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ジューリオ・チェーザレ又はジュリアス・シーザー [オペラ(音源・映像・その他)]

Giulio Cesare in Egitto (3pc) (Sub Dts) 昨日の夜中BS-hiで放送された、2005年グラインドボーン音楽祭のヘンデル(Handel)「ジューリオ・チェーザレ(Giulio Cesare)」が物凄く楽しくて、ついつい最後まで見てしまいました。今日が日曜で良かった(^_^;)

元々大好きなデヴィッド・マクヴィカー(David McVicar)の評判の良い演出だったし、歌手陣も揃っているのでいつかは見ようと思っていたのですが、昨日はタイミング良く放送してくれて久しぶりにNHKに感謝!です。

まずはマクヴィカーの演出が冴えていました。舞台を古代エジプトから19世紀後半、植民地政策下の大英帝国に変更、チェーザレ(シーザー)はイギリス人に読み替えです。その他の登場人物もローマはイギリス、エジプトはインドに振り分けられて様々な軍服や民族衣装を着て登場。とてもカラフルで、ぼーっと見ているだけで楽しいです。しかし当然そこはマクヴィカー、ただ綺麗なだけでは止まりません。各登場人物が等身大でとても魅力的なのです。すらっと長身で男気溢れるチェーザレ、夢見る少女っぽいけれど芯は強いクレオパトラ、気合だけ空回りのテロリスト風セストなどなど、音楽ともストーリーともよく合った設定の人物が生き生きと動きます。当然「エジプトって言ってるけどインドじゃん?」というツッコミを入れたくなる部分はありますが、イギリスで公演するのならこういう演出が分かりやすくてぴったりですね。アキラもニレーノもそんなにリアルに容赦なく殺さなくても…と思ったりもしますが、やっぱりマクヴィカーの演出は好みだなぁ。

歌手はそれぞれはまり役です。自信満々のチェーザレを演じるサラ・コノリー(Sarah Connolly)は一瞬男かと思ったほどカッコイイですし、クレオパトラを熱唱・熱演のダニエレ・デ・ニース(Danielle De Niese)は「エロ可愛い」という言葉がぴったりだし、アンゲリカ・キルヒシュラーガー(Angelica Kirchschlager)のセストは見るからに青二才だし、他の出演者もマクヴィカーの要求にしっかり応えていたと思います。特にデ・ニースはアリアを歌いながらパラパラのような振付のダンスを侍女2人と踊りきり、場内を爆笑&歓声の渦に包み込んでいました。他の場面でもつい笑ってしまう場面が多く、観客もよくウケていました。私も深夜にも関わらず、がっはがっはと笑いまくってしまいました~。ヘンデルのオペラでこんなに笑ったのは初めてです。ウィリアム・クリスティー(William Christie)の指揮も、エイジ・オブ・エンライトメント・オーケストラ(Orchestra of the Age of Enlightenment)の演奏もマクヴィカーの演出に負けない個性のある演奏だったと思いますが、個人的にはもっとドラマティックでも良いですね。

そのうちBS2で再放送されるでしょうから、その時を狙って録画したいと思いますが、その前にメイキングやインタビューも入っている3枚組の正規DVDを買ってしまおうかというくらい気に入ってしまいました。ああ、どうしよう(^_^;)


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コメント 13

わー。なんとなく気にしてたんだけど見逃しましたー。サルダナさんお奨めのマクヴィガー演出だったんですねぇ。再放送に期待しておきます。…っていうかシーザーが、ジュリオ・チェーザレになっちゃうのねぇ。
by (2006-09-24 23:15) 

Sardanapalus

りょーさん>
>見逃しましたー
アラ~残念!演出が楽しかったですよ。

>シーザーが、ジュリオ・チェーザレ
英語だとジュリウス・シーザー、ローマ語はユリウス・カエサル、イタリア語はジューリオ・チェーザレなんですよね(笑)ドイツ語だとユリウス・セーザーでしょうか?フランスではどう読むんだろう?
by Sardanapalus (2006-09-25 00:40) 

dognorah

面白いオペラのようですね。コンサート形式で来年4月にバービカンで聴く予定です。
by dognorah (2006-09-25 08:09) 

euridice

BS-hi、録画が面倒(度々失敗してます)なので、もうチェックもしていません。BS2で早く放送してもらいたいです....

ずっと以前ですが、オーストラリア・オペラ(CS)を観ました。冗長なところがあるのはしんどいけど、けっこうおもしろかったですから、マクヴィカー演出なら、ぜひ見たいものです。
by euridice (2006-09-25 08:16) 

Bowles

>舞台を古代エジプトから19世紀後半、植民地政策下の大英帝国に変更

もう絶対あれはロンコーニのパクリだと思います(笑)。3,4年前のボローニャのGiulio Cesareがまさにそうでした。ワタシ的にはコルネリアを大のお気に入りのミンガルド(ボローニャが彼女でした)が歌った今年のプロダクションのほうを録画してもらいたかったのですが。

去年プロムスでの演奏では、コンサート形式であったにもかかわらず、聴衆が大爆笑していました。

ドゥ・ニーズはこのところクリスティのお気に入りですね。オンナに関心が無くても、あれだけ可愛いとやはりね。声だけ聴いていると物足りないところだらけですが、姿を見ると、私でも許せちゃう!!子ども時代からショウビズの世界で活躍していたそうです。
by Bowles (2006-09-25 08:49) 

助六

02年にガルニエでハイトナー演出の「Jules César ジュール・セザール」がミンコウスキ指揮で再々演され、デ・ニースがクレオパトラでしたが、当時は「エロ可愛い」というより「ブチャ太い」という感じだったような。コノリーはフォン・オッターとダブルでセストを歌い、チェーザレはお猿さんみたいな顔のCTのダニエルズが野次られて降板、メッツォのミヤコヴィッチが代役でした。
独語は「ユーリウス・ツェーザー」と発音されるようですね。

仏では、独ものは「Flûte enchantée」「Enlèvement au sérail」「Crépuscule des Dieux」「Maîtres Chanteurs」「Chevalier à la rose」「Chauve-souris こうもり」等は仏題で定着してますが、英ではこの辺はどうしてます?インテリは原語使う傾向とかはありませんか?仏ではない訳ではないにしてもまあ少ないですね。「後宮」なんかは日本でもキザな人は「エントフュールング」なんて言ったりするみたいたけど。吉田秀和氏などはいつもそうでしたね。小生も時々(笑)。
仏で面白い例は、「Freischuetz」は原語で定着、これは訳すの難しいから英でもそうかな。「オランダ人」は「幽霊船 Vaissseau fantôme」で定着。これは当時ヴァーグナーがオペラ座に「オランダ人」売り込んだが失敗、台本のアイデアだけ買い取られ他の作曲家に依頼が行き「幽霊船」として上演された名残り。「Walkuere/Walkyrie」なんかは両方聞きます。
伊ものでも「Un bal masqué」なんかは仏題で定着。「Semiramide/Semiramis」「Trovatore/Trouvère」(Trovatoreの訳はTroubadourのはずだけど、当時ヴェルディ自身が手を入れた仏語版題がTrouvèreだったため)なんかは両方聞きますね。「Tabarro 外套」は何故か原語で定着。
英ものでも「Didon et Enée」は仏題で定着。
要するにケース・バイ・ケースでメチャクチャですね。当然ですが。
by 助六 (2006-09-25 10:17) 

Sardanapalus

dognorahさん>
演出のタイミングと歌詞が上手く合っているので、笑いどころ満載です。セクシーショット満載のクレオパトラには大注目してなくちゃだめですよ♪

euridiceさん>
>冗長なところがあるのはしんどいけど、けっこうおもしろかったですから
この演出でも、ちょっと寝そうになる場面がいくつかありましたが、我慢すればまた笑えるはず!と気合で乗り切りました(笑)美術や照明の使い方が上手いので、そっちに注目してみたり。本当に、早く再放送して欲しいです。
by Sardanapalus (2006-09-25 18:24) 

Sardanapalus

Bowlesさん>
>>舞台を古代エジプトから19世紀後半、植民地政策下の大英帝国に変更
>もう絶対あれはロンコーニのパクリだと
ネット上で写真をいくつか見てきました。なるほどなるほど。ロンコーニの方はスクリーンの使い方が面白そうです。エジプトはエジプトとして美術を作ってますね。マクヴィカーに聞けば「俺の方が面白い」とか断言しそうですが、何においてもローマ帝国を大英帝国に読み替える演出は結構主流ですよね。

>プロムスでの演奏では、コンサート形式であったにもかかわらず、聴衆が大爆笑
プロムスでも衣装をつけて、できる限り演技をする形式なのででしょう。パラパラとか絶対踊ってたはず(^_^;)

>コルネリアを大のお気に入りのミンガルド(ボローニャが彼女でした)が歌った今年のプロダクションのほうを録画してもらいたかった
こういう注目作はプレミアを収録するのが普通ですもんね。Bowlesさんお勧めの歌手を聞けないなんて残念です。
by Sardanapalus (2006-09-25 19:18) 

Sardanapalus

助六さん>
>デ・ニースがクレオパトラでしたが、当時は「エロ可愛い」というより「ブチャ太い」という感じだったような
わはは!彼女もダイエット組でしょうか。グラインドボーンではスタイルもよく、クレオパトラにぴったりの見た目ですよ。踊れるし(笑)ガーディアン紙の彼女のインタビューにはクレオパトラのセクシー写真が載ってます↓
http://arts.guardian.co.uk/features/story/0,,1774964,00.html
後はこの辺りでインド風クレオパトラ(笑)が見れますよ↓
http://www.arenapal.com/news/newimmh08danielle.html

>「Jules César ジュール・セザール」
>独語は「ユーリウス・ツェーザー」
フランス語とドイツ語発音ありがとうございます!ジュール=ジュリウスだったんだ…新たな発見です(笑)

>英ではこの辺はどうしてます?
ドイツ語オペラの場合、殆どの人は原語表記を英語読みしているようです。英語訳タイトルがメジャーなのは「The Magic Flute」「The Flying Dutchman(原語タイトルでも通じます)」とオペレッタくらいで、後はほぼ原語どおり。ドイツ語と英語は共通する単語も多いですし、コヴェント・ガーデンではどのオペラも必ず原語表記でした。英語タイトルは、ENOかChandosの英語でオペラシリーズでしかお目にかかりません。英語訳表記されるのは、ロシア語やその他弱小ヨーロッパ原語の作品でしたね。「The Queen of Spades」「Bluebeard's Castle」「The Bartered Bride」などが良い例です。それから、人名タイトルだと、表記は原語でも、英語名で読んでました。シェイクスピア原作ものとか、「Mary Stuart」はそういう分野ですね。でも、「Eugene Onegin」は、「エウゲーニ・オネーギン」とロシアっぽい発音。アメリカでは「ユージーン・ニェーギン」でしたっけ?>ヴァラリンさん

普段の会話ではドイツ語の長いタイトルを省略して「Serail」「Ring」「Hollander」「Maistersinger」、単語タイトルの作品も冠詞は取って「Rosenkavalier」「Fliedermaus」などと言うのが一般的でした。イタリア語オペラも殆どがこの方法です。「Figaro」「Un Ballo」「Trovatore」「Traviata」等々。充分メジャー言語の英語は言語政策が行われていないので、元のタイトルを記号として覚えている人が多いんじゃないでしょうか(笑)

それでも、
>インテリは原語使う傾向とかはありませんか?
という意見には賛成で、一般的に高飛車だと思われることを嫌うイギリス人は、通常会話でタイトルを全部言わなくてはいけない場合、頑張って英語訳を作っていました。「Tristan AND Isolde」とかなら簡単ですが、「Twilight of Gods(神々の黄昏)」とかはピンと来なかったりします。で、どうしても相手が分かってくれない場合、仕方なく原語のタイトルをぼそっとつぶやいてみたりして(^_^;)

※実のところ、そういう時はドイツ語よりもフランス語やイタリア語オペラの方が大変でした。「The Barber of Seville」なら分かりますが、「The Elixir of Love」とか、そこから日本語に訳さないとちんぷんかんぷん(笑)
by Sardanapalus (2006-09-25 21:02) 

ヴァラリン

あら、私には縁のない話題だと思って傍観していたら、思わぬところからお声が(笑)

>「Eugene Onegin」
>アメリカでは「ユージーン・ニェーギン」

そうそう。えっとね~~ユジー「ノ」・ニェーギン…NとOをくっつけたような音に聴こえました(^^;

イギリスではちゃんとエウゲーニって発音するんですね。この作品に限ってってことかしら?これもプーシキンの戯曲が原作ですから、先に文学作品として認識されていたのかもしれませんね。

アメリカでは、う==ん、そういえば戯曲も翻訳モノで出てたのかもしれませんが、そこまで徹底して調べようとは思わなかったのよねぇ。
でも、あったとしても「ユージーン」でしょうね、きっと。
by ヴァラリン (2006-09-26 09:16) 

Sardanapalus

ヴァラリンさん>
コメントありがとうございます。

>私には縁のない話題だと思って傍観
いえいえ、バロックはかなり楽しめる作品ばかりなので、BS2で再放送されるときにはぜひ録画して見てみて下さいませ!

アメリカでは
>ユジー「ノ」・ニェーギン
でしたか、ありがとうございます。英語では一般的には「女名」なんですよね、Eugeneって。だから語尾の「ノ」で男っぽさを増しているのかも?(^_^;)イギリスでは
>先に文学作品として認識されていた
という点も大きいでしょうし、イギリス英語発音では「ウジェーン・オネーギン」程度にしか崩れないのですよ。それくらいならロシア語っぽい読み方の方が「記号」として通じるのでしょう。普段は発音が微妙なファーストネームは省略して「Onegin(オネーギン)」と呼んでます(笑)
by Sardanapalus (2006-09-27 00:20) 

蘭丸

今週末に実演を観るので現在予習中です。予算の都合上ここで紹介されたDVDは買いませんでしたが、この演出面白そうなのでいつかは買いたいです。

TBリクエスト送りました。
by 蘭丸 (2007-03-07 16:06) 

Sardanapalus

蘭丸さん>
TBありがとうございます。実演楽しんでくださいね♪

>予算の都合上
ちょっとお高いですよねぇ!私も二の足踏んでます。いつかは必ず買う予定ですけど、いつになるかはちょっと不明です(^_^;)
by Sardanapalus (2007-03-07 19:44) 

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