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キーンリーサイドのリサイタル@ウィーン(2007年12月10日) [Keenlyside]

雨の週末をいいことに、12月20日(日本時間21日)にラジオ放送されたサイモン・キーンリーサイドのウィーンでのリサイタルを聴いています。ざっと聴いた第一印象としては、いつもより声が重たいと感じました。(この1週間前までMETでアルマヴィーヴァ伯爵を歌っていたからでしょうか?単に録音マイクの関係でしょうか?)

シューマンの「ユスティヌス・ケルナーによる12の詩(Zwoelf Gedichte von Justinus Kerner) Op.35」とシューベルトの歌曲で構成されたリサイタルでしたが、今回気に入ったのは前半のシューマンでした。まず、大好きなマルコム・マルティノー(Malcolm Martineau)のピアノでシューマンが聴けるなんて幸せ~♪彼の柔らかなタッチの演奏は、シューマンの歌曲に相性ぴったりです。キーンリーサイドも、シューマンの方が気合が入っていたような??…単に私がシューマン好きなだけかもしれませんが(笑)元気の良い3曲目のWanderliedや7曲目のWanderlungも良いですが、やっぱりこの歌曲集では10曲目Stille Traenenが感動的ですね~。2年前にもルネ・フレミングのリサイタルで聴いて感動したのを思い出しました。どんな曲か興味のある方は、タイトルから今回のmp3音源にリンクしています。

Songs of Robert Schumann, Vol. 2 キーンリーサイドの歌う「ユスティヌス・ケルナーによる12の詩」は、グラハム・ジョンソン(Graham Johnson)のピアノでCDになっていますが、かなり確固とした、隙の無い解釈での演奏です。ドイツ歌曲の大家ジョンソンの真骨頂ともいえる深い研究に基づく優れた演奏ですが、聞き手の自由な解釈が入る余地はあまりありません。それと比べると、今回の演奏は歌手もピアノもより柔軟で押し付けがましいところも無く、シューマンの美しい曲の数々を気楽に楽しむことが出来ました。シューマンはこういう演奏をしてもらうとその魅力が倍増しますね。

後半のシューベルトの中では、大曲のAn den Mond in einer Herbstnachtも、大好きなDie Sterneも、深い森での情景が目に浮かぶIm Waldeも良かったですが、一番印象的だったのはアンコール3曲目のDer Juengling an der Quelle(mp3)でした。キーンリーサイドのこういう声大好きです。アンコールまで全て放送してくれたOe1には感謝しなくてはいけませんね。この日のアンコールは歌手もピアノもお得意の綺麗な弱音が聴ける可愛らしい小曲ばかりで、プログラム後半で歌われた硬派な印象の曲での緊張が適度に和らぎました。個人的には12日のアンコールの方が聴きたかったですが、そこは我慢(^_^;)キーンリーサイドにしては曲数も抑えてあって心地よい余韻に浸れるリサイタルで、ウィーンの人にはとても良いクリスマスプレゼントになったことでしょう。

また、12月17日にパリで行われたリサイタルも、年明けにFrance Musiqueにて放送されるようです。まだFrance Musiqueのサイトには載っていませんが、Simonkeenlyside.infoによると1月9日放送予定だそうです。ジュリウス・ドレイク(Julius Drake)がピアノを弾いたこちらのリサイタルのプログラムにはシューマンのBallade des Halfners (no. 2, Op. 98a)が加えられている上にアンコールが5曲もあったようですが、どこまで放送してくれるのか…。余り期待せずに待つことにしましょう。

1月9日といえば、キーンリーサイドの2008年の仕事始めであるWigmore Hallでのリサイタルもあります。この日はシューマンの「詩人の恋(Dichterliebe)」を歌うんですよね~。ああー行きたい!この公演こそラジオ放送して欲しいです!!


<プログラム>
Robert Schumann
"Zwoelf Gedichte von Justinus Kerner, op. 35"
Lust der Sturmnacht
Stirb, Lieb und Freund!
Wanderlied
Erstes Gruen
Sehnsucht nach der Waldgegend
Auf das Trinkglas eines verstorbenen Freundes
Wanderung
Stille Liebe
Frage
Stille Traenen
Wer machte dich so krank?
Alte Laute
      
Franz Schubert
Der Wanderer an den Mond, D 870
An den Mond in einer Herbstnacht, D 614
An die Leier, D 737
Geheimes, D 719
Blondel zu Marien, D 626
Prometheus, D 674
Der Wanderer, D 649
Dass sie hier gewesen, D 775
Die Sterne, D 939
Im Walde, D 708

<アンコール>
Franz Schubert
Nachtviolen
Das Fischermädchen
Der Juengling an der Quelle

Simon Keenlyside, bariton
Malcolm Martineau, piano
Brahmssaal, Wiener Musikverein
(2007年12月10日収録)


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コメント 10

Shev

いつも洞察の深い記事をありがとうございます。
しかしサイドバーのオペラニュースの写真
めたくたかっこいいじゃないですか!
昔の写真ですかね。
私もいいかしら♪
たまには映りのいい写真もあるんだ!
ところでゼナイダ来年7月シルヴィアで日本に来ますよ~
いっしょにサイモン来ないのかな~
by Shev (2007-12-22 19:47) 

Sardanapalus

Shevaさん>
>オペラニュースの写真めたくたかっこいい
インタビューページの写真から、拡大写真に飛べますよ!いつもこれくらいかっこよく写っているとドキドキできるんですけどね(笑)これは写真うつりが良かったので覚えてますけど、元は↓のトップですよ。ってことは、2002年の写真ですね。
http://www.metoperafamily.org/operanews/_archive/1202/ThePoetryofRisk.1202.html

>ゼナイダ来年7月シルヴィアで日本に来ますよ~
彼女のシルヴィアはとても良かったので、予定が合えばぜひ見に行きたいです~。7月は仕事が入ってるから、残念ながら夫婦での来日は無理そうですね。
by Sardanapalus (2007-12-22 21:39) 

NO NAME

大分経ってしまいましたが...。

サイモン・キーンリサイドで検索したら、ヒットしましたので...。

この公演を生で聴きました。
前から5列目だったので、顔の表情が良く分かりました。
CDの写真より、10歳は若く見えました。別人では...、と思ってしまいました。
マイクが設置してあったので、録音はしていると思っていましたが、生中継されていたのですね。

CDは「テールズ・オブ・オペラ」(邦題)しか所持していませんが...。

ハイバリで良い声だと思いました。
Sardanapalusさんが書かれておられるように、シューマンは良かったですね。
シューベルトもSardanapalusさが書かれているほどではなかったと、感じましたが...。

声の質から、ドン・ジョバンニが合っていると感じ、コンサート終了後、musikvereinのショップを見たら、DVDが有りました。
認識不足でした...。

満足したコンサートでした。
by NO NAME (2007-12-25 14:15) 

うらわ楽友協会

すみません。名前を入力するのを忘れました。

> 大分経ってしまいましたが...。

> サイモン・キーンリサイドで検索したら、ヒットしましたので...。
by うらわ楽友協会 (2007-12-25 14:25) 

Sardanapalus

うらわ楽友協会さん>
はじめまして。コメントありがとうございます!生でお聞きになったのですね、羨ましいです(^^)このOe1の放送は、ライブ収録したものを後日放送したものです。今回のシューベルトも悪くはないですが、他のラジオ放送でもっと調子の良い歌唱を聞いているので…イマイチのりきれず(^_^;)マルティノーのピアノも素晴らしいシューマンの方に持ってかれてしまいました。

>CDの写真より、10歳は若く見えました
はは、確かに年の割りに若々しいです。あの髪型+小柄で落ち着きも無いので余計に若く見えますね。

>CDは「テールズ・オブ・オペラ」(邦題)しか所持していません
もし、ドイツ歌曲も聴かれるのであれば、記事に挙げたシューマンの他に、若い頃のシューベルトやR・シュトラウスの歌曲集が安価で購入できますので、興味がありましたらぜひ。

>ドン・ジョバンニが合っていると
ドン・ジョヴァンニは確かに当たり役です!DVDの演出はあっさりした現代読替もので賛否両論ですが、私は結構好きです。欲を言えば、キーンリーサイドの本領が出る、もっと時代劇の演出でDVD収録して欲しいですが。
by Sardanapalus (2007-12-25 23:58) 

euridice

ケルナーの詩による・・はかつて白井光子さんでよく聴いていました。
音声ファイル、聴きましたが、男声でははじめてかもしれません。
やはり歌う人によってずいぶん雰囲気が違いますね。
by euridice (2007-12-26 08:01) 

Belle de Nuit

今頃ですが……

このシューマン、本当に良かったですね〜。

>聞き手の自由な解釈が入る余地はあまりありません。
>シューマンはこういう演奏をしてもらうとその魅力が倍増
なるほど! 何となく合点がいきました。
あのCDも聴いていますが、どちらが好きかと言われれば、
今回のリサイタルの方が好みです(^^)。
by Belle de Nuit (2007-12-27 01:45) 

Sardanapalus

euridiceさん>
>ケルナーの詩による・・
>男声でははじめてかもしれません
そうなんですか!私なんかは逆に、男声でしか聴いたことがありません。歌う人によって雰囲気が違うというのは本当にその通りですね。歌曲だとどの曲でもその人の個性が強く出ますから、そこが面白いところでもありますね。

Belle de Nuitさん>
>このシューマン、本当に良かった
ですね~♪賛同していただけて嬉しいです。やっぱりシューマンの曲は、自由に空想が楽しめるようなロマンティックな演奏が好きです。キーンリーサイドとマルティノーで「詩人の恋」とか録音して欲しいです…
by Sardanapalus (2007-12-28 00:41) 

YOKO

Sardanapalusさん、おひさしぶり。。。
羨ましいほど、あいかわらず、彼に夢中ですね!
こういう、方に限って、彼を遠くから、見ているんですよね!(笑)
お話など、してらっしゃったかしら?(笑)
あのム-ティ-の大ファンの方も、彼女のあの素晴らしいサイトを、ム-ティ-には、知らせていないんだとか、モチロン、ご当人にも、お会いしてないんだとか
で、4分の1世紀以上も、彼一筋とか。。。もう、心境は、母の心境とか。。。

あなたさまも、そこまで行くんでしょうねエ~~~~~~(笑)
年配のワタクシからすれば、何故、彼が、結婚される前に、お会いして、お友達にならなかったんだ!と、ロンドンにいて~~~、と、思ってしまいますが。
日本女性は、モテマスノニ。。。チャンスが、あったかもわからないのに。。。
まあ、余計なお世話で、申し訳ありません。(笑)
わたくしなんぞ、まず、アルバレス、ザイフェルトそして、ティ-レマンと、この10年の遍歴!(笑)そして、モウ、ワーグナーも、いいと、こんどは、ロシアものに
夢中で、先日、見た、レニングラードのバレーの、若手の指揮者に、感じるものがあって、こんどは、音のイイホ-ルで、彼を、じっくり、見ようと、(聴こうと)
大宮まで、遠征しようかしら、と、ティ-レマンに、飽きてしまった、情けないワタクシ。。。(笑)ホント、キ-ンリーサイド一筋の、あなたさまが、ほんと、羨ましい
です。!!

来年は、彼のそば近くに、飛躍できますよう、お祈り申し上げます。
sardanapalusさん、人生は、一回きりですよ!(笑)
by YOKO (2007-12-29 17:01) 

Sardanapalus

YOKOさん>
お久しぶりです。キーンリーサイドが忙しくしてくれているので、日本に居ても情報がやってきてくれて嬉しい限りです(^^)日本で変にいじくっているブログがあるなんて知られたら大事ですので、本人は知らなくていいんですヨ。YOKOさん、ティーレマンとはしばし距離を置かれるのですか?私は一筋と言うか、他を余り知らないだけなのですが…(^_^;)

>来年は、彼のそば近くに、飛躍できますよう
ありがとうございます。私もそう願っています!
by Sardanapalus (2007-12-30 23:01) 

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