売した方が誰にとっても得なはずですけど。

Opera Proibita 今回初めて生で聞くバルトリ、胸の大きく開いた黒いタイトなドレスに、ギラギラと光る太い銀のネックレスとブレスレットをして舞台に登場した彼女、第一印象は…思っていたよりも太い(笑)え~、だって最新作のCD「禁じられたオペラ(Opera Proibita)」(日本版はこちら)のジャケットではスタイル良かったじゃん!←って、あれは…もしかして修正入ってる?(笑)今回のプログラムもこのCDからの選曲、古楽器のオーケストラをバックに従えて(本当に「従えて」いる感じでした^_^;)、耳慣れないバロック・オペラのアリアの数々を、コロラトゥーラをばりばりと(コロコロと?)きかせて歌ってくれました。は~、こりゃ凄い声ですね!彼女の喉の構造はどうなってるんでしょう?ひたすらコロラトゥーラで歌いまくるアリアなどでは、客席も曲の途中で「おいおい、まだコロコロさせるのかい!」といった雰囲気で、半ばあきれているような感じでした。

バルトリは1曲1曲、登場人物になりきって情感を込めて歌っていました。何よりも、本人が音楽を楽しんでいるのが伝わってきて、聞いている方もすんなりと彼女の歌の世界に入っていけたと思います。曲の盛り上がりでは一緒に手を動かしたり気合を入れたり、静かなところではメロディに載せて体を揺らしたり、といった感じで一時も止まっていないパワフルさは、正に明るいイタリアのお姉ちゃんといった感じ(笑)一応コンサートマスターが仕切っているのですが、コロラトゥーラが複雑なところなどはバルトリが合図を出すので、殆ど歌い振りのような曲も有りました。正にオーケストラを「従えて」の大熱唱の数々でしたので、1曲ごとに大歓声!いつも大人しいイギリスの観客に慣れていたので、ブラボーの嵐の会場に驚いたりしました(笑)

プログラムは、イタリア語でしかもマイナーというか、誰も知らないような曲ばかりでしょうから省略します。一番有名なのは、ヘンデル(Handel)'Lascia la spina, cogli la rosa'でしょうか。ヘンデルのオペラ「リナルド(Rinaldo)」「涙あふるる(Lascia ch'io pianga)」と同じ曲です。他にスカルラッティ(Scarlatti)、カルダラ(Caldara)、コレッリ(Corelli)による曲も歌いましたが、やっぱりヘンデルのアリアの数々は良いですね~。いつもは殆ど聞かないバロック・オペラの曲をバルトリで聞けて幸せな時間でした。アンコールもどっさり3曲、大サービス。声の調子も良かったんでしょうね。トリには、本編でも歌った、頭がおかしくなりそうなくらいコロラトゥーラをきかせたヘンデルのアリア'Disserratevi, o porte d'Averno'のダイジェスト版で再び会場を盛り上げて、大熱狂、スタンディングオベーションの会場に手を振りながら笑顔で去っていきました。

(上のCDの10曲目と14曲目。写真からリンクしているアマゾンのページでちょっとだけ試聴できます。曲への直リンク:10曲目 14曲目


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コメント 15

わぁ、バルトリのリサイタルですか、いいですねぇ!盛り上がったようで羨ましいです^-^私も一度生で聴いてみたいな
ほんとに
>>喉の構造はどうなってる
って思うようなコロラトゥーラ+回りまくりの舌回しですよねー。ちょびっと北米インディアン達の雄叫びを思い出したりします^^
>>思っていたよりも太い
けっこうガッチリしてる…?でもものすごく愛くるしいですよねー。
by (2005-12-08 23:13) 

keyaki

>伝説のメゾソプラノ、ついに来日決定
来年3月には来日するようです。飛行機嫌い?らしく、なかなか実現しなかったようですネ。
チョン・ミョンフンのピアノ伴奏ですって、チケット9000円〜35000円!
そちらでは、2310円〜11550円(210円換算)なんたる違い! 
彼女ほどレパートリーを限定している歌手もめずらしいですよね。特に最近はマイナーなものばかりやりますものね。

>第一印象は…思っていたよりも太い(笑)
小柄だけど、グラマーで、爆弾姐ちゃんという感じですよね。全部バロックですか! 私なんか全部同じに聞こえて、たいくつしちゃいますけどね。
ロッシーニとかも歌ってくれれば楽しいでしょうにね。
by keyaki (2005-12-08 23:18) 

Sardanapalus

りょーさん>
>ちょびっと北米インディアン達の雄叫びを思い出したり
あっはっは。そう言われてみれば特に激しい曲ではそうかも。個人的には演歌の「こぶし」みたいと思うのですが(笑)

>>思っていたよりも太い
>けっこうガッチリ
ですね。CDのジャケットでしか見たことがなかったので、出てきた時に「ん~?別人?」と思ってしまったんです(笑)巨漢というほどではないですから、がっしりとした体型、といえばいいのでしょうかね?
by Sardanapalus (2005-12-08 23:43) 

agojun55

コベントガーデンの’イタリアのトルコ人’では、’脱ぎながらの絶唱’だったので、オペラハウス全体がしーんと静まりかえり、完全にセシリアに飲み込まれた状態になったことを思い出します。どんなつまらん歌もセシリアが歌えば最高の歌になってしまう。
写真の可愛いフェースからは、日本人ではあのボリームは想像できないでしょう。‘写真のごまかし’なだけ。
by agojun55 (2005-12-08 23:52) 

Sardanapalus

keyakiさん>
>来年3月には来日
私も小耳に挟みました!あ、飛行機嫌いなんですか!じゃあ、今回もユーロスター使ったのかなぁ?それとも短いフライトなら大丈夫とか?何にせよ、友人のミョンフンが伴奏なら、ってことで決定したんでしょう。しかしチケット代ふざけているのかと思うくらい高いですね~(@_@)どんな選曲になるのか知りませんが、来日オペラが見れる値段じゃないですか!こっちの最高額=日本の最低額とは…。

>爆弾姐ちゃん
正にそんな感じです!ソプラノだったらブリュンヒルデみたいな勝気な役がぴったりだと思いました。

>全部バロック
>全部同じに聞こえて
正直、何曲か舟をこぎました(笑)隣のご夫人はすやすやと1曲寝てらっしゃったり。でも、歓声で目が覚めますので聞き所は大丈夫でした(笑)今回はアンコールまでず~っとバロック尽くしでしたが、彼女のロッシーニも聴きたいなぁ。つい最近コヴェント・ガーデンに来たのに行けなかったんですよねぇ。
by Sardanapalus (2005-12-08 23:54) 

ロンドンの椿姫

>>思っていたよりも太い
へえ~っ、私と逆だ。私の場合、「思っていたよりも」ではなくて、前に観たときとの比較ですが、昨日、ほっそりしてたのでびっくりした! ちょっとだけだけどね。
私は生で軽く10回は聴いてるけど、絶対お勧めの彼女をSaldanapalusさんに聞いて頂けてよかった! キャンセルもしなかったし、リターンチケット(Saldanapalusさん分。私は発売日当日に購入)も買えて、めでたしめでたし。二人で祈ってたんだもんね。

いつも通り、ヤンヤの喝采で満足満足。

以前の彼女の記事をふたつTBさせて頂きました。昨夜のリサイタルの記事は例によって忘れた頃に。

http://peraperaopera.ameblo.jp/
by ロンドンの椿姫 (2005-12-09 00:01) 

Sardanapalus

agojun55さん>
はじめまして。コメントありがとうございます!

>どんなつまらん歌もセシリアが歌えば最高の歌
今回の選曲も、彼女じゃなかったら本当に退屈な公演だったことでしょう。曲の解釈に加えて、声のテクニックでも楽しませてくれる凄い歌手ですね。

>写真のごまかし
ふふふ、そうですね。最近写真では恰幅の良いイメージだったフレミングが標準体型程度になっているのを見たばかりだったので、余計に「あれ?イメージと違うなぁ」と感じてしまいました。でも、勘弁して欲しいほど太ってる訳ではないですからあんなジャケットにする必要はないと思いますけどね~。
by Sardanapalus (2005-12-09 00:03) 

Sardanapalus

ロンドンの椿姫さん>
お勧めしていただいてありがとうございました。お陰で楽しめましたよ~。ほんと、リターンもちゃんと買えたし。

>昨日、ほっそりしてたのでびっくり
何だか体型の話ばかりですが(笑)、やっぱり映像や写真と実際目で見るのとでは違いますからね~。ネトレプコとは言いませんが、ゲオルギューくらいの体系かと思っていたんですよ。

TBもありがとうございます。こちらからは今回のリサイタルの記事がアップされたらTBしに行きますね!
by Sardanapalus (2005-12-09 00:08) 

euridice

生の舞台は知りませんが、映像でも、一度観たら忘れられない迫力がありますね。たぶん初めて観たのは、シンデレラ、それからセビリアの理髪師だったと思いますが、強烈でした。最近、録画してあった珍しいオペラをやっと観ました。私には退屈な古いオペラですけど、バルトリのお陰で、全部観られました^^! バルトリ繋がりということで、TBしますね。
by euridice (2005-12-09 08:31) 

助六

小生がバルトリを初めて聴いたのは、88年のペーザロで「ブルスキーノ氏」でした。主役のソフィアはデヴィーアで、バルトリは端役の女中役で、まだ最初のレコード「セヴィリャ」が出る前で全く無名でした。端役とはいえ、難しいパッセージがあり、出てきた色の黒い「華奢な!」女の子がワーッと見事に歌うので配役表を見返したけれど、知らない歌い手さんだったのを憶えています。その後あれは地黒ではなく海浜焼けであったことを悟りました。まあイタリア女性が一定年齢を経ると「魔術的変身」を遂げるのはよく知られている通りでしょうから、今程度のヴォリュームに留まっているのは立派なのかも知れません。
パリでは日曜日に公演があります。
by 助六 (2005-12-09 09:37) 

Sardanapalus

euridiceさん>
>映像でも、一度観たら忘れられない迫力
迫力は本当に凄いですね。スター性ってやつですか?バルトリが今にも舞台から飛び出してきそうな感じでした。TBもありがとうございます。これ、確か実家にもあるけどどう考えてもつまらなそうだったので見てないです(笑)

助六さん>
>「華奢な!」女の子
やっぱりそんな時代もあったのね~。そうそう、一般的なイタリアのおばちゃんとかと比べると、全くもって許容範囲です!パリでの公演もこの「オペラ・プロイビタ」ツアー(笑)でしょうか。お聞きになられましたらぜひ感想を教えてください。
by Sardanapalus (2005-12-09 20:23) 

ロンドンの椿姫

このリサイタルの記事をTBさせて頂きました。
私も随分何度も行ってるので、他の人に譲って方が彼女のためにもいいのだろうとは思うのですが、結局また自分で行っちゃいました。

http://ameblo.jp/peraperaopera/
by ロンドンの椿姫 (2005-12-14 06:42) 

助六

結局昨年は都合で行けませんでしたが、今年また殆ど同プロでやってくれたので今晩聴いてきました。パリでは彼女のオペラ舞台上演は随分前に一度あっただけだけれど(デカいバスティーユでケルビーノ!)、リサイタルはここ10数年は殆ど毎年あるので(最高級住宅街シャイヨーにアパート持ってるとか)、随分聴きましたが、考えてみると今晩は私にはもう3年振りでした。去年は完売だったそうですが、今回はさすがに最高席は売れ残ってましたねぇ。

3年振りに見るとやはりさらにふくよかさを若干増された感。

カルダーラ、スカルラッティ、ヘンデル(Lascia la spinaもありました)などで、バックは昨年のバーゼル室内管に替わって、指揮者なしのフライブルク・バロック管(大変優秀)。

レチタティーヴォの彫りの深さとイタリア語の美しさ、レガートの確かさとフィオリートの切れ味、何より繊細極まりない音楽性の放射が素晴らしい。やっぱり何度聴いても卓越した歌い手さんですね。あの小粒の声に相応しい19世紀初めまでのレパートリーに限って、ベッリーニ・ドニゼッティのオペラにさえ手を付けないのは、利口かつ意志力も要する決断と思います。

10数年前は、特にロッシーニなどディスクでの鮮やかさと実演での声の小ささにかなりのギャップを感じたものですが、ここ数年は(仮にマイクで補助しているのだとしても)、声も厚みを増し、プロジェクションにも堅固さが加わって、少なくともバロックではそうした不満は殆ど感じなくなった気がします。

前・後半それぞれ7曲とアンコール4曲(ボノンチーニのOmbra mai fuやヘンデルのクレオパトラのアリアがあった!)ですから、オケ伴リサイタルでは通常8曲が標準、引退前の大家だと4曲なんて「サギまがい」のものまであることを考えれば、量的にも手抜きはなしですね。最高席156ユーロのバカ値だから当然だけどね。
小生はこの辺のレパートリーは大好きなので、3年振りということもあり、文字通り時の経つのを忘れて楽しませて頂きました。
by 助六 (2006-12-09 10:40) 

Sardanapalus

助六さん>
>今晩聴いてきました
お、パリはキャンセルしなかったんですね。1日に行われたドレスデンでのTVコンサートは結構ドタキャンでシェーファーが代わりに登場したんですよ。相変わらずのサービス精神満載のプログラムで調子良かったなら大したこと無かったんですね、良かった。助六さんのコメントを読んでいると、バルトリの声を思い出します。将来また聞く機会があることを祈って(笑)

>ふくよかさを若干増された感
ははは、実は昨夜NHKで放送されたザルツブルクでのモーツァルト誕生日コンサートで、登場してきた時に「あれ?聞いたときよりちょっと太ったかな?」と思っていたのです(笑)

>最高席156ユーロのバカ値
ヨーロッパにしては高いですね!パリだから?(^^)
by Sardanapalus (2006-12-09 18:38) 

助六

>1日に行われたドレスデンでのTVコンサートは結構ドタキャン

そうでしたか!さすがに情報緻密ですね。いやー、幸い言われなければ1週間前病気とは全く気付かぬ元気一杯ぶりでした。彼女はパリでも、3年前は12月初めと半ばの2回のリサイタルの内、後のはキャンセルで1年後に延期なんてこともありましたけど、TVコンサートでもキャンセルということは、ほんとにカゼ引きだったんでしょうね。
by 助六 (2006-12-10 11:31) 

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