CD「Tales of Opera」やっと聞きました [Keenlyside]
ドイツで9月26日に発売されて、Belle de Nuitさんが既に記事にしてくださっているサイモン・キーンリーサイド(Simon Keenlyside)の初めてのアリア集CD「テイルズ・オブ・オペラ(Tales of Opera)」が、ようやく我が家にも届きました。
別にイギリスでの発売を待っていたとか、色々と厳選していたとか、日本のサイトに取り寄せてもらったとかではないのです。ちゃんと発売前にドイツのサイトから予約していました。何でこんなに到着が遅れたかというと…郵便事故っていたからです(^_^;)全く勘弁してよね~。
なので、そちらとは別に注文しなおして、ようやく今日届いたのです。紆余曲折を経て入手したCDですが、まあ盛りだくさんなこと。試聴した段階で内容が多彩なのは分かっていたつもりでしたが、やはり全曲ばーっと通して聞くと、かなり疲れるCDだということが判明しました(笑)いや~まあ、バリトンのアリアって、報われない愛を叫んだりとか、烈火のように怒ってたりとか、死にそうだったりとかするじゃないですか。で、それがずら~っと15曲ですもん。そりゃいくらファンでも疲れます!
曲目とかはこちらを参照していただくことにして、聞いてみた今の感想としては…
●やっぱり言語と役によって歌い方が全然違う人だなぁ~。(プロなら当然でしょうけど)
●本当に自分の好きなアリアしか歌ってないね。
って感じでしょうか。いや~ファンとしては嬉しい限りの選曲です。フィガロのふざけ具合とか、ヴェルディ諸役での深めの声とか、イェレツキーやヴォルフラムの切ない思いの詰まった歌声とか、ファンにとってこれ以上無いおいしい部分を集めたCDになっていると思います。
ヴェルディ「ドン・カルロ」は'Per me guinto'の表記なので撃たれる前までかと思いきやカルロとのやり取りを端折って死ぬまで歌っていたり、トマ「ハムレット」の'O vin, dissipe la tristesse'では同様に合唱パートを端折っているのにアリアの最後、本来は合唱がハムレットに続いて歌う部分の後の全員で決める'Verse l'ivresse!'でいきなり叫ばれてビックリしたりしますが(笑)、こういう嬉しい驚き(?)も彼らしい(笑)
今のところはヴェルディ「仮面舞踏会」の'Eri tu'とチャイコフスキー「スペードの女王」の'Ja vas ljublju'が気に入っていますが、聞くたびに色々と気になるのでその時の気分によって変わると思います。
CDの内容が良いのと同じくらいファンにとって嬉しいのは、歌詞カードの中にキーンリーサイドのリラックスした写真がいくつか載っていることと、本人のCDに関するエッセイ+落書き2枚が載っていることでしょう。落書きの1枚はドン・ジョヴァンニのパロディ、もう1枚はパパゲーノとパパゲーナ、興味のある方はsimonkeenlyside.infoにアップされています(ページ一番下の2枚)。個人的にはちびデブ禿げのジョヴァンニに迫るふかふかスリッパの騎士長に笑い転げました(^_^;)
エッセイのほうはかなり真面目に多彩な選曲になった理由などを語ってますが、小ネタでマドリッドの「ドン・カルロ」で呻きながらリアルに死のうとして指揮者に「ヴェルディの音楽では常に美しく死ぬべきだ!」と注意されたことを書いていたりします。…実際に公演を見た身としては、この指揮者の静止は良い方向に働いていたと思います。だって、あれ以上リアルにやられたら怖すぎるってば~。
最後に、このジャケット撮影はどこの劇場かな~?とずっと疑問に思っていたのですが、どうやらベルリンのコーミッシェ・オパー(Komische Oper, Berlin)のようです。ということはベルリン・フィルの「ペレアスとメリザンド」歌ってた頃に撮ったのかな?しかし、何でコーミッシェ?(笑)
あらら、とっくに毎日聴いているものと思ってましたよ。
>郵便事故
って、なに、なに、よかったら事情をお願いします。
>ヴェルディ「ドン・カルロ」は'Per me guinto'の表記なので撃たれる前まで
これって、死ぬところまでやらないと唱歌(消化)不良をおこすんじゃないでしょうか。撃たれてからの歌が本領発揮でしょうしね。(けっこううまく駄洒落が入りました)
昔、シェリル・ミルンズのリサイタルを聴きにいった時も、これを歌いましたが、ちゃんと死ぬところまでやりました。倒れるまではやりませんでしたが、ちゃんと撃たれたところを押さえて歌ってました。
>ちびデブ禿げのジョヴァンニに迫るふかふかスリッパの騎士長に
キーンリーサイドが、ちびデブ禿げのジョヴァンニに扮しているのかとおもいました。(笑
遠くで、腕立て伏せ?しているのは誰?
by keyaki (2006-10-14 12:26)
記事にリンクして下さってありがとうございます。
>郵便事故っていたからです(^_^;)
まぁ、何という災難。本来なら、真っ先にSardanapalusさんの所に届くべきCDなのに〜。
>小ネタでマドリッドの「ドン・カルロ」で
ここ面白かったですね! 読みながら、これはSardanapalusがご覧になった公演だわ、と思っていたので、実際の舞台と合わせてのご意見聞けてうれしいです。演技派のキーンリーサイド氏が、そんなにリアルに苦しんでたりしたら、そりゃ怖い。
by Belle de Nuit (2006-10-14 15:49)
>報われない愛を叫んだりとか、烈火のように怒ってたりとか、死にそうだったりとか
確かに!重い(笑)
オペラの中でのずっしりした聞かせどころの羅列ですもんね。
私もイラスト見せて頂きました。上手いですねぇ~。しかも落書きじゃなくて真剣に描いてるイラストはまたすごい。こういう発想って何処から湧くのかしら。
keyakiさん>
>遠くで、腕立て伏せ?しているのは誰?
横レスですが、これは・・・ドンナ・アンナではないかと(笑)位置的にレポレッロかと思いましたけど、かなり艶かしいいでたちでらっしゃるし(笑)
>ちゃんと撃たれたところを押さえて歌ってました。
わは~、ミルンズったら演技派ですね(笑)リサイタルで撃たれた場所が特定できるなんて。
Sardanaさん Belle de Nuitさん>
>だって、あれ以上リアルにやられたら怖すぎるってば~。
>演技派のキーンリーサイド氏が、そんなにリアルに苦しんでたりしたら、そりゃ怖い
プラス、イっちゃってるカルロだとどういうことになるかしら。。。
荒れそうですねー。うっふふふ・・・
>しかし、何でコーミッシェ?(笑)
椅子が赤くて綺麗だったから。。。
by (2006-10-14 18:31)
keyakiさん>
>>郵便事故
>って、なに、なに、よかったら事情を
いや、そんなに異常なことではなくて、単に発送したのに届かない、つまりドイツか日本の郵便局がどこかで商品を無くしてしまったというだけのことです(^_^;)これが手作りの贈り物だったら哀しいですが、CDですので「届いて無いから代金返して!」と申し立てれば済む問題です。イギリスではしょっちゅうだったのでもう慣れました(笑)
>>'Per me guinto'
>これって、死ぬところまでやらないと唱歌(消化)不良をおこすんじゃないでしょうか
座布団を3枚ほど差し上げたい出来ですね!バリトン歌手にとっては数少ない見せ場だと思うので、死ぬまでやってくれて大満足です。
>ミルンズ
>ちゃんと撃たれたところを押さえて
細かいですね!
>キーンリーサイドが、ちびデブ禿げのジョヴァンニに扮しているのかと
本人はそう思ってるかもしれませんが、この絵は一応パロディだと思います。ちなみに、りょーさんが答えてくれていますが、腕立て伏せ(笑)してるのはドンナ・アンナでしょう。個人的にはジョヴァンニがちびデブ禿げだと分かってガックリきてるのではないかと思います(^^)
by Sardanapalus (2006-10-14 22:29)
Belle de Nuitさん>
勝手にリンクさせていただきました。後でTBしに行きますね!
>>小ネタでマドリッドの「ドン・カルロ」で
>ここ面白かったですね!
ですね!読み始めて「ん?これ見たやつだ!」って思いだしましたよ(笑)このエッセイの文面では非常に悔しそうでしたけど、あの演出なら抑え目で充分です、とぜひお伝えしたい(笑)
by Sardanapalus (2006-10-14 22:35)
りょーさん>
イラストは、次第にどれくらいの実力か分かってきた感じです。プロでもおかしく無い腕前ですよね。ターフェルを羊の群れの中心に描いた絵がいつか出てこないかなぁ(笑)
>>だって、あれ以上リアルにやられたら怖すぎるってば~。
>>演技派のキーンリーサイド氏が、そんなにリアルに苦しんでたりしたら、そりゃ怖い
>プラス、イっちゃってるカルロだとどういうことになるかしら。。。
>荒れそうですねー。うっふふふ・・・
12月のウィーンですね。今度はリアルに死ぬのかなぁー。ドキドキ。ちょっと抑えた方が綺麗でしょうけど、クーラのカルロの壊れっぷりについてっちゃうかも…。ぎゃー怖いよう。血みどろだったらどうしよう。
>>しかし、何でコーミッシェ?(笑)
>椅子が赤くて綺麗だったから。。。
わははは、確かに。でも、それならバイエルン国立歌劇場とかROHでも赤くて綺麗な座席ですよ~。多分、コーミッシェがぱっと低予算で抑えれられた、ってことでしょうかね。
by Sardanapalus (2006-10-14 22:53)
昨夜ミュンヘンにキーンリサイドが急遽登場でした。
開演前のスピーチでサプライズ代役発表。2日前に打診を受けたとは思えない、本当に素晴らしいロドリーゴでした。
ソロ歌手皆上出来でしたが、代役&役柄ゆえに、キーンリサイドへの拍手・ブラーヴォは一番すごかったかも。終演後、ロビーCDショップでサイン会がありましたが(代役出演の条件?)、上記CD、沢山売れてたようです。
by フンメル (2006-11-02 23:55)
フンメルさん>
私がちょっとネット落ちしていたら、キーンリーサイドは何だか忙しかったみたいですね(^^)レポートありがとうございます!好評だったのなら良かったです。
>終演後、ロビーCDショップでサイン会
へえ~、で、フンメルさんは買いました?(笑)それなりに充実したCDですのでバリトン・アリア集として普通にお勧めですよ~。
by Sardanapalus (2006-11-03 11:55)