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ROH来日公演「椿姫」初日速報 [オペラ(実演)]

本日9月12日に神奈川県民ホールにてROHの来日公演「椿姫」が初日を迎えました!私も行ってきましたが、今日はささっと一言感想を書いておきます。昨日の「マノン」とは違い、波乱の初日と言えますね。


ヴィオレッタに代役の代役登場!アレルギー症状で声の出なくなったヤオに代わり、2幕以降はアイリーン・ペレス(Ailyn Perez)が伸び伸びと好演。今日は1幕から彼女なら良かったのに、という声多数。

・アルフレード役のヴァレンティは、なぜか常にデクレッシェンド歌唱で、ブレスの直前は何を歌っているのか聞こえない。動きはまるでターミネーター(^_^;)

・パパ・ジェルモンは、この暑いのにジャケットの上から毛皮つきコートを着ているので汗を拭き拭きヴィオレッタを説得。1月の設定なのに(^^)ヴィオレッタの交代劇やアルフレードの不安定な歌唱にも影響されず一定のレベルを保っていたキーンリーサイドは流石。声の調子も良さそう。眼鏡、帽子、手袋、杖などの小道具を駆使した演技とぶれない歌唱で安心して見ていられる。

・コーラスは相変わらず上手いがオケはちょっと物足りない。昨日のマノンの疲れがあるのかな?パッパーノは会場の音響と歌手とオケのバランスに苦労している様子。NHKホールではどう合わせてくるか?細部まで行き届いたエアの演出はやっぱり私の好みのど真ん中。

ROHで見た最低の「椿姫」よりはマシだけれど、高いチケット代を払う価値があるのか疑問。(そういえばあの時も演出とパパのみ気に入ったんでした)どうも私と「椿姫」の相性はイマイチだ。
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オペラ「リゴレット」@ウェルシュ・ナショナル・オペラ [オペラ(実演)]

6月末~7月頭にかけて行って来たイギリス旅行からもう2ヶ月経ってしまっていますが、ようやくキーンリーサイドがロールデビューを果たしたオペラ「リゴレット」を記事にすることが出来ました。来日に間に合って良かったです(^_^;)


今回の渡英のメインイベントは、何といってもサイモン・キーンリーサイドのリゴレットデビュー!…ですが、期待だけでなく、正直言って「怖いもの見たさ」気分が50パーセントくらいあったことも事実です。だって、見た目からしても(実年齢は置いておいて)、どう考えても大きい娘がいるようなじいさんじゃないですからねぇ~(^^)それから、もうひとつ不安だったのが共演の歌手陣のこと。

ミレニアム・センターのロビー

何せ今回はウェールズの首都カーディフのミレニアム・センター(The Millennium Centre)を拠点とするウェルシュ・ナショナル・オペラ(Welsh National Opera)という地方のオペラハウスなので、普段出演する歌手は世界的には無名な歌手がほとんどで、聴いてみるまで歌手のレベルが全く分からないのです。今回のキャストにはキーンリーサイド以外に名前を聞いたことのある歌手がいなかったので、オペラ公演としての出来には期待していませんでした。

しか~し、始まってみればそんな不安はどこへやら、レベルの高い歌手陣と、元気のいい若い指揮者の演奏をじっくり堪能しました!写真で見る限りは気に入らなかった1960年代のアメリカに設定した演出も、なかなか説得力のある読みかえをしている場面が多く、絶賛とまではいかないまでも舞台としてもかなり楽しめました。舞台写真については、Simonkeenlyside.infoのページに沢山アップされています。やっぱり「リゴレット」はヴェルディの作品の中でも1、2を争う出来のオペラですね~。次から次へと魅力的なメロディが出てくるのでだれることも無いですし、改めて名作であることを確認できました。

当然ながら、この公演を楽しめたのはこれがロールデビューのサイモン・キーンリーサイド(Simon Keenlyside)が歌ったリゴレットのお陰です。

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オペラ「マノン」@ROH [オペラ(実演)]

ロイヤル・オペラでこの夏一番の話題の新演出といえば、この秋の来日公演にも持ってくるアンナ・ネトレプコ(Anna Netrebko)主演のマスネ(Massnet)作曲「マノン(Manon)」公演です。元はデ・グリュー役にヴィリャゾンがキャスティングされていたのですが、早い段階でキャンセルになり、今をときめく若手テノールのヴィットリオ・グリゴーロ(Vittorio Grigolo)が代わりにロイヤル・オペラデビューとなりました。私のお目当ては、やっぱりこのグリゴーロ!だって、来日公演のデ・グリューは別人なんですもの~。

あらすじ
マノン・レスコーは、修道院に入る途上で立ち寄ったアミアンで、若い騎士デ・グリューと会い、2人は熱烈な恋に落ちる。デ・グリューは修道院に入るというマノンを説得し、2人でパリへ駆け落ちして一緒に暮らすことにする。ところが、パリの2人の家にマノンを我が物にしようとするブレティニーとマノンの兄レスコーがやってきて、デ・グリューがいない間にマノンを金で誘惑する。愛よりも「望むものが手に入る贅沢な暮らし」を選んだマノンは、涙ながらにデ・グリューと分かれる。この失恋にショックを受けたデ・グリューは、神学校で信仰に身をささげる決意を固めようと努力するが、マノンのことが忘れられないでいる。そこへ、デ・グリューの居場所を聞きつけたマノンがやってきて、よりを戻したいと懇願するのに屈して再び2人で暮らし始める。マノンの享楽的な性格は変わらず、デ・グリューはすぐに遺産を使い果たしてしまうが、マノンの説得で賭博場へとやってくる。そこではマノンをずっと狙っているギヨーが賭博でもデ・グリューに負けた腹いせに、2人がいかさまをしたと訴えて逮捕させてしまう。父親の尽力で釈放されたデ・グリューとはちがい、マノンは売春婦としてアメリカへ売られてしまう。レスコーに流刑船の船員を買収してもらい、ひと時の逢瀬の時間を得たデ・グリューとマノンだったが、衰弱していたマノンはデ・グリューとの愛を確かめ合った後、彼の腕の中で息を引き取る。

え~と、まずはっきり言いまして、私はこのオペラ苦手です。映像で見ていると、いつも途中で寝てしまいます(^_^;)デ・グリューの歌うアリア「消え去れ、優しい幻影よ(Ah fuyez douce image)」は名曲だと思いますが、ダラダラとめりはりなく長いオペラ、という印象です。今回はローラン・ペリ演出ということで、もしかして楽しめるかと期待していたのですが、残念ながらやっぱり退屈してしまいました。ペリにしてはちょっと大人し目というか、衣装は美しかったですが主人公カップルが走り回っていた以外にはあまり動きがなく、話が進まない場面などは時差もあって思わず船をこいでいました(^_^;)特に悪い部分は無かったとは思いますが、逆に惹かれる部分も無かったというのが正直な感想です。このオペラのストーリー展開というか、音楽自体に魅力を感じないという私にも楽しめない理由はあると思いますが、デ・グリューはまだしもマノンがあんなにどたばたと走り回る必要があったんでしょうかね?(特に、ネトレプコはあまり走る姿が美しくないので…)

そんな「まあまあ」な演出でしたが、歌手達は高水準の歌唱を聞かせてくれました。

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オペラ「セヴィリアの理髪師」@ROH [オペラ(実演)]

7月のロイヤル・オペラハウス一番のお勧めは、豪華キャストの揃った「セヴィリアの理髪師(Il Barbiere di Siviglia)」の再演です。あらすじなどは2005年初演時のブログ記事をご覧ください。(そういえばこれがディドナート初体験だったんですよねぇ…いまじゃすっかりファンですけど。)

もともとキーンリーサイドがキャンセルしたりフローレスが公演日を減らしたりと、どたばたと開幕した今回の「セヴィリアの理髪師」ですが、更に初日にも大きなアクシデントが起こってしまいました。なんと、ロジーナ役のジョイス・ディドナート(Joyce DiDonato)が舞台上で転び、右足の腓骨を骨折してしまったのです!(詳しくは彼女のブログをご覧ください)

最初にこのニュースを聞いたときには本当に驚いたのと同時に、ディドナートも残りの公演をキャンセルしてしまうのではないかと非常に心配でした。と・こ・ろ・が!素晴らしいプロ精神の持ち主の彼女は残りの公演も歌うことを選択し、演出家達をはじめ他の歌手が協力して車椅子を使っての上演が決定したのです。そして、とても珍しい車椅子のロジーナが誕生したわけですが、結果としては大成功☆だったと思います。

当然、車椅子ですから動きも制限されますし、話の展開や演出プランにはまりきらない部分も多かったですが、そういった欠点を補って余りある歌唱とできる限りの演技で大喝采を浴びていました。やはりディドナートは現時点で最高のロジーナですね。特にこのロイヤル・オペラの楽しくてポップな演出のロジーナには良く似合っているし、本当に歌ってくれて嬉しいです~。残りの公演も、足に負担が掛からないようにしながら乗り切って欲しいです。

そして、素晴らしかったのは彼女だけではありません。一番の喝采を浴びたのはアルマヴィーヴァ伯爵のファン・ディエゴ・フローレス(Juan Diego Florez)。今まで何度か映像で伯爵を歌うのを見たことがありますが、今回の演出が一番生き生きしていて、楽しんで歌っているように見えました。歌えば魅力的なコロラトゥーラを響かせてくれますし、酔った兵隊や音楽教師に変装しているときの演技も面白くて、本当にはまり役だと思いました。期待していた"Cessa di piu resistere"には、ついついぽかーんと口を空けたまま聴き入ってしまいました…実際に聴くととても人間業とは思えないですね(^_^;)もちろん、アリアの後はブラボーと拍手・足踏みの嵐でした。ロイヤル・オペラがここまで騒がしくなるのはとても珍しいことですが、それも納得の歌唱でした。

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速報:「セヴィリアの理髪師」に車椅子のロジーナ登場! [オペラ(実演)]


ロイヤル・オペラハウスの「セヴィリアの理髪師(Il Barbiere di Siviglia)」の公演初日に足を骨折してしまったジョイス・ディドナートですが、2日目はなんと車椅子で登場、最後まで見事に歌い切りました!彼女のロジーナは何度聴いても素晴らしいですね~。車椅子にのっていることを全く感じさせない歌唱に、観客も大喜びでした(^^)ディドナート以外も、フローレスをはじめスパニョーリ、フルラネット、コルベッリなどの粒ぞろいの歌唱と演技を楽しみました♪詳しくは次の記事に書きたいと思います。
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オペラ「エフゲニー・オネーギン」@ウィーン国立歌劇場 [オペラ(実演)]

Eugen Oneginポスター昨年、東京のオペラの森で初演されたチャイコフスキー作「エフゲニー・オネーギン(Eugene Onegin)」が、ウィーン国立歌劇場でも新演出として上演されました。小澤征爾が指揮ということで日本人の観客が非常に多い中、私の目的は勿論サイモン・キーンリーサイドの初役オネーギン!更に今回は可愛らしいタマル・イヴェリ(Tamar Iveri)のタチアーナも非常に楽しみでした♪

あらすじ:ロシアの文豪プーシキンによる小説が原作です。ロシアの田舎貴族の娘タチアーナは、ある日妹オルガの恋人レンスキーが連れてきた友人オネーギンに一目ぼれしてしまう。タチアーナは熱い想いをつづった恋文をオネーギンに送るが、オネーギンは「私は兄のようにあなたを愛していますが、家庭を持つようなタイプではないので、あなたの想いはお受けできません。第一、こういう行動は慎まれた方がいいですよ。」とつれない返事を伝える。その後、タチアーナの命名日のパーティーでオルガと踊り続けるオネーギンに激怒したレンスキーが決闘を申し込み、結果オネーギンがレンスキーを射殺してしまうという事件が起きる。オネーギンはその後逃げるように国外へ放浪の旅に出て、数年の月日が経つ。久しぶりに帰国したオネーギンがある夜会に顔を出すと、そこには今や立派な公爵夫人となったタチアーナの姿があった。彼女の変貌振りに驚きながら、一目で恋に落ちてしまったオネーギンは、今度は自分が手紙を送り、タチアーナの元を訪れる。オネーギンはタチアーナに熱烈な告白をし、過去の過ちを水に流して欲しいと懇願するが、タチアーナは「オネーギン様、私はあの頃の方が若く美しく、そしてあなたを愛していました。今でもあなたを愛していますが、でももう過去には戻れません。」と、本心を打ち明けつつもオネーギンの訴えを退けて毅然と別れる。


オネーギン (岩波文庫 (32-604-1))

オネーギン (岩波文庫 (32-604-1))

  • 作者: プーシキン
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2006/09
  • メディア: 文庫


もともとロシア文学の憂鬱質で人生の意味なんかをなんだかんだと悩んでいる主人公達にはとても感情移入ができないタイプなので、このオネーギンのアンハッピーエンドについても、今まで「タチアーナ、もっと良い男がいるはずだよ」「自業自得ね、オネーギン」としか感じられず、あまり素直に感動することのできないオペラでした(^_^;)チャイコフスキーの音楽は大好きで、タチアーナの手紙の場面も、最後のタチアーナとオネーギンの応酬も大好きなのですが…。

そんな不安を持ちながらの鑑賞でしたが、結論から言えば非常に楽しめました。その理由は、歌手と音楽のバランスの取れた素晴らしさだったと思います。まず、小澤征爾の指揮とオーケストラの演奏ですが、批評家からはテンポが遅いと指摘されていた指揮がチャイコフスキーの魅力的な旋律を堪能するのにぴったりで、キャラクターの心理状況が良く分かってとても良かったと思います。これが下手なオケならいざ知らず、ウィーンですから弦の響きもたっぷりと聞かせてくれるし、逆にテンポアップする場面でももたつくことなく演奏してもらえたので、めりはりがあって退屈することがありませんでした。終演後は小澤さん(とオケ)に対する歓声が一番大きかったです。

そして、その指揮に引けをとらずに好演してくれたのが主役級の歌手達、特にタチアーナのイヴェリとオネーギンのキーンリーサイド、そしてグレーミン公爵のアイン・アンガー(Ain Anger)でした。

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オペラ「西部の娘」@ROH [オペラ(実演)]

既に今年も残り3日となってしまいましたが、9月にROHで上演された「西部の娘」がBBC Radio 3で放送されました。これから7日間はオンデマンドで聴き放題ですので、ちょっとお年のランス以外ははまり役の「オペラ唯一のマカロニ・ウェスタン」をぜひ聴いてみてください。

◆BBC Radio 3「西部の娘」ページ◆
http://www.bbc.co.uk/programmes/b00g3tfw




今回の旅行で一番の目玉だった「ドン・ジョヴァンニ」の千秋楽を堪能した翌日、今度はアメリカの荒野へと舞台を移したROHに「西部の娘(La Fanciulla del West)」を聴きに行きました。前日同様、りょーさんと一緒です☆私は2005年にもこの演出で聴いていますが、今回の再演はクーラだけでなく、ミニー役のエヴァ・マリア・ウェストブルック((Eva-Maria Westbroek)も迫力美人で聴き逃せないという情報を得て、期待はぐんぐん高まります(^^)

さて、この異色のオペラはプッチーニの作品の中ではあまり上演される機会がありませんが、一度聴いてみればプッチーニらしく耳なじみの良いメロディが満載ですので西部劇に抵抗がない人ならば楽しめること間違いなしだと思います。特に、アンドリュー・ロイド=ウェバーのミュージカルが好きな人なら、あちこちに聞いたようなメロディが散りばめられていて親近感がわくことでしょう(笑)特に、「オペラ座の怪人」ファンなら「え?これって…あの曲じゃないの?」と思うこと間違いなし!そんなところでも楽しめるオペラです。(そんな楽しみ方する人は私くらいですが)

あらすじは、典型的な西部劇です。開拓地で酒場を切り盛りする女主人ミニーは、出稼ぎ金鉱労働者達のアイドル。特に保安官のランスからは言い寄られて困っているが、実は一度助けてもらったことのある名前も知らない男のことが気になっている。賞金首の盗賊ラメレツが辺りをうろついているとの情報が入る中、ウィスキーの水割りを頼む新参者が酒場にやって来る。ミニーはジョンソンと名乗るその男が気になっていたあの男だと気付くが、ジョンソンもミニーが「あのときの女」だと気付く。実はジョンソンはラメレツで、ミニーの酒場にも強盗に入ったのだが、ミニーがそこの主人と知ると計画を中止し、更には自宅に行く約束を取り付ける。ジョンソンはミニーと楽しい夕食を過ごすが、ランスたちによって正体を知られてしまい「君には知られたくなかった」とミニーの家から飛び出していくが、すぐに追っ手に撃たれて負傷してしまう。そのジョンソンを匿ったミニーはランスとトランプの賭け勝負を行い、いかさまでジョンソンの身柄を勝ち取り、その場はランスも諦めて去る。それから1週間後、ジョンソンが捕らえられて絞首刑にされそうになっているところに、またもミニーが現れて「今まであなたたちに貢献してきた私に免じて許して」と、ジョンソンを助命しミニーも彼と一緒に街を離れる許可を願い出る。ミニーの訴えに心を動かされた街の男達は、ジョンソンの処刑を取りやめて2人の旅立ちを見送る。…なんてお約束な展開でしょう(笑)より詳しいあらすじは、りょーさんのブログへどうぞ。

とにかく、この公演は聴きに行って本当に良かった!!と思えました。まず、主役のウェストブロックが非常に素晴らしかったのです。ミニーは難しい役だと思いますが、高音も低音も余裕があるまろやかな歌声で感情豊かに歌ってくれましたので、男前なミニーのとりこになってしまいました。

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オペラ「ドン・ジョヴァンニ」@ROH②:音楽・歌手編 [オペラ(実演)]

①の方では演出に関して書きましたので、②では歌手や音楽について書いていきたいと思います。

今回は4回見に行くことが出来ましたが、一番出来がよかったのは15日で、以下僅差で18日>12日>>10日という印象です。とりあえず、10日は指揮者もオーケストラも歌手もお疲れモードで、本来初日だったとは思えないような出来でした。序曲から既に分解しそうなオーケストラは歌手ともタイミングが合わず、終始まとまりのない演奏。アンナは事前にアナウンスをするくらい調子が悪かったし、ジョヴァンニも声が出ない分を演技でカバーといった感じだし、エルヴィーラは晩餐の場面で出トチるし、他のキャストも重唱がずれずれだし、しかも地獄落ちで巨大な手に炎がつかないハプニングもあって、あらら~このキャスティングでこんな程度ですか、というがっかりの公演日でした。私はこの日は最前列だったのでまだ演出の細かい部分を楽しめましたが、後方の席にいたらどうだったでしょうねぇ。その後は、DVD映像収録日の12日の公演で大分持ち直し、2日休みを挟んだ15日は、オーケストラも歌手もノリノリで大満足!この日は10日の出来とは天地の差でした(^_^;)最終日の18日は、15日と同じくらい楽しませてもらいましたが、歌手達の演技が15日の方が好みだったので2番目にしました。初日だけで帰るようなスケジュールにしなくてよかった~。ということで、以下本題に入ります。




まずは音楽全体の印象ですが、マッケラスの指揮は相変わらずテンポ良く進み、82歳という年齢を全く感じさせません。しかも、ただ勢いがあるというだけではなく、ゆっくり聞かせて欲しいところはじっくりと美しくオーケストラを導いていて変幻自在でした。オーケストラの金管楽器とティンパニは古楽器を使っていましたが、演奏スタイルは古典風というわけではありません。本人曰く、古楽器の方が音は小さいけれど鋭く響くので弦楽器とのバランスが良いという理由で使ったそうです。問題点があるとすれば、あまり上手でないロイヤルオペラのオーケストラで古楽器を使うと、音程が狂い易いということです(^_^;)明らかに大外しということはなかったですが、所々で金管の音程が怪しくなっていたのが気になりました。でも、トランペットやホルンが管を変える場面とか、結構大忙しで見ていて楽しかったですけど。

また、チェンバロ奏者とチェロ独奏者も歌手達をしっかり支えていたと思います。特にチェロ独奏のクリストファー・ヴァンデルスパー(Christopher Vanderspar)は綺麗なメロディーを聞かせてくれましたが、座る場所によってはツェルリーナの「ぶってよ、マゼット」のチェロ伴奏が大きく響きすぎて、歌手の声がよく聞こえないところもありました(その辺りに座っている観客が揃ってオケピットを覗き込んでいる姿が可笑しかったです^^)。そうそう、私は今回始めてチェンバロが序曲に参加していることを知りました!あまりに驚いたので序曲の間中注目してしまいましたよ。

さて、続いて歌手についてです。とりあえず書いてみますが、ストリーミング映像を見て思い出したら追記するかもしれません(^^)

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オペラ「ドン・ジョヴァンニ」@ROH①:舞台演出編 [オペラ(実演)]

現地時間10月5日からはじまる「ドン・ジョヴァンニ」の映像のネットストリーミング配信ですが、こちらのビデオページから見られるようになるようです。今でもここに色々と参考資料になるようなものがアップされていますが、AdobeのFlash(再生にはFlash Plugin 8が必要です)を使って配信される映像には英語字幕と演出家の副音声がつくようです。英語が分かる方は、演出家ザンベッロの語る演出プランが聴けるmp3音声ファイルがあります。ジョヴァンニに対抗するためには、3人の女性の力を合わせなくてはいけないとか、ジョヴァンニはレポレッロ以外は女性しか身近に置かないのでパーティーの音楽家は女性にしたとか、事前に聞いておくとより楽しめるはずです。)日本でも5日の午後には見られるようになるのかな?こういうところは日本と違ってアバウトなので、きちんと問題なくストリーミング開始されるように祈っています(^^)


2008-2009シーズンのロイヤル・オペラハウスはモーツァルトの「ドン・ジョヴァンニ(Don Giovanni)」で開幕しました。ここ数年は珍しいオペラのコンサートパフォーマンスで開幕していましたが、評判が良くなかったのかネタ切れなのか(笑)、今回は人気演目で正々堂々と華やかにいくことにしたようです。そんなわけで、2チーム組んだキャストも指揮者もかなり頑張って集めた実力派ぞろいでした。

特に公演スケジュール前半を担当するAキャストの方は、私好みのキャスティング!キーンリーサイドは勿論ですが、マッケラスの指揮にディドナートにグリアドウも!?ということで、キャストが分かった時点で「絶対に9月にロンドン行く!メインはこのジョヴァンニ!!」と心に決めていたのでした(笑)今まで何度か「苦手なオペラだけどキャストが好みだから何度も連続で見てみた」という経験はありました(「ビリー・バッド」「ペレアスとメリザンド」)が、今回は「大好きなオペラ」に「大好きな歌手」ということで、最初から行ける限り全公演に行くつもりで日本をたちました。

唯一の不安要素は、批評ではあまり芳しくないフランチェスカ・ザンベッロ(Francesca Zambello)の演出。でも、ミュージカル「オペラ座の怪人」も担当した衣装・美術のマリア・ビョルンセン(Maria Bjornson)の作品は好みだし、ザンベッロの手がけた他の作品も好きなので、まずは8日の映画館中継で様子見をしてみました。このときのカメラのカット割りが良かったのかもしれませんが、やはり私好みの細かい設定を楽しめる演出だったので、その後は安心してROHに通うことができました(^^)

実際に見てみた第一印象は、衣装は美しく丁寧に作られているし、色分けしてあるキャラクターが判別し易くて◎だけど、舞台セットの大きな両面使いの壁はイマイチ効果が出ないというか、使い切れていないというか、邪魔というか(^_^;)マリア様が真ん中にくっついている方の面はまだマリア様の使い方を色々と深読みできて面白かったのですが、その反対側のコンクリート打ちっぱなしのようなのっぺらとした階段の面は、豪華な時代劇衣装の登場人物たちと完璧にミスマッチでした。もしかしたら「現代っぽさ」を取り入れたのかもしれませんが、もしそうならば蛇足でしたし、そういう意図がないならば単に予算が無くて手抜きをしたのかと思わせてしまうようなセットでした。個人的に、悪い方に気になった点はここだけで、後はあちこち深読みのできる演出だったと思います。

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オペレッタ「こうもり」@小澤征爾音楽塾IX [オペラ(実演)]

さて、毎年恒例の(笑)小澤征爾音楽塾の季節になりました。去年は「カルメン」で、エスカミーリョ役のマリウス・キーチェンに興奮していましたが、今年の演目は人気オペレッタの「こうもり(Die Fledermaus)」。2003年の公演と同じ演出・舞台装置でしたが、まれに見る人気歌手ぞろいの公演で、演奏も歌唱もレベルの高いものを見せてもらいました。

このチケット代でこれだけの人気歌手が揃うなんて、さすが小澤征爾ですね。指揮のテンポも去年よりは納得できるものでしたし、間延びすることも無く聴けました。歌手の力もあるでしょうが、小澤の指揮がJ・シュトラウスの音楽に合っているのでしょうね。これなら、オーケストラや合唱に入った若手音楽家達にもいい経験になったことでしょう。それにしても、カーテンコールで出てきた小澤の小さいこと!また痩せてしまったような印象ですが、体調は大丈夫なのでしょうか?あまり無理をしないでほしいものです。

今回の公演の目玉は、何と言ってもボー・スコウフス(Bo Skovhus)ロッド・ギルフリー(Rod Gilfry)のアイゼンシュタインとファルケ博士のコンビでしょう!(^^)まさかまさかの美味しいキャスティングで、バリトン好きの私は去年からずっと楽しみにしていました。この2人で「そうだ、夜会に行こう♪」の2重唱が聴けるなんて、幸せ~☆それにしても、この2人の大きいこと!(笑)
まず「役立たずの弁護士が!」と怒りながらドカドカとアイゼンシュタイン登場するのですが…

とにかくデカイ!!

舞台上には2階建ての屋敷がドールハウスのようになっているのですが、スコウフスの頭が天井スレスレに見えるのに驚きました。肩幅も広くて、周りの人間より頭2つ分飛び出ていましたよ!弁護士ブリント役のジャン=ポール・フシェクール(Jean-Paul Fouchecourt)がまた小柄だったので、アイゼンシュタインと争う場面なんて、まるで大人vs小学生(笑)そんな大きいおじさんが、また演技も上手くてどたばたどたばた大騒ぎしてくれるんですよ。こりゃ笑わずにはいられません。シリアスな役よりも、こういうコメディ役の方が性に合っているのかしら?スキップしたり、ゴリラのように胸をたたいたり、とても生き生きしていました。

そして、弁護士と入れ替わりにファルケ博士が紳士面して登場すると…

またまたデカイ!!

肩幅はスコウフスに負けるものの、身長は同じくらいのギルフリー。この2人が揃うと、屋敷の居間が狭いの何の(笑)2人で盛り上がってダンスステップ踏んじゃったりすると、セットを壊しちゃうんじゃないかとハラハラしました。ギルフリーも演技も上手いですから、静かに復讐に燃えるファルケ博士を掘り下げられるだけ掘り下げてくれたと思いますが、完璧に役不足。もっと歌も聴きたいよ~!!これが初来日だそうですから、これからもっと色んな役で来日してくださいね~。

ところで、デカさでは上には上がいるもので、看守長フランク役のジョン・デル・カルロ(John Del Carlo)は、この2人を横に広げた体格の良さで更にデカイ!!(笑)ここまで大きい人たちが揃うと、女性が異様に小さく見えました(^_^;)アルフレード役のゴードン・ギーツ(Gordon Gietz)は背も高くてハンサムなのにあまりぱっとしない声でしたが、「椿姫」からのデュエット(なるほど、アルフレードね^^)やら「トゥーランドット」の♪ヴィンチェ~~ロ~~~~!やらを繰り出し、会場を笑いの渦に包んでいました。

そんな男声陣に劣らず、女声陣も魅力的でした。

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