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フレディ・ケンプ ピアノ・リサイタル [音楽(クラシック)]

4月2日に大阪のザ・シンフォニー・ホールで行われたフレディ・ケンプ(Freddy Kempf)リサイタルに行ってきました。顔と名前は知っていましたが、実演を聞くのは今回が初めてです。プログラムはオール・ベートーヴェンの魅力的なものでしたし、最高座席でも4000円という、とってもお得なリサイタルでした。実は、ロンドン在住のロンドンの椿姫さんに教えていただいた公演です。ありがとうございました。

①ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第14番『月光』
第1楽章から、かなりクセのある「タメ」のある演奏でした。でも、今回のリサイタルで一番ゆったりと聞いていられる楽章だったかもしれません。ちょっと間を置いてからの第2楽章、思いっきりスタッカートのきいた出だしから、力強いながらも軽やかな演奏を展開して、そのままテンポ良く第3楽章へ入ったと思ったら、そこからは物凄い早弾きとペダル全開の強いフォルテでずんずん進んでいく演奏でした。とにかく、こんなにうるさい『月光』は初めてで最初からビックリ(@_@)

②ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第23番『熱情』
『月光』であれだけ激しかったのだから、『熱情』なんてどうなっちゃうの?と期待と不安でドキドキしながら聴きましたが、もう、フォルテ部分の激しいの何の!(笑)フォルティッシモ×3って感じで、ピアノが壊れそうなくらいでした。ちょっとミスしても何のその、まるで元からその音だ、といわんばかりの迫力でどんどん進んで行きます。またもやペダルをたっぷりと効かせた演奏で、音が濁りだす直前の絶妙のタイミングで切り替えていくのは流石だと思いました。ベートーヴェンのソナタの中でも一番好きな作品ですが、初めて生で聴くのがケンプで良かったのかどうか(笑)とにかくテンポが早くて、ガンガン押しまくっていたことが強く印象に残った演奏でした。第2楽章のことは印象が薄いのですが…やっぱりかなり重厚でうるさいアレグロだったような(^_^;)

③ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第29番『ハンマークラヴィーア』
休憩後の大曲、『ハンマークラヴィーア』は、正に彼の早弾きと音の強弱の格差が絶好調でした。4楽章からなる壮大な曲で、演奏する方も聴く方も大変な曲だと思います。音数も多いし、聴いているだけで「超難曲」だということが分かりますね。今回のプログラムでも当然一番力が入っていたと思います。大好きなベートーヴェンでも初めて聴く曲だったので、第1、2楽章は楽しく聴いていましたが、第3楽章の20分を超えるアダージョではついうとうと…(^_^;)でも、酷い演奏だったら眠れませんからね!とフォロー。本当に、ベートーヴェンのアダージョは美しい旋律で、ついついうっとりしてしまいます。演奏終了後は大きな拍手と歓声!ケンプは嬉しそうにニコニコしてました。

このリサイタル、これだけでも大満足でしたが、機嫌が良かったのか、体調が良かったのか、なんとアンコールは3曲も弾いてくれました。

アンコール①ショパン:ピアノ・ソナタ第3番第4楽章
アンコール②ショパン:12の練習曲(エチュード)第1番
アンコール③ムソルグスキー:組曲『展覧会の絵』より「キエフの大門」

ショパンの方は、音を外しても気にシナ~イという雰囲気の楽しい演奏。特にエチュードは思いっきり外れてましたけど、鼻歌でも歌っているようなかる~い感じで一気に弾ききってました。この2曲はプログラムのベートーヴェンの重厚さとはがらりと変わって、滑らかな指使いが印象的でした。

2曲弾いても粘るお客さんに、3度目はかなり長い曲「キエフの大門」を持ってきました。これには客席もざわめきますが、拍手も終わらないうちにさっさと弾きだして、ざわめきを楽しむかのように伸び伸びと弾いてくれました。ベートーヴェンも良かったけど、このムソルグスキーもとっても良かったです!彼の演奏スタイルはロシアや東欧の作曲家の作品が似合っているのかもしれませんね。と言っていたら、11月に浜松(隣街!)で『ハンマークラヴィーア』と『展覧会の絵』のリサイタルをやるそうですよ、こりゃ行かねば(笑)

という感じで、休憩入れて2時間ちょっとのリサイタル、大満足でした。夜は大学時代の友達と飲み屋で近況報告、その後彼女の家で「ウォレスとグルミット」で盛り上がり、とても有意義な日曜日を過ごせました。


※ちなみに、会場のザ・シンフォニー・ホールは音響も良くてコンパクトにまとまった素敵なホールです。今年6月末にはディーマことディミトリ・ホロストフスキー歌曲リサイタルの大阪公演も行われますね。(どうでも良いですが、このサイトで気になるのはLoveDima席…何だろう?正面1列目のことかな?あまり熱心なファンでもないので問い合わせる勇気が無いのですが、気になりますね。) 


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コメント 5

たはは(笑)
そこに注目ですか、LoveDima席^^;すごい名称ですね。
そのとおり、正面一列目のことです。サモン・プロに会員登録してるひとには、プレオーダーのお知らせが来ました。東京公演のほうのこのチケットは完売だそうですよ。(東京公演、行くつもりですが、私は2階席です、念のため^^;)

それにしてもケンプの演奏ってそんなに面白いのですか~。ピアノもなんか聞いてみたいなと思いつつ、まだ、、、。うん、でもほんと、重厚な演奏の出来る人には、是非ムソルグスキーをやって欲しいですね。
by (2006-04-05 01:34) 

ロンドンの椿姫

本当にいらしたんですね!
私がキーシンのリサイタルのついでに見つけたコンサートですが、この値段だものね、行きゃなきゃ損です。
やっぱりガンガンやりましたか。だからベートーベンはいいけど、ショパンは合わないでしょ? 私が聞いたときもラフマニノフが素晴らしかったけど、ショパンはひどかったです。でもこの曲目のコンビネーションはすごいですよね。ワンパターンだけど、あの凄いハンマークラヴィアの前に月光と熱情だなんて。若いから疲れないのでしょうかね?
浜松にも来るのですね。浜松はピアノ生産で有名だからってわけじゃないでしょうけど。
http://ameblo.jp/peraperaopera/
by ロンドンの椿姫 (2006-04-05 08:05) 

娑羅

こんにちはー。先日は、りょーさん経由で情報をいただき、ありがとうございました。
さて、ちょっと訂正。LoveDima席は、1~2列目のセンターブロックだそうです。
そんなことは、どうでもよくて・・・^^;

4000円のピアノリサイタルと言えば、デニス・マツーエフを、やはりシンフォニーホールで聴いた事があります。
彼も笑いが出るほどのパワー(ピアノが動いた!)でした。
でも、音ははずさないし、音はきれいだし、広がりがあるし、素晴らしかったです。
1曲目から、リストの「ダンテを読んで」でしたから(笑)
来月、彼のチャイコンを聴きに行くんです。
今からわくわくしています(^^)
by 娑羅 (2006-04-05 15:08) 

Sardanapalus

りょーさん>
えへへ(^_^*)変なとこに注目しちゃってごめんなさい~。りょーさんはサントリーで2階ですか。ちょっと遠くても、音響は良さそうですね。

>ケンプの演奏
テンポの取り方と音の強弱が、とても刺激的だったと思います。優男なのに、全く印象の違う力強い演奏でした(笑)

ロンドンの椿姫さん>
はい、行ってきました!お陰様で楽しい演奏を聴けました~。

>やっぱりガンガン
でした(笑)ショパンは今回アンコールだけだったし、あまり気になりませんでしたけど、会場を出る前に「アンコールも全部ベートーヴェンかと思ってた」といってる人がいましたから、やっぱり普通よりは激しかったんでしょうね。

>ハンマークラヴィアの前に月光と熱情
勿論、休憩はたっぷり取りましたよ。確か25分くらい。それでも、元気だな~と思いますけどね~。

>浜松はピアノ生産で有名
もちろん、招聘元はヤマハですよ(笑)
by Sardanapalus (2006-04-05 22:59) 

Sardanapalus

娑羅さん>
こんにちは~。ラジオ情報、お役に立てて嬉しいです♪それと、LoveDima席の詳細ありがとうございます。やっぱりそういうことでしたか。

>デニス・マツーエフ
>彼も笑いが出るほどのパワー(ピアノが動いた!)
うわ~それも凄いですね!私がそんな場面見たら絶対噴出しちゃってますよ(笑)ケンプの演奏は、ピアノが分解するか、弦が切れるか、って感じでした。ピアノって、あんなに鳴るものなんですねぇ。チャイコン、勿論1番ですよね?良いな~。彼の演奏は聴いたこと無いですが、機会が会ったらぜひ聴きに行こうと思います。また4000円とか無いかな~(^_^;)
by Sardanapalus (2006-04-05 23:05) 

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